それぞれの思惑(警備部の場合)
蒼月要は思案していた。
支弾長の表情の微妙な変化。あれは、月見里京介について何かを知っているようだった。
「みんな、明日からの学院の警備だけどね…。月見里京介には特に注意しておいて欲しい」
黒服を身にまとう蒼月の隊の弾員は皆当惑の色を見せる。
「何故、月見里京介なのですか? 隊長は月見里が犯人ではない、と報告していませんでしたか?」
黒服の一人が口を開いた。それは誰もが抱いた疑問。
「うん、あの時はああ言ったけどね。僕はまだ月見里京介が怪しいと踏んでいる。彼が手を掲げた途端に被害者は燃え上がった? 犯人がルートを発動した時にたまたま手を掲げた、そんな偶然あるのかなァ? 仮に犯人が被害者に条件発動式の術式を仕掛けていたとしても、『誰かが自分に向かって手を掲げること』なんて、成立確率が低いものを起動条件にしたりするかなァ? 犯人が彼でなくても彼の近くに犯人が居る、僕はそう思っているよォ」
彼の周辺を学院内外問わず注意して欲しい、と蒼月要は言葉を締めくくった。
「月見里京介が犯人である可能性、それを常に念頭に置いて行動すること。良いね?」
その言葉に皆気合いの入った声で応じる。
「あらゆる可能性、か。……朔君。僕も京介君が犯人じゃなければ良いな、とは思っているけど、あくまでもこれは銀色の魔弾の任務だ。君は私情に流され過ぎてはいないか?」
蒼月要は静寂が支配する廊下を歩き、一人考えていた。




