一大決心、遂に…
入学式からしばらく経ち、ぎこちない空気も薄れ始め、クラスでの人間関係も段々定着していく頃。
数日前から、xクラスの教室内は情報処理科名物の食堂の話で持ちきりだった。
相談し合い、友達同士で挑戦してみようという声がそこかしこから漏れ聞こえてくる。
京介もワイスや何人かから誘われていたが、fpが少ないからとの理由で遠慮していた。
朔が新入生代表として、あの日ステージに立って以来、聞きたいことが山ほどあったが、何となく声を掛けるのを躊躇っていた。が、今日ついに決心をした。
京介は授業が終わってすぐ、朔にメールを出そうと生徒証を手にしていた。
授業中ずっとメールの文面を考え、入力してはやり直し、何度も繰り返して今ようやく入力し終えたものの、送信ボタンが押せないでいた。手に変な汗をかいていることに気づく。そうしてしばらく端末とにらみ合いをしているのだ。
「んじゃ、俺学食行ってくるわ! 気が向いたら来いよ」
と、ワイスが京介の肩を叩いた。京介はそれに相槌を打ちつつ、きっと行くことは無いだろうなと内心思っていた。
「え、ウソ!?」
ワイスが教室を出るのを見届け、端末に向き直り、京介は血の気が引いた。画面に表示されているのは“送信完了”の文字。
「……って、俺、決心したんじゃなかったのかよ。結局最後の一押しはワイスか……」
一度送ったメールはもう取り消せない。ならば、と半ばヤケクソ気味に一人ごちる。
と、ほどなく返信が来た。
「……あんだけ悩んでたのに、バカみたいだな、俺。…よし!」
朔からの返事には、指定する場所に来てほしいとあり、その場所は、教室棟の屋上だった。




