第4章 : 緊急閣僚会議(第3部)
クリスタル:レヴィアタン副大統領
政府閣僚会議室。預言者たちが全員自席につき、その周囲には補佐官や治安維持部隊が控えている。
「ヴォフ・クローネンバーグから連絡があった。レヴィアタンの地を戦争の炎で焼き尽くすつもりらしい、そんな風に聞こえた」
閣僚たちは冷ややかな視線を向ける。
「分かっている、クリスタル。我々のところにも連絡があった。一人ひとりに要求を突き付けてきやがった。政府を渡す気など毛頭ない。奴らには呪われた血で贖ってもらう」
アウキロスの黒ずみ、やつれ果てた顔がその怒りを雄弁に物語っていた。
「我々は戦争の戦闘員ではない。準備ができているとは思えないわ」
アルテミスが言葉を挟む。
「自分の分だけで喋れ、姉貴。私は奴らの船を缶詰みたいにこじ開けてやる準備ならできている」
ジューンが怒気を含んで言い放った。その声からは血に飢えた復讐の匂いが漂っていた。
「交渉すべきではないでしょうか、我が大統領、そしてアウキロス閣僚長。それが一番賢明だと思われませんか?」
カエサルが意見を述べた。
「ふざけるな! くたばれ、カエサル! どんなに汚らえしい血を代償に払おうとも、奴らを叩き潰してやる。主権を守るためなら、必要とあれば死者すら戦わせてでも、誰にも我々の頭を踏みにじらせはしない。お前の言葉は反逆者のそれだ、その汚い口を洗って来い」
「申し訳ありません、閣下」
そう言ってカエサルは退出した。
中に異議のある者はいるか!
アウキロスが唸り声をあげる。
……
「私の言う通りに進める!」
アウキロスが言い放った。
「……アウキロス、もし私たちが消耗戦を強いられるような不運に見舞われた場合、レヴィアタンには全人類の人口を養うだけの食料がありません。私たちの独立と主権の法律によって、他星系間貿易からは孤立しています。高すぎる太陽放射から私たちを守るレヴィアタンのドームもいまだ修理中で、作物を育てるのは事実上不可能です。仮に始めたとしても、最初の収穫まで1年はかかります。遺伝子組み換えの穀物の実を手に入れることなど不可能です。宇宙との交易がなければ、私たちの手足は縛られたも同現場です」
「クリスタル! お前を信用していなければ、今頃反逆者だと思い込むところだ。なぜそんなことを言うのか理由は分かっているが、私たちに選択肢はない。食料のために自分たちの首を差し出せば、そもそも養うべき口すらなくなってしまうのだ」
アウキロスはそう断言した。
……
……
……
「全人類および非人類の戦闘部隊に対し、国家全域への展開および戦闘態勢に入るよう命じる」
「アウキロス! オトラに連絡を取るべきです、彼は……」
「ダメだ! あの機械は我々の支配者ではない。そんなことは私が許さん、クリスタル」
「預言者たちは退室せよ! すでに相応の命令は下した」
それがアウキロスの最終宣告だった。




