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ぼっちの予感
「では、今日の演習はこれで終わりだ。各自、今日の演習内容を頭に刻んでおけ」
九条教官は教室を後にした。結局京介はあれから何もできなかった。
京介の憂鬱な気分とは対照的に、クラス中は熱気に包まれている。
「演習、まじスゲーな」
「やはり、真実への探求の道はまだ始まったばかりですな」
「しかし、教官の迫力にはさすがにビックリしたわね」
「小生、何とか30センチ程、書物を動かせました」
今日は初日ということもあり、授業はこれで終わり。あとは各自自由解散、となっているのだが、興奮冷めやらないクラスメイトは、めいめい演習の感想などを語ったり、各々のハッキングの精度を検討したりで白熱していた。
そんな楽しげな音はしかし、京介にとって自らを惨めにさせる耳障りな雑音にしか聞こえず、耐えきれなくなり、黙って席を立った。
今日はこれ以上授業がなくて、本当に良かった。机に突っ伏して寝たふりをしなくて良いのだから。
熱狂に包まれる教室で、一人空気のように存在感を消して教室を出た京介に気づく者は、幸いなことに誰ひとりいなかった。




