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第29話  春の兆しと、広背筋を覚醒させる新学期

この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。

冬休みが明け、雪解けとともに学園に春の足音が近づいてきた。

私の冒険者ランクは冬休みの氷結竜討伐により、S級の中でもさらに上位の『特級領域』へと達していたようだけれど、学園では相変わらず「病弱で儚い侯爵令嬢」を通している。


「……フランシスカ嬢、少しよろしいですか」


生徒会室で書類を整理していると、ヴィンセント様がいつになく神妙な面持ちで声をかけてきた。


「どうなさいましたの、ヴィンセント様? そんなに深刻なお顔をなさって」


「実は……近々、王立騎士団と学園合同の『春季演習』が行われることになりまして。その特別講師として、冒険者ギルドから『S級冒険者』が招かれることになったのです」


「まあ、冒険者の方が?」


私は優雅にお茶を一口すする。


「ええ。……それで、ギルド側から推薦された人物の名前が《白銀の粉砕姫》……つまり『フラン様』なのですが……」


「ブッ……!!」


珍しくヴィンセント様が言葉を詰まらせた。

(あら……? ギルド長さん、私を学園の演習に推薦してくださったのかしら? 正体がバレないようにあんなに必死だったのに……)


『あはは! フラン、きっとギルド長さんは「S級のフラン様にお願いすれば間違いありません!」って騎士団に押し切られちゃったんだよ!』


姿を消したピピが、私の肩のあたりでクスクスと笑う。


「……フランシスカ嬢。もしあなたが伊達メガネをかけて演習場に現れたら、レナード兄上や騎士団員たちがどのような反応をするか……想像するだけで胃が痛みます」


「ふふ、ご安心くださいヴィンセント様。私はただの病弱な生徒として、見学席で優雅に高タンパクなおやつをいただくだけですわ」


「(……本当ですかね……??)」


ヴィンセント様が遠い目をする中、私の心は密かに躍っていた。

騎士たちの動きを観察することは、背筋と広背筋の連動を研究する絶好の機会!

新学期も、私の体幹トレーニング(と王子たちの観察)はさらに熱を帯びていきそうである――!

ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。

https://ncode.syosetu.com/n8541ml/

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