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深い夜
揺らめきは夜の闇の中にあって夜よりもなお深く昏い色。
目の前に横たわる黒い塊は、かつて人だったもののなれの果て。ソレは黒い焔に包まれ、焔の向こう、想像を絶しなお余りある苦悶の表情を浮かべ、ドサッという間の抜けた音を立てて崩れ落ちた。
ソレはきっと、聞いたものを戦慄させるような断末魔の旋律を奏でていたに違いない。しかしその絶叫も喉を焼き尽くされていたために、音にならなかった。一つの命が消えるにしては、あまりにもあっけない幕引き。そんな、命の軽さに想いをはせる、黒い人形となった犠牲者の前に立つ者が一人。
「月見里京介。彼はどうやら弓月朔の友人、らしい。実にいい拾い物をしたなァ」
街灯のない道にあって、今夜の月では力不足らしく、月光が闇を払うまではいかない。
「どうやらこの物語の担い手は、弓月朔をどうしても殺したいらしい。くっくッ」
そういってひとしきり嗤い、その人物は人形がまき散らした臓器を足で転がしつつ、その場を後にするのだった。




