第5章 : 到来(第3部)
この章には、以下の楽曲が伴奏として添えられています。
https://x.com/el_geoztigma/status/2102571584665817562
ジオ:飢餓の淵にある若者
青空の果ての神と、ひび割れた濁ったプールの底のような私の気力。鳩たちに与えた餌が彼らと共に消え去ったのと同時に、渇きも飢えも消え失せていた。それが私の最後の仲間だった。時折、夢と悪夢の狭間にいたあの優しい少女の顔が思い出される。
クリスタルは二度と戻ってこなかった。もしかしたら、私に愛想を尽かしたのだろうか……。掠れ、変わり果てた私の声、衰弱しきって外れそうになる顎。
私の運命は決まった。やがて私は死ぬだろう。すべてが手から零れ落ちていく。
乾いた涙が心の中で流れ落ちた。痛みはもはや痛みを生まず、渇きは消え、飢えは存在せず、そして痛みは……
消え去ったのだ。
ついに……。
突如として、私は力と満ち足りた感覚を覚え、ひび割れたプールの底から立ち上がった。階段を駆け上がり、家の中を突っ切ると、微かに明滅する感覚を導く音――轟音を求めて通りへと飛び出した。
オークル(黄土色)の色彩。炎を上げる巨大な焚き火のように燃え盛る、焼け焦げた街路と建物。
音……。
轟音……。
どこから来るのだ……?
それは紛れもなく、武力闘争の音だった。
視界が暗くなりかけていたが、悲痛な叫び声に続く泣き声が、私を不意に現実に引き戻した。銃声のくぐもった反響、遠い過去の音が私の脳裏によみがえる。
戦争機械だと?
子供たち、女たち、そして難民たちが、正体の知れない何かにおびえて逃げ惑っていた。
遠くで爆発音が聞こえ、私はレヴィアタンのひび割れた街路を、足をもつれさせながらその後を追った。
少しずつ、一歩また一歩と、あの大きな力と充実感が私の身体から消えていき、ゆっくりと、風に舞う花びらのように灰が私の人間性を断片ごと奪い去っていった。
あの染みは、死を超えてさえ自らの運命を忘れることを拒んだ魂に他ならない。死の向こう側でさえ、その黒い染みこそが、私が本当に何であるかを思い出させてくれる。
無差別に、年齢も関係なく、セカンドチャンスを求めて必死に逃げる人々の命の重さなどお構いなしに……。彼らは、飽くなき野獣の牙に押し潰され、踏みにじられていた。制御を失った忌まわしい存在が街を駆け抜け、命あるもののすべての息の根を止めていく。
周囲では、無垢な魂がバラバラに引き裂かれ、未知なるものの糧となっているのが見えた。それは最悪の悪夢の中でさえ見たかもしれないものだったが、今や目の前で、かつては優しい女性であり、子供たちの母親であり、家族であったはずのものを貪り食っていた。
飼いならされざる野獣たちが、溢れかえる大河のようにレヴィアタンの街を駆け抜け、行く手を阻むすべてを蹂躙していく。レヴィアタンの兵士たちは、無垢な者たちのために二度目の命を捧げていた。より良い日を信じ、訓練に人生のすべてを捧げてきた若い兵士たちの目に浮かぶ、遅すぎた後悔――。
彼らの目に浮かぶ遅すぎた後悔……。
犠牲者の顔をその牙に引っ提げた一団の馬のように、彼らはその唯一にして最後の恐怖の表情を刻んだまま、レヴィアタンの最も暗い底へとそれを引きずり込んでいく。
血走った目、すでに別世界へと飛び去った視線が、恐ろしい生き物たちの牙に噛み砕かれ、消えゆく顔の骨を弄ばれながら、血に飢えた野獣の群れの中に埋もれていく引き裂かれた顔面に焼き付いている。
私のねじ曲げられた精神の中でシンフォニーを奏でる遠い反響は、もはや逃れることのでえない悪夢そのものだった。
誇り高き兵士たちが命乞いをし、救いを求め、神に医者や奇跡を祈っている。
レヴィアタンの大隊や男たちは、未知の力によって押し潰されていく。
……
レヴィアタンの若く誇り高き新たな才能の軍勢は、まるで見習いの子供たちであるかのように地面に虐殺され、その内部に宿るすべての命が引き抜かれて原型をとどめなくなるまで、組織的に穿たれ続けた。
肥料になるためだけに切り捨てられた花々。
犠牲者たちでどうにか空腹を満たそうと、制御を失った牙が猛る。
「記憶にしがみつくことで、思い出を締め付ける意志」
私は天を見上げ、神と運命の顔を拝もうとしたが、どこにもいなかった。その代わりにあるのは、まるでアリやスズメバチのように、数千、数億と、天にも地にも数え切れないほど群れをなして湧き出す、ある種の「何者か」が乗る浮遊大陸だった。
私はただの……
一つの染みだ。
「私は完璧さの只中にある一つの染み」
私はただの染み……
「私は存在してはならないもの」
私はただの染み
「私はそこにいるべきではないもの」
そうだ、それが私だ。
「私は、死後、最初の瞬間から忘れることを押しとどめた記憶」
ただの黒い染み。
「命また命、死また死」
それ以上でも、それ以下でもない。
「何度その家に帰ろうとも、意志は忘却に打ち勝った」
私は染みだ……
「そうだ、私はあの染みだ。決して消し去ることのできないもの」
「身体がゆっくりと朽ち果てた後でさえ、意志は死に打ち勝った」
……
……
……
私は初めからそこにあり、たとえ一つの記憶としてであれ、終わりまでそこにいるだろう。誰にも消すことのできない染みとして。
なぜなら、私が選んだ色彩とは意志であり、その絵の具は永遠に色褪せないからだ。
なぜなら、万物の先にあったのは意志であり、神でさえそれを知っているはずだからだ。
私の身体は、巨大都市レヴィアタンのねじ曲れた路地に灰の悪臭を漂わせながら黒い炎に包まれた風の中の花びらのように、ほぼ完全に崩れ去っていた。時間とともに消えゆく命の火花を纏いながら。
被害者たちと加害者たちから湧き出る血の大河が、レヴィアタンの最悪の時代から腐り果てた街路で渦を巻いていた。
「歯と硬い顎に噛み砕かれ、ただの氷の破片のように頭蓋骨が割れる」
燃え盛る路地、骨まで蝕まれた魂、血の染み、侵すことのできない輝く太陽。終わることなく燃え盛る戦争の雲と、あらゆる場所に広がりゆく灰。
レヴィアタンの建物は、神や奇跡や技術によって自らを守ってくれるという希望を抱きながら運命から身を隠す子供たちを覆い隠す、ただの影にすぎない。
命に回帰するには何と素晴らしい光景か。再び存在するには、ただ一つの記憶さえあればいい。
ただの記憶、それが私たちなのだ。
……
……
……
言葉をもって……
言葉と、言葉を重ねて
思考と思考を紡ぎ、あってはならないものを私は呼び戻していた。
「
修羅
の
剣
」
私の指は風を滑り、遥か太古の昔から続く私の大いなる力が流れるのを感じた。かつての私、いつだってそうであった私が、大地にすがる血の中から私を見つめていた。
その染みこそが本当に私であり、他のすべては私の魂のほんの微小な断片にすぎない。
私はあの染みであり、あの染みこそが私の魂なのだ。たとえ人々が私を誤解しようとも、私は常にその染みであり続け、決して消えることはない。なぜならそれは永遠に残り続けるからだ。そして今日という日、私の目玉は見開かれ、あまりにも遠くを見据えるだろう。振り返ったとき、かつての私がいた場所にはもう何も残っていない……残るのはただ一つの染み、まさにこの染みだけだ。
私は剣を手に取り、力強くそれを握り締めた。
言葉に言葉を重ねて私の力が増幅し、初めての記憶を呼び起こしたとき、私は風を呼んだ。
「
風
の
舞
い
」
すると猛烈な突風が応え、古からの仲間だと認めるかのように、まるで風の精霊が私の周囲で舞うように私を包み込んだ。
失われたものを取り戻すべく、言葉を重ねる。
「
奴らを全員殺せ
……
行け、我が最初の友よ
風よ。
」
求婚するかのように腕を差し出すと、古い友人である風が気まぐれのように応じた。無垢な者たちの血が地面から巻き上がり、レヴィアタンのすべての壁に飛び散った。恥を知らぬ染みたちよ、なぜなら死の苦しみの中において、事前の栄誉も事後の栄誉もなく、警告もなく、儀式もなく、誰が君たちを記憶するわけでもなく、不名誉が君たちに降りかかったのだから。
狂乱した野獣たちの血が無垢な者たちの血と混ざり合い、風の古くて途方もない力が、レヴィアタンの街路や壁にすべてと全員を叩きつけ、ひび割れや下水溝に染み込むただの染みとして、かつての姿の残骸であるただのシルエットとして消し去った。
レヴィアタンの街路は、風の途方もなく原始的な力によって歪められた。
風は何キロも何キロも吹き抜け、その行く手にあるすべてのものが、神聖なまでの優しさと暴力によって綺麗に浄化されていった。
私のうつろな目は、無垢な者たちのものだった血を哀しみと痛みを持って見つめ、無垢な者たちのすべての命をかき集めて彼らに返してやりたかった。そして、返されたその者たちが、二度と戻ることのない旅路から目覚めてくれたなら……。
おお、我が神よ!
なぜ私の歩みに血を満たしたのですか?
おお、我が神よ!
なぜ不義が病的になるほどに溢れるのを許したのですか?
おお、我が神よ!
なぜ私がクリムゾン・プロフェット(紅の預言者)でなければならないのか?
私はただ鎖から解放されたかっただけだ。あまりにも多くの鎖が絡み合い、どれがどれだか見分けがつかない。
おお、我が神よ!
ただ悔い改めたいのだ!だが、私の目が捉えるものを奪われるわけにはいかない!それはあなたではなく、私のもくなのだから!
おお、我が神よ!
私の決めた運命を私に告げさせてくれ。
おお、我が神よ!
私の意志はもっと強い……
いつかの人生で、それを証明して見せよう。
私はあてもなくレヴィアタンの街をさまよった。
すべてが終わり、お前たちの手から私の運命を奪い取るその日まで、私はこの剣を背負い続ける。
I am the Crimson Prophet, the beast untamed,
私は紅の預言者、飼い慣らされざる野獣、
Treading the winepress of the wrath proclaimed.
告げられた怒りの酒槽を踏みしめる。
The blood flows out like a rising tide,
血潮は満ち潮のように溢れ出し、
Nowhere to run, and nowhere to hide.
逃げる場所もなく、身を隠す場所もない。
My flesh rebinds with a holy sound,
聖なる響きとともに我が肉体は結ばれ直し、
While I burn the sinners to the ground!
罪人どもを根絶やしに焼き尽くす!
I fall upon my face, I cry aloud,
私は地に伏し、大声で叫ぶ、
Covered in a grey and crimson shroud.
灰と紅の聖骸布に包まれて。
"Ah My Lord! Will you destroy them all?"
「ああ我が主よ! 彼らすべてを滅ぼされるのですか?」
But I am the one who makes them fall!
だが、彼らを墜落させるのはこの私なのだ!
The iniquity is exceeding great
不義はあまりにも深く満ち満ちて
And the land is full of blood and hate.
大地は血と憎悪に満ちあふれている。
The Lord has forsaken the earth,
神はこの地を見捨てたのだと、
they say, So I am the Lord who rules today!
奴らは言う――ならば今日、この地を統べる神はこの私だ!
I am the Crimson Prophet, the beast untamed,
私は紅の預言者、飼い慣らされざる野獣、
Treading the winepress of the wrath proclaimed.
告げられた怒りの酒槽を踏みしめる。
The blood flows out like a rising tide,
血潮は満ち潮のように溢れ出し、
Nowhere to run, and nowhere to hide.
逃げる場所もなく、身を隠す場所もない。
My flesh rebinds with a holy sound,
聖なる響きとともに我が肉体は結ばれ直し、
While I burn the sinners to the ground!
罪人どもを根絶やしに焼き尽くす!
At midnight I strike the firstborn dead,
真夜中、私は長子を撃ち殺し、
I paint the doorposts with a crimson red.
門柱を真紅の血で塗りたくる。
Not to save them from the angel's pass,
天使の災禍から救うためではなく、
But to watch them break like shattered glass.
砕け散るガラスのように壊れる様を見るために。
My only son, my perfect clone, Sits upon a rotting throne.
我が唯一の息子、我が完全なる分身が、腐敗した王座に座している。
I am the Crimson Prophet, the beast untamed,
私は紅の預言者、飼い慣らされざる野獣、
Treading the winepress of the wrath proclaimed.
告げられた怒りの酒槽を踏みしめる。
The blood flows out like a rising tide,
血潮は満ち潮のように溢れ出し、
Nowhere to run, and nowhere to hide.
逃げる場所もなく、身を隠す場所もない。
My flesh rebinds with a holy sound,
聖なる響きとともに我が肉体は結ばれ直し、
While I burn the sinners to the ground!
罪人どもを根絶やしに焼き尽くす!




