第12話 2歳のバースデーと、勝手すぎる婚約の内定
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
すくすくと(主にインナーマッスルが)成長し、私は無事に2歳の誕生日を迎えた。
深夜の秘密の特訓の成果もあり、私のステータスは劇的な進化を遂げていた。
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【ステータス】
名前: フランシスカ・シャルロット・ルミナス・ド・アイゼンベルク
年齢: 2歳
体力(HP): 150 / 150 (※すでに普通の幼児より遥かに丈夫!)
筋力: 15.0 (※片足スクワットどころか自重懸垂すらこなせる!)
持久力: 500.0 (※お兄様なしでも半月は余裕で生存可能!)
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(よし……! 体力も筋力も、もう病弱どころか健康優良児の域に達したわ……!)
お兄様という名の生命維持装置に依存しなくても、自力で生きていける確信が得られた。ピピと二人三脚で重ねてきた地道なトレーニングの賜物だ。
◇
「ルミィ、2歳のお誕生日おめでとう! 今日のために、王宮の特製ドレスと、世界中から集めた最高級のおもちゃを用意したよ!」
2歳のバースデーパーティーの会場では、相変わらずデレデレのお兄様や、お父様、お母様、そしておじ様が豪華すぎるプレゼントの山を築いていた。
「ふにゃあ……♪(みんな、ありがとう!)」
私が可憐に(加護の補正で)微笑むと、大人たちは例によって
「尊い……!」
と胸を押さえて撃沈しかけていたが――その時。
大広間の扉が開き、王宮からの使者が気まずそうな顔で駆け込んできた。
「こ、国王陛下! オルランド公爵閣下! 王宮の王妃様派閥より、緊急の閣議決定報告が届きました……!」
使者が差し出した書状を見た瞬間、おじ様の顔から一気に笑みが消え、冷ややかな怒りが宿った。
「……なんだと? 私が不在の隙を突いて、王妃たちが勝手に『ルミィと第一王子レナードの婚約』を閣議決定しただと……!?」
実は、国王おじ様がアイゼンベルク家に住み着いてデレデレしている隙を狙い、王妃と保守派貴族たちが強行突破を図ったのだ。
現在4歳の第一王子レナードは、王妃の連れ子(正妻の子)として甘やかされ、わがまま放題に育っている。一方、側室から生まれた第二王子(1歳)の方が遥かに賢く利発なため、焦った王妃派が「将来の聖女(仮)と噂される私」を強引に自分たちの陣営に引き込もうと画策したのだった。
「……ハッ。あの生意気で我がままな4歳児が、僕のルミィの婚約者だと……? 万死に値しますね」
お兄様の紫色の瞳から完全に光が消え、周りにドス黒い覇気が渦巻き始める。お父様も
「陛下の耳に入らぬようコソコソと……不愉快極まりない」
と殺気を放っていた。
(ええっ……何それ!? 会場にいる国王おじ様すら知らないところで、4歳の生意気な王子との婚約が勝手に決められちゃったのーーー!?)
前世で男に二股をかけられ、尽くし損ねて酷い振られ方をした私だ。「男」という存在そのものにトラウマがあるのに、高慢で我がままな王子との政略結婚なんて冗談じゃない。
部屋中がドス黒い空気で包まれる中、私の肩の上で姿を消しているピピが、そっと耳元で囁いた。
「(ふん……王妃たちが勝手に決めた婚約なんて、気にする必要はないよ、フラン)」
「(ピピ……)」
「(誰が相手だろうと関係ない。君が嫌なら拒めばいいし、万が一の時は僕が君を守る。……君の隣にいるのは、僕だけで十分だからね)」
ピピの低く静かな、けれど力強い声が私の心に真っ直ぐ届く。
前世の浮気男とは違う。ピピはいつでも私の味方で、私が強くなるための手を離さずにいてくれる。
(うん……! ピピがいてくれれば、どんな婚約だって怖くない!)
「(よし、フラン! 年上の我がまま王子をいつでも返り討ちにできるように、今日からは『体幹をブレさせない前蹴り特訓』をメニューに追加するよ!)」
「(えっ、相手は4歳児なのに前蹴りの特訓始まっちゃうのーーー!?)」
勝手に決められた不快な婚約を吹き飛ばすため、そして大好きなピピと共に歩むため。
私の極秘マッスル特訓は、新たな領域へと突入するのだった!
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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