第34話 決戦は卒業パーティー!完璧なる体幹と仕組まれた舞台
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
季節は瞬く間に過ぎ去り、ついにやってきた学園の卒業パーティー当日。
絢爛豪華なシャンデリアが輝く大ホールには、卒業を迎えた生徒やその保護者、そして王族や有力貴族たちが一堂に会していた。
「見てご覧なさい、王妃様もいらしているわ」
「レナード殿下とマリア様のあのお姿……まさか今日、何か起きるのでは……?」
ひそひそと囁き交わす貴族たちの中心で、正妃(王妃)は扇子で口元を隠しながら、勝ち誇ったような冷ややかな笑みを浮かべ、高壇の上から私を見下ろしていた。
(ふふ、病弱で何の役にも立たないアイゼンベルク家の娘など、今日で追い出してやるわ。我がレナードには、より利権をもたらす新たな派閥との結びつきこそがふさわしい……!)
王妃の腹黒い野心がホール全体に充満する中、会場の端で待機していた伯父様(国王)とヴィンセント様は、揃って重苦しい溜息をついていた。
「……父上。兄上と王妃様、完全にノリノリですね。止める隙もありませんでした」
「……ああ。王妃の奴、あんな得意気な顔をしおって。あの後どうなるかも知らずに……。ヴィンセント、騎士団に『衝撃に備えよ』と裏で伝達しておけ」
「御意に……ハァ、胃が痛い……」
そんな重苦しい(一部は浮かれた)空気のなか、主役の一人である私は、背筋をピンと伸ばして佇んでいた。
ドレスの下には、伯父様からプレゼントされた『超高密度魔鋼鉄製のリストウェイト』をしっかりと装着。
一見すると病弱で儚げな美少女だが、その全身には完璧な軸と密度の詰まった体幹がみなぎっている。
『フラン! 王子様たちが中央に出てきたよ! マリア様、相変わらず重心が右に傾きまくってるよ!』
(ええ、ピピ。背骨のラインが壊滅的ですわね。ですが……いよいよですわ)
私は静かに紅茶のグラスを置き、可憐な足取りで会場の中央へと足を進めた。
「静粛に!!」
静寂を破ったのは、レナード王子の甲高い声だった。
マリアの腰をしっかりと抱き寄せ(※ただし右肩は下がっている)、堂々と壇上に躍り出たレナード王子は、ホール全体に響き渡る声で指を突きつけてきた。
「フランシスカ・フォン・アイゼンベルク! 病弱なのをいいことに努力も怠り、可憐なマリアを陰でいじめ抜いた悪徳の令嬢よ! 僕と君の婚約は、本日この時をもって破棄とする!!」
ガーン!!と静まり返るホール。
王妃は満足気に頷き、マリアはレナード王子の胸に
「きゃっ」としがみつく。貴族たちが息をのむ中、私はそっと扇子を開き、完璧な体幹から生まれる美しすぎるお辞儀をしてみせた。
「……まあ、レナード殿下。それは誠でございますか?」
さあ、舞台は整った。
破棄を言い渡された「可憐で病弱な(?)悪役令嬢」の、返り討ちの時間が始まる――!
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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