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第11話 お兄様の過保護と、真夜中の極秘デュエット

この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。

「ルミィ、今日は少し風が冷たいですからね。お部屋の温度を最適に保つよう、魔導具を増設しておきましたよ」


2歳を迎える準備が進む中、お兄様レオの過保護っぷりは留まることを知らなかった。私がほんの少し「くしゅん」

と小さく鼻を鳴らしただけで、部屋には最高級の暖房魔導具がズラリと並べられ、ベッドはもはや綿あめのようなフカフカのクッションで埋め尽くされている。

(お、お兄様……! 嬉しいけど、これじゃ身動きが取れなくて筋トレができないよ……!)

私がクッションの海で身動きを取れずにいると、肩の上で姿を消していたピピが、すうっと実体化して私の耳元で囁いた。


「(ふふっ、フラン。昼間がお兄様に監視されて動けないなら……勝負は『夜』だよ)」


「(夜……!?)」







その日の夜。

館全体が静まり返り、お兄様やメイドたちが眠りについた真夜中。

月明かりが静かに差し込む部屋で、私はそっとベッドから抜け出した。


「よし……! 今日の深夜メニューを開始するよ、フラン!」


ピピが小さな指でビシッと指を差す。現在の私の筋力は『8.0』までアップし、持久力も『150』を超えていた。自力でしっかりと部屋の中を歩き回り、自分の体重を支えてスクワットができるレベルだ。


「まずは体幹を鍛える『プランク』30秒! 姿勢を真っ直ぐ保って!」


「ぬぬぬぬ……!(よし、任せて……!)」


うつ伏せになり、肘と爪先だけで体を浮かせる。幼い体にとって、これは相当な負荷だ。プルプルと腕が震え、お腹のインナーマッスルが燃えるように熱くなる。

前世の私なら、こんな地味で苦しい努力なんてすぐに投げ出していたかもしれない。でも、今は違う。

横でピピが、私の目線に合わせて空中でお正座しながら、親身になって声をかけてくれているのだ。


「いいよフラン、完璧なフォームだ! 呼吸を止めないで、ゆっくり吸って……吐いて……」


ピピの優しい声が、苦しいトレーニングの最中も、私の心にスッと染み込んでくる。

(ピピ……本当に私を導いてくれてるんだな……)

ただ甘やかされるだけの愛じゃない。私自身が強くなるための手を、ピピは決して放さずに握り続けてくれている。


「(……ピピ、ありがとう。私、絶対強くなるよ)」


脳内念話で素直な気持ちを伝えると、ピピはお人形さんのような綺麗な顔をほんのり赤くして、フンッと鼻を鳴らした。


「(べ、別に感謝されたくてやってるんじゃないよ! 僕の契約者パートナーがもやしっ子だと困るから教えてるだけなんだからね! ……でも、諦めずに頑張る君のそういうところ、嫌いじゃないよ)」


ツンデレなピピの言葉に、思わず心が温かくなる。


「はい、30秒経過! 脱力!」


「ふはぁ〜〜……(疲れた〜〜!)」


畳みかけるように加護『流麗なる白鳥』が発動し、私の疲れ果てた姿は「月光の下で祈りを捧げる儚げな少女」へと変換されていたけれど、部屋には誰もいないので誰も倒れない。平和だ。


「(よし、最後はストレッチをして寝ようか)」


「(うん!)」


ピピと一緒に汗を拭い、フカフカのベッドへと潜り込む。

小さくて温かいピピの手が、私の頬にそっと触れた。


「おやすみ、フラン。明日はもっと強くなれるよ」


「あぅ……♪(おやすみ、ピピ)」


過保護すぎる家族の愛を全身で浴びながら、真夜中には大好きなピピと未来のための努力を重ねる。

私のマッスル令嬢(※表向きは可憐な病弱令嬢)への道は、着実に、そして着実に花開こうとしていた――!

ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。

https://ncode.syosetu.com/n8541ml/

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