第23話 学園祭の出し物と、第二王子の裏取引
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
お陰様で、連載小説では初となるランクインすることができました。本当にありがとうございました。
魔力測定試験で測定水晶にヒビを入れてしまってから数週間。
学園内では「アイゼンベルク侯爵令嬢は、実はとんでもない圧を秘めているのではないか」という噂が密かに囁かれ始めていた。
しかし、私の「表面上の婚約者」であるレナード王子だけは違った。
「ハハハ! あの水晶は元々ヒビが入っていた欠陥品だったそうだぞ! フランシスカのようなモヤシっ子にそんなパワーがあるわけないだろう!」
自分の都合の良いように解釈して高笑いするレナード。相変わらず大臀筋の引き締まりがなく、立ち姿の軸はブレブレだ。
(……うん、素晴らしい勘違いね。卒業パーティーまでその調子で油断していて頂戴)
私は穏やかな笑みを浮かべながら、生徒会室のソファーに腰掛けていた。
今日は学園祭の準備期間。生徒会長である第二王子ヴィンセント様から、直接の呼び出しを受けたのだ。
「……フランシスカ嬢。兄上の愚行には本当に頭が痛みます」
ヴィンセント様は頭を抱えながら、私にお茶を出してくれた。そして、チラリと私の肩のあたり――姿を消しているピピの気配へ目線を向ける。
「単刀直入に申し上げます。今度の学園祭、我が生徒会で出店するカフェにて、あなたの『至高の料理(マッスルプロテイン仕様)』を提供していただけないでしょうか?」
「カフェ、ですか?」
「ええ。実は最近、学園の騎士科の生徒や魔法科の生徒たちが、過酷な訓練による疲労で伸び悩んでいましてね。あなたの作るあの『超高タンパク薬膳スープ』や『極上肉サンド』があれば、彼らの能力を劇的に底上げできると考えたのです」
(なるほど……! 学園全体の体幹と筋肉の底上げね!)
ピピが念話で「いいねフラン! 学園生たちの筋肉を育てるチャンスだよ!」とテンションを高めている。
「わかりましたわ、ヴィンセント様! 生徒会カフェの特別メニュー、私にお任せください!」
「感謝します、フランシスカ嬢。……お礼と言っては何ですが、兄上が卒業パーティーで良からぬ企みをしているという噂を掴みました。その証拠集めは私が裏で進めておきますので」
「ふふ、頼もしいですわ。では、最高のメニューをご用意しますね!」
◇
そして迎えた学園祭当日。
生徒会が運営するカフェ『マッスル&ビューティー』は、開店と同時に異例の大行列となっていた。
「な、なんだこの肉サンドは……!? 食べた瞬間、全身の筋肉にパワーが満ちて、体幹がガチッと固定される感覚がする……!!」
「この薬膳スープ、美味すぎる!! 魔法の練り込み速度がいつもの倍になったぞ!?」
騎士科の猛者たちや魔法科のエリートたちが、私の作った『至高のプロテイン料理』を食べて感動の涙を流している。
遠くからその様子を睨みつけるレナード王子。
「チッ……たかが料理でチヤホヤされおって。まあいい、卒業パーティーの夜、満座の前でアイゼンベルク家ごと失脚させてやるからな……」
行列の遠くから、嫉妬に顔を歪ませて睨みつけてくるレナード。
『(酷い表情だね、フラン。嫉妬で肩に余計な力が入って、ますます体幹の軸が右に崩れているよ)』
「(本当にね、ピピ。まあ、今は好きなだけ睨ませておきましょう)」
生徒会カフェのプロテイン料理は大盛盛況のまま幕を閉じ、学園内での私の『影の支持率』はヴィンセント様と共に圧倒的なものとなっていた。
だが、これでレナードが大人しくなるはずがない。
「(……さて、次はどんなあからさまな手で仕掛けてくるかしら?)」
学園祭の熱気が冷めやらぬ中、私はピピと不敵な笑みを交わし、レナードの背後に迫る「次なる動き」を静かに察知するのだった――!
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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