幼なじみ(2)
寒空の下少年は意をけして道場に入ろうとしていた。
弱い自分を変えたくて。
「なあ。さっさと入んねえの?」
後ろから声をかけられた。そこには少し生意気そうな幼い未來がいた。
「お前初めて見る顔だな。この道場に入りたいの?門開けないと入れないぜ」
と笑いながらそいつは道場に入っていた。
その後をつけるようにそろりと少年は着いて行った。
「未來〜。後ろにいるやつだれ?」
と門下生が言った。
「なんか道場に入りたいらしい。お前師範とこ連れてけよ。」
と違う子に案内してもらい師範の所に行き体験入門させて貰った。
当たりを見渡すと小学生から中学生まで居たが1番目立っていたのは幼い未來だった。
目立っていたといても悪い意味だが
それから1ヶ月が経ち組手をすることになった。
「賢人くんも1ヶ月が経って大分慣れたと思うから組手をしようと思う。相手は、そうだな〜。未來お前がやれ!」
「えー。やだよー。めんどくさいし」
「いいから整列してやれ!」
そう言われ國村と組手したが初めて1ヶ月毎日稽古していたおれはあっさり國村に勝った。
当然だ彼は真面目に稽古をしたことがなかった。
道場の師範と彼の父親が仲がいいことから半ば無理やり道場に通っていたのでやる気はなかったのだ。
その日の稽古終わり。余程悔しかったのか。
「次は絶対負けねぇ。」
と涙を滲ませながら未來は賢人に宣戦布告した。
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「へぇ。意外ね未來くんが負けたうえに泣きべそかくなんて。」
「あの頃のあいつは弱くて意地っ張りだったからな。だがあいつの凄さを知ったのはそのすぐ後だった。その次の稽古からあいつは両腕、両脚に包帯を巻きながら稽古に来たんだ。」
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両腕、両脚に包帯を巻いた國村はその日から稽古に参加せず師範代の1人を連れ、外で組手をし続けた。
よほどこの間のが悔しかったのかと気にも止めず稽古をし1年が過ぎた頃。
道場では次の大会の出場者の選定をしているとこだった。
そのため門下生は毎日自主練をしていた。
ある日、自主練終わりに神社に寄った。
神様に大会の出場をお願いしようと思ったわけじゃなかった。
何かに引き寄せられるように神社に向かっていた。
どーん、どーん、どーん。
と音が聞こえてきた。石段をのぼるた度に音が大きくなっていった。
頂上に登ると境内の端の御神木に向かって國村が殴って、蹴るを繰り返してるのが見えた。
御神木を叩く音が聞こえてきていたのだ。
少し見ていると後ろから声をかけられた。
「あの子の友達かい?」
振り向くと神主がいた。
「いや。友達というより知り合いです。」
と答えた。そうかと神主は言うと困った顔していた。
「どうかしたんですか?」
「あの子は、1年ぐらい前から毎日あの御神木を殴り続けているんだよ。最初の頃はよく止めたんだが止めたってやり続けるからどうしたもんかと困っていたんだ。」
そりゃそうだ。御神木を殴る、蹴るなんて罰当たりもいいもんだ。
だが神主は御神木を心配するよりも國村の身体を心配していた。
「あの子最初は血まみれになりながら殴り、蹴り続けてうちで包帯を巻いて辞めるように言ってたんだが聞かなくてねぇ。なんでも天才と友達になりたいから友達になるには同じ土俵に立たないといけないって言って」
1年前、丁度おれに負けた時だ。だが天才ってだれだ。
と考えながら國村に気づかれないように石段を降りた。




