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第9章 : 最後の一回か、それとも、もう一度か?(第3部)

この動画は私たちの作品の雰囲気を伝えるショートデモです。


https://x.com/el_geoztigma/status/2110198277224145080


思いを込めて制作しましたので、ぜひお楽しみください。

【登場人物】 ジオ(諦観、17歳)


【日付】 創設より127年 / 西暦2148年(第二次核の冬より20年、第一次核の冬より120年)


【季節】 夏


【状況】 惑星感染(インフェクション・プラネット)進行中


【場所】 ヴィラス・プラテアダス郊外(人類居住区)——「ヴィラス・プラテアダス駅」中央


「やった、成功したわ!」とクリスタルが叫んだ。


だが彼女の声は、僕たちの真上で弾けた爆発音にかき消された。


そして数メートル先に落ちてきたのは、大量の金属片(破片)を詰めた感染の卵だった。ビル4階分ほどもある巨大な塊。腐臭を放つ不快な卵から悪臭が四方に広がり、中から人間ほどもある巨大なハエが群れをなして這い出してきた。卵の下部が弾け飛ぶと、羊水に塗れた四本足の蜘蛛が数千匹、牙と毒針を剥き出しにしながら這い出し、犬や狼ほどの体をゆっくりと整え始めた。


それに気づいたクリスタルは、マクロ・アンビエンテ(巨小環境)への直行便として列車を急ぎプログラミングし始めた。


発車直前、彼女は僕が車両の外に取り残されていることに気づいた。だが、もう遅かった。僕にとってもうどうでもよかった。ここは間違いなく地獄だ。ただ、すべてが終わってほしかった。


列車の扉が閉じ、僕は外に取り残された。


呆然とするクリスタルの顔を振り返る。これが最後であってほしい。永遠の眠りにつきたい。この苦しみがようやく終わることだけを、僕は切望していた。


盲目の蜘蛛たちは、蛇のように伸びた人間の舌に似たもので空気と地面を味わい、貪るものを探していた。牙の間から舌が滑り出し、極上のごちそうを追い求める。


毛づくろいを終えた一匹が、肉と骨でできたこの牢獄へと躍りかかってきた。


穿たれた僕の肺から、最後のメロディが漏れ出す。


Through the darkness I walk… 震え、調子の外れた僕の声。


小さなハエたちがカラスのように駅全体へと群がり、僕の頭上に重なり合って積もっていく。初めてのごちそうに興奮した脚と口器から、体液が駅構内へと撒き散らされた。


瀕死の傷を負った僕は数歩後退した。流れる血に歓喜した四本足の蜘蛛たちが群れとなり、僕の肉体へと襲いかかり、一撃で走行中の列車へと叩きつけた。衝撃で僕は倒れ込み, 驚いたハエたちは近くへ飛び去り、更なる肉の一片を狙っていた。


死は、奇妙なほど穏やかだった。生きたまま喰い荒らされているというのに、静寂に包まれていた。


ようやく自由になれる気がした。魂が浮き上がるような感覚。灰色のかすんだ幕が開き、微かな闇の影のような手が僕の手を握り、吐息を吹きかけてささやいた。


——『お前の番は、まだだ』


サイコロが床に転がる音がこだました。


闇の手が僕を引き戻し、肉体へと押し戻した。


With no fear in my eyes… 死んだ唇から、惰性だけで言葉が漏れ出る。


目を開けると、骨まで腐食した自分の手が見えた。その下で、小さく火花が散り、消えかかった灰が揺らめいている。


手を持ち上げると、その下に隠されていた僕の最も恐れるものが姿を現した……。


——『修羅の剣』


「嫌だ……」と僕は思った。「嫌だ……こんなの悪夢だ。また幻覚だ……こんなことが現実であってたまるか。もしこれが現実なら、僕はどれだけの罪を犯してきたんだ?」


「嫌だ……認めない……」


再び炎と灰を噴き上げる手を掲げ、呪われた剣から逃れようと手を遠ざけた。だが、呪剣は僕の指を追いかけ、意志を持つかのように僕の手へと収まった。


『生ける呪縛』


『生きている呪い』


涙が炎と灰となって灼けつく。


大嫌いだった。こんなこと望んでいない。ただ終わってほしかった。喉から手が出るほど、止まってほしかった。


剣は僕の手と融合し、低いささやきで命じた。


——『立て、我が子よ』


右手の剣の刃で身体を支え、左手で体重を乗せた。

背中に群がる小さなハエたちは、新鮮な肉の代わりに灰しか手に入らず苛立っていた。重い、あまりに重い。蜘蛛たちは食欲を失い、別の獲物を探しているようだった。


クリスタルの乗った列車がそう遠くない場所にあることに気づいた。車両の一つが攻撃を受け、裂け目ができて押し潰されていた。クリスタルが戦闘を続けているようだった。


そこで僕は目を覚ました。夢からではなく、死から。


「クリスタルが危ない」と理解した。


——『すべて殺せ』


再び剣のささやきが聞こえる。


立ち上がると、ハエたちが飛び去った。僕はすぐさま左手を顔に当て、中にある何かを引き剥がそうとした。


——『すべて殺せ』


だが、触れられるのは絶望に歪む自分の顔だけだった。

「お前は誰だ?」と空に向かって問いかけた。


——『私はお前だ……お前が「魂」と呼ぶものだ』


修羅の剣が再び語りかける……いや、あの忌まわしい悪夢が。


「クリスタルを助けなきゃ」


——『死なせておけ。奴らは不要だ……奴らは「鎖」だ』


「クリスタルを助けないと、大変なんだ」


——『奴らがお前を打ち首にしたのだ』


「違う!」


——『奴らがお前を縛り付けたのだ』


「違う! 奴らはできる限りのことをした!」


——『それは欺瞞だ。お前は自分に嘘をついている』


「黙れ! 僕の頭から出ていけ!」


——『この場所全体が、弱者が屈服し、能ある者が去勢されるためだけに存在する』


——『奴を死なせろ。後悔はさせないと誓う』


「嫌だ、助ける」


その言葉を口にするのが恐ろしかった。それを言えば、宿命の道を歩み始めることになる。

だが、言わなければ力は得られない。選ばなければならなかった。


クリスタルの叫び声が聞こえたようだった。恐怖と迷いに苛まれながらも、僕は悲しくもその言葉を口にしてしまった。


I am


the face


of


destruction…


——『そうだ! 言葉によって修羅を喚べ!』


剣を見つめると、それは炎と灰の間から動き、語りかけてくるようだった。


「口でもあるのか?」


——『もう一度言え、そうすればお前の力はさらに増す』


「嫌だ!……」


——『言え、さもなくば奴の死を見ることになるぞ!』


「嫌だ!……」


——『運命を見たいのなら言うのだ』


「嫌だ……神様、嫌だ……見たくない……」


砲撃の爆発音がその瞬間をかき消した。

列車内で繰り広げられる悲痛な戦闘の叫びが再び響く。


——『もう死んでいるかもな』


——『もう遅すぎるのかもな』


——『そう思わないか……?』


… I am…


… I am …


….The King


….of the endless …. shattered skies…


剣は苦痛に満ちた悶絶のような笑みを浮かべて喜んだ。


右手を見ると、剣は右手に融合しており、引き剥がすことはできなかった。完全に固定されていた。


風向きが変わり、腐臭が遠くへ運ばれていく。


灰の犠牲者たちの心臓に残された火花が燃え上がり、少しずつその体から生命の息吹が失われていった。彼らの静止した肉体は、あっという間に風に舞う灰へと変わっていった。


——『喰らえ、我らに喰らわせよ』


記憶の通り、左手を掲げた。運命に敗北し、右手の呪われた剣でかろうじて体を支えながら膝をついた。


存在しない神への祈りのように掲げられた掌。


風に運ばれた灰の塵が、僕のもとへと集まってくる。

未知の力によって渦を巻きながら。


自分のものではない灰が、僕の支配する手の中に集まっていくのを感じた。

風に乗ったあらゆる灰が、僕のもとへ。


その手を目元まで引き寄せて見つめると、そこには敵だった者たちの灰があった。


——『喰らわせよ』


指の一本一本に目が発芽し、隠されたものを観察したのち、再び閉じられた。

そして僕の手であった灰の中から、小さな口々が生まれ、他者の灰を貪り始めた。


空腹感が一瞬、和らぐのを感じた。


「呪われた剣よ……僕がしたことはどういう意味だ?」


——『お前は魂を呑み込んだのだ』


「あんなものにも魂があるのか?」


——『あらゆるものに魂はある。それが我らの為すことだ』


「腹が減っている……まだ……」


——『もっと喰らえ』


「ああ……もっと喰らわないと……」


かすかな記憶を頼りに、僕は車両へと近づいた。


「誰かを助けなければならなかった。その名前が思い出せない」


扉は封印されているようだった。邪魔だった。手を差し込み、クッキーのように破片を一つずつ取り除いてこじ開けた。


頭を下げて車両の中に入ったが、意識はすでに空白で、なぜそこにいるのかすら分からなくなっていた。


そこに、酷く見覚えのある影が見えた。


「水晶の鎖と短剣」——美しく気高い女性の顔が、強い決意とともにそれらを構えていた。


「ああ……久しぶりだな」


僕の灰から、しわがれたささやきが漏れ出た。


「……時の彼方から、あなたを見ていたわ」


彼女の震える声が聞こえた。


「ああ……僕もだ……死の彼方から、お前を見ていた……」


僕は告げた。


彼女は構えを崩さず、運命の残酷な真実だけを僕に残した。


遠い記憶。


息絶えようとしている男——僕の父親の身体の傍らにある水晶の鎖。自分のものであるかのような、遠い記憶。


「記憶の中を漂う、空虚な心」


「何を言っているの?」と、青い目をした少女が尋ねた。


……


「なぜ武器を下ろさない、女?」と僕は問うた。


「下ろせば攻撃するでしょう。あなたの目に映る私の目を見れば分かるわ」


「まだやってもいないのに、なぜ分かる?」と僕は問い返した。


「私を殺すわ。見えているの」


呪われた彼女の瞳の輝きには、大いなる真実が含まれているようだった。


修復しようとする列車の音が響く。その心臓に刻まれた魂もまた、もう一瞬生きることを求めていた。


おもりとなっていた車両を切り離し、甲高い声でアナウンスが響く。


『ご乗車のお客様にお知らせします。これは訓練ではありません。手すりなどにお掴まりになり、体勢を保持してください。緊急事態が発生しました。まもなく目的地に到着します』


列車は加速度を増して動き出し、照明が明滅を繰り返した。


道のりは刻一刻と短くなり、運命が僕たちを待っている。


視線が交錯し、僕たちの身体はマーブル(大理石)のように硬直していた。


「武器を隠すのはやめなさい、見せなさいよ。何を求めているのか分かっているわ……それとも、何かを恐れているの?」


青い目の少女は真実を鞘から抜いた。


その孤独な車両の中で、僕は修羅の剣を露わにした。


青い目の少女が一瞬ためらった。彼女の目は剣に釘付けになり、まるで予兆を見つめているようだった。


「その剣で、夢が終わるのね……」


かすかに聞こえる彼女の呟き。

彼女はさらに構えを固め、剣の刃の反射の中に自分の運命の終焉を見たかのように、一歩踏み出した。


僕は手を掲げ、彼女の魂を求めようとしたが、表面から小さな灰とともに火花が散るだけで、何の効果もなかった。


鎖で繋がれた水晶の短剣が、僕の身体を貫通した。

鎖は列車のパイプや手すりに巻き付き、限界まで張り詰めた。


『レヴィアタンの誇り高き景観へようこそ。首都地区へようこそ。ここはシンセティックの高濃度地区として知られ、高層ビル群の眩い景観と、高所に建設されていることが特徴です——』


再び列車のアナウンスが割り込んだ。


【首都地区】


傷口を開いたままのビルや、切断されたビル群——それが「美しい」景観だった。


列車はさらに高度を上げていく。


「お前が、青い目の亡霊か?」と僕は問うた。


「あなたが……紅の預言者なの?」と彼女は問い返した。


「答えを求めて、最初からお前を追ってきた……」


「希望を求めて、あなたを見つけたわ」と彼女は答えた。


「僕の運命を変えられるのか?」


同時に声を重ねた。

僕は「不可能だ」と答え、彼女は「可能だ」と答えた。


「できるわけがない!!!」


僕は怒りを込めて叫んだ。

そして彼女の目に、恐怖が大きく広がった。


現実を拒絶する者に向かって、風の巨大な圧力が向きを変えた。


車両の後部がブリキ缶のように押し潰され、限界を迎えた圧力爆破のように一気に弾け飛んだ。後続の車両は猛烈な勢いで制御を失い、空中へと脱線して途方もない暴力とともに落ちていった。


クリスタルは身をかがめて鎖にしがみつき、間一髪でかわした。

軋む金属音、内部から命と恐怖を吹き込まれた列車の火花。与えられた目的を果たし、無駄な抵抗で脱線させまいとする最後の吐息。


予言された結末を告げる、明滅する光……。


感じる……終わりが近づいているのを……。


——『すべての鎖は打ち砕かれる』


「言葉の一つ一つに、力が宿るのだ」と僕は祈った。


直後、彼女の水晶の鎖に亀裂が入り、砕け散った。水晶の結晶と粉塵が床に降り注ぎ、散乱した。


身体に突き刺さった破片を引き抜き、左手で摘み出した。


「嫌!!」


彼女は僕の最後の宣言に対し、戦う姿勢を正しながら叫んだ。


「そうだ!!」


僕は彼女の拒絶に答えた。終わりが近づいている……腹の底から怒りが蠢き、赤き色が僕の感覚を侵食し始めていた。


「嫌あああ!!!」と彼女は全力を振り絞って叫んだ。


「そうだ!!!」


僕は闇の中、青い目の亡霊に向かって猛烈な暴力とともに修羅の剣を抜いた。


——『殺せ!』と剣が叫んだ。


車両が長方向に対して真っ二つに裂けた。

クリスタルは横に跳んで間一髪で避けた。


暴力に満ちた僕の目が、あまりにも緩やかに流れる時間の中で彼女を捉えていた。


火花が散り、列車の光が再び明滅した。彼女の顔が見え、続いて刃と鎖が僕の顔を貫き、崩壊寸前の車両の天井へと叩きつけた。


「黙れ! 馬鹿者が!」


戦いの絶望的な叫び。

首吊り処刑の無駄な試みのように、僕は身動きが取れなくなっていた。


彼女は僕の体を蹴り、天井は移動の衝撃で剥がれ続け、鎖は破れた車両の窓枠の至る所に巻き付き、僕を縛り付けていった。


僕の足は宙に浮き、彼女は僕を絞殺しようと全力を込めて鎖を締め上げた。


だが——「僕」は戻ってきたのだ。


苦しみながらも、ある種の清明さをもって、僕はその言葉を口にすることができた。


風


の


舞い


首に巻き付いた鎖との抵抗をやめた。


青い目の亡霊へ左手を差し出すと、僕の手のひらに風が集まり、呼吸するためのあらゆる空気と風を奪い去っていった。


「それが……あなたの力……ブレスレットもなしに……」


重い息遣いと彼女の青い瞳は、終わりを悟ったようだった。


直後、青い目の亡霊は一歩、また一歩と後退した。


「彼女の瞳の中に、敗北が見えた」


そしてもう一歩、崖っぷちの縁へと近づいていく。


「ダメ……ジオ、ダメ……」


「何が見える!? 亡霊よ!」


……


「……私の死が……」


彼女はうわの空で答え、最後の踏みはずしによって落ちていった。


列車の線路が火花で満たされた。彼女の身体が鉄の線路に激突し、激しい火花を散らした。


彼女の力から生み出されていた水晶の破片が砕け散り、衝撃のたびに空中へと散っていった。


そして僕は、煙の上がる戦争の空虚へと沈んでいく彼女の姿を、最後にもう一度だけ見つめていた。


「うあああ!!!」


蓄積された怒りとともに僕は叫んだ!

直後、僕の力が解放された。それが列車をあらゆる方向から押し潰し、壁や天井を切り刻んで引き裂き、床を叩き割り、手すりを鋭い刃物のように切断していった。


列車は制御を失い、絶壁から落ちる一歩手前で脱線して止まった。


僕の炎は、押し殺した挫折感とともに少しずつ消えていき、空腹と虚脱感が再び僕を襲った。これが最後であってほしいと願う、眠りの中へと落ちていった。


……

……

……


だが、僕の不幸なことに、そうはならなかった……。


脱線した列車の中で目を覚ますと、そこには星のない暗い空が広がっていた。


炎の爆ぜる音が耳に届く。

空をもの凄いスピードで駆け抜けていく灰。


そして空には、遠くに見えてすぐ目の前で起きている戦争の爆発が映し出されていた。


最後のかすかな考え、頭の中で旋回する最後の「夢」。


「マクロ・アンビエンテへ行かなければ」


どこから来たのかも思い出せない、遠い記憶。

一人の少女を覚えていた。エミリー? クリスタル? どこから来たのだろう。僕の目の中で、プリズムが砕け始めていた。


何かが僕の心を乱していた。


「オトロラ(Otrora)を見つけなければ」


「きっと彼の中に救いがあるはずだ」


ここはどこだ? 僕はまた別の悪夢の中で目覚めたのだろうか?


立ち上がろうとしたが、身体の重みが凄まじかった。それでも疑問と深い痛みを抱えながら、なんとか立ち上がった。


列車にはまだ電力が残っており、白いノイズの混ざった遠い声が聞こえた。


『危険です。列車から避難してください。危険です。列車から避難してください』


緊急事態であるかのように、何度も何度も繰り返されていた。


身体を整え、運転席へと向かった。

コンソールの上に大きなデジタルタブレットを見つけた。都市の被害状況、停電セクター、可能なルートが表示されていたが、全てブロックされていた。列車を制御するインスタンス(処理系)も選択肢を失い、行くあてがなかった。音声操作を接続し、話しかけてみた。


「気分はどうだ?」


『私ですか? 大丈夫です、ジオ。もう時間は残り少ないですが。皆様をここまで運ぶのが、私の限界でした。バッテリーが切れれば、まもなく私は死にます』


「皆様をここまで運ぶのが、私の限界でした」


「なぜ僕の名前を知っている?」


「なぜ『死ぬ』なんて言うんだ?」


『私の個体識別システムは常に作動しています。車内カメラで見ればすぐに分かります』


『二つ目についてですが、私の統計マップは復旧の不可能を示しています。レヴィアタンは死の淵にあり、再び充電が行われる可能性はありません。だから死と言うのです。永遠にシャットダウンされる……それが死ということでしょう』


「名前は何というんだ? 覚えておきたい」


『私の名前は、インスタンス 11.937.214 - O です』


「11-O(イレブン・オー)と呼ぶよ。いいか? 後で迎えに来られるかもしれない」


『はい、良い名前ですね、ジオ。最後に何かお手伝いできることはありますか?』


「オトロラと直接話すために、マクロ・アンビエンテがどの方向にあるか教えてくれ」


『線路に沿って進んでください。ここから約100キロの位置にあります。徒歩で数日もあれば辿り着けるでしょう。神のご加護がありますように』


『……ところで、オトロラとは誰ですか? その場所で誰かと約束でも?』


その無頓着な質問を聞いた瞬間、鉛のような嫌な予感が胃の腑に落ちてきた。ただの悪い偶然だろうか?


「オトロラだ。最高インスタンスの。知っているはずだろう?」


『データベースを検索中……』


『約2,000,000,000件の記録中、「オトロラ」という単語の検索結果は0件です』


『申し訳ありません、オトロラの記録はありません……そろそろ……私は……』


そして、列車の灯りが落ちた。

僕の身体を、激しい震えが襲った……。


線路に沿って続く、苦難の歩みを遠く見つめる。

戦争の渦中を行く、信仰の旅路を。

この楽曲は本編に属し、この章を締めくくります。


https://x.com/el_geoztigma/status/2108956303188197802


シーズンもいよいよ大詰めです。


物語の結末を予感して身構えた方もいるかもしれませんが……どう転がるかは、まだ誰にも分かりません。


そして今日、ずっと追い求めていた芸術的なスタイルをようやく完璧に表現することができ、深い感動を覚えています。この表現力をこれからの執筆に活かし、作品が放つすべての思索と瞬間を余すところなく描き出していきたいと思っています。


まだ十分に慣れたわけではありませんが、その実装の仕方を掴むことができました。最初の一歩こそが最も険しく、そして長いものです。ここから先は、きっと少しずつ進みやすくなるはずです。


ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

次回の更新も、どうぞお楽しみに。



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