第25話 12歳令嬢、冒険者ギルドに潜入する〜荒くれ者もドン引きの体幹〜
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次の休日。
私は私服のワンピースに着替え、従者の目をうまく盗んで学園の敷地を抜け出した。
向かった先は、王都の路地裏にある『冒険者ギルド』。
重厚な木製の扉を押して足を踏み入れると、酒と汗と熱気に満ちた空間が広がっていた。
「おいおい、なんだぁ? 可愛らしいお嬢ちゃんが迷子か?」
「ここは子どもが遊ぶ場所じゃねえぞ、おうちに帰りな!」
ギルド内にいた荒くれ冒険者たちが、12歳の私を見て一斉に下品な下衆笑いを浮かべる。
(……ふむ。酒の呑みすぎで下腹部が出ているわね。体幹の軸がグニャグニャだわ。あんな大振りな構え、軸足を軽く払うだけでコロリと転がるわね)
私は周囲の嘲笑など意にも介さず、いつも通り柔らかく品のある笑顔を浮かべた。
「皆様、ごきげんよう。本日は冒険者登録をしに伺いましたの」
「ハハハ! 登録だと!? おいおい、剣どころかナイフ一歩も握ったことがなさそうなヒヨコが何言ってやがる!」
大柄な大剣使いの男が、私を追い出そうとニヤニヤしながら肩に手を置こうと伸ばしてきた。
その瞬間――。
(……あ、不躾な手。体幹の軸を一切固定しないまま不用意に踏み込んできたわね)
私は笑顔を保ったまま、指先一つ動かさず、完璧に鍛え上げられた足裏の踏み込みと大胸筋の密度(物理の圧)で空間の軸を固定した。
ズ―――ン……!!
「っっっ……!?!?」
男の手が私の肩に触れる直前、目に見えない強烈な「重力と圧」が男を襲った。
男は私に触れることすらできず、まるで目に見えない鉄壁にぶつかったかのように、ガクガクと膝を震わせてその場に崩れ落ちた。
「ひ、膝が……!? 動かない……!? こ、このガキ……いや、このお嬢ちゃん、何者だ……!?」
『ナイス体幹バリアだよ、フラン! 骨盤底筋群の締めによる空気の圧縮が完璧だったよ!』
姿を消しているピピが、念話で嬉しそうに拍手を送ってくる。
一瞬で静まり返るギルド内。
さっきまで下衆笑いを浮かべていた荒くれ者たちが、顔を真っ青にして後ずさりした。
「な、なんだあの圧は……! 立ち姿が……微動だにしない……!」
「軸がブレてねえ……! あの華奢な体のどこにそんなパワーが……!?」
私はざわつくギルド内を軽やかな足取りで通り抜け、受付のカウンターへと向かった。
受付のお姉さんは、引きつった笑顔で冷や汗を流しながら私を見つめている。
「あ、あの……ご用件は……?」
「はい! 冒険者の登録をお願いしたく伺いましたの。ふふ、これからよろしくお願いいたしますわね」
花が咲くような可憐な笑顔を浮かべる私と、その背後で恐れおののく強面な冒険者たち。
こうして、12歳の侯爵令嬢フランシスカの「秘密の冒険者生活」が、最高に爽快な形で幕を開けたのだった――!
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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