第21話 魔導学園の入学と、水面下のビルドアップ
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王妃派との冷戦状態が続く中、私――アイゼンベルク侯爵令嬢フランシスカは12歳となり、難関とされる『ロイヤル魔導学園』への入学の日を迎えていた。
周囲からは相変わらず「病弱で儚げな美少女」と思われている私だが、制服の下の肉体はピピとの日々の『エルフ式マッスルブートキャンプ』によって、大胸筋も体幹も完璧に仕上がっている。
「ルミィ……! 学園生活で無理をして体調を崩さないでおくれよ……! 兄様は心配で夜も眠れないよ……!」
「お兄様、大丈夫です! 毎朝の自重スクワットは欠かしませんから!」
過保護なお兄様の涙ながらの見送りを受け、私は学園の大講堂へと足を踏み入れた。
大講堂には、最高峰の貴族子弟たちがズラリと並んでいる。
その最前列にいたのは――私の「表面上の婚約者」である第一王子レナード(14歳)だった。
「ふん、来たかフランシスカ。相変わらずモヤシのように細くて弱そうだな。僕の婚約者として、学園では大人しく僕の引き立て役に徹するんだぞ?」
脂肪のついた腕を組み、相変わらず勝ち誇った顔で嫌みを言ってくるレナード。
立ち姿の重心は右に大きくブレており、大臀筋の鍛え方は絶望的だ。
(……ふん、今は言わせておきなさい。卒業パーティーのその日まで、しっかり私の大胸筋(実力)を隠し通してあげるわ)
婚約を解消したいのは山々だが、政治的な都合や侯爵家の立場もあり、お父様たちからは「学園を無事に卒業するまでは表立った波風を立てず、静観するように」と言われている。
私が完璧な白鳥の微笑みで「はい、レナード殿下」と受け流していると、レナードの後ろから、知的な雰囲気を漂わせる第二王子のヴィンセント様(12歳)が静かに歩み寄ってきた。
「兄上、新入生をいじめるのはそこまでにしてください。……フランシスカ嬢、お久しぶりですね」
「ヴィンセント殿下、お久しぶりです」
ヴィンセント様はチラリと私の姿勢(ミリ単位の狂いもない完璧な重心)を見つめ、そっと声を潜めて呟いた。
「(……フランシスカ嬢、相変わらず凄まじい体幹の圧ですね。……例の特製プロテインお弁当、今日も持ってきていますか?)」
「(もちろんですわ、ヴィンセント様。アイテムボックスに冷やしてあります)」
「(助かります。兄上の不調法は私が裏でフォローしておきますので、どうか学園を物理的に破壊しないでくださいね……)」
察しの良すぎる賢い第二王子という強力な味方を得て、私の学園生活は順調にスタートを切った。
◇
学園の女子寮、私の自室。
「ふぅ……! 今日の『エルフ式自重トレーニング(学園版)』も最高だったね、ピピ!」
可憐な部屋着のドレスの裾を少しだけ持ち上げ、完璧なフォームで深層筋を締め上げる。
肩の上で姿を現したピピが、金髪碧眼の可愛い顔でニヤリと不敵に笑った。
『ナイスパンプだよ、フラン! 学園の講義で座っている間も、密かに骨盤底筋群を締め続けていたね。あのヒョロガリのレナード王子は、君がどれほどの領域に達しているか全く気づいていないよ』
「ええ。卒業までの数年間……しっかり力を蓄えて、あいつが調子に乗ってボロを出す瞬間を待つわ」
『そう――男の心や約束は簡単に破れるけれど、僕たちが血の滲む思いで鍛え上げた大胸筋と体幹だけは、絶対に裏切らない!』
「ええ、その通りよピピ!」
表面上は「病弱で大人しい侯爵令嬢」を演じながら、水面下で圧倒的な大胸筋と体幹を育て続ける私。
卒業パーティーで訪れるであろう「その時」へ向けて、無敵の筋肉令嬢の学園生活が、静かに、そして着実に動き出すのだった――!
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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