第29話 新黄金の豊穣
ついに現れた、冥界最強の絶望――Level 999の古竜!
羽ばたき一つで町を消し飛ばす圧倒的な力に、スカウターすら爆発する始末。
絶体絶命のミドリを救ったのは、勇気でも魔法でもなく……さっき食べた「冥界の草」でした。
今、一頭の牛が放つ「キラキラした黄金」が、伝説の古竜を未曾有の屈辱へと叩き落とす!
衝撃(物理)の第28話、開演です!
小竜バックだと、思い込んでるチンパンを追い掛け、ジャバンの町へ来た。
「この町から、なら近いよ!」
チンパンの【スキル】ワープにより立ち寄った町に戻り、距離を測りなおした。
突然、ミドリの獲得【アイテム】逆鱗が輝きだした。
「距離2000m近づいてきてるわ!」
チンパンの叫びが響き渡る。スカウターを起動させた、何やらこちらに接近してくる。レンズは、その怪物の姿を捉えた瞬間に割れ、火花を散らして沈黙した。
そこに降臨したのは、Level 999――冥界の古竜。
ただ羽ばたく操作だけで民家が消し飛び、大地が悲鳴を上げる。絶望という言葉すら生ぬるい、終焉の光景だった。
「貴様らか、我を苛立させるのは?お前達の中にイライラさせるものがある!!」
「あれ?バックじゃない!?」
ヤフーがビビり、足が伸びる。
「ひぇぇ〜。」
涙目のチンパン「えぇ〜古竜って言ったじゃない!!それにあんたの、逆鱗光ってるわよ〜!」
ミドリ「あれは古竜で、俺は、子供の方の子竜だ!!」
その時ミドリが蹄を震わせ、後退りする。しかしその時、ミドリの腹部を強烈な衝撃が襲った。
ギュルルルルルッ!!
(……ッ!? や、やべぇ……さっきの冥界の草、食べたからか……?今さら効いて……。)
脂汗を流し、悶絶するミドリ。古竜がその巨大な顎が開き、町を焼き尽くそうとしたその瞬間――ミドリの中で「何か」が限界を突破した。
「……出るモゥォォォォーーー!!」
ミドリは全霊の力を込め、下半身から放たれた『黄金の豊穣』を、あろうことか古竜がしゃがみ込んだ口の中へぶちまけた(物理)。
「ブッッパァァーーーン!!」黄金に輝くなんならキラキラした、聖なる戦いには似つかわしくない、湿った破壊音が響き渡る。
※(お食事中の方申し付訳ありません。)
Level 999の古竜が、目を見開いた。その高潔な魂が、かつてない異臭と屈辱に汚染されていく。
「……!? ヌ、ヌオォォォ!?臭ささっっ!ヤベェ、何だこの、魂が逆流するような味はぁぁ!!」
悶え苦しむ巨体が、みるみるうちに縮んでいく。冥界の草膨大な魔力が「黄金の豊穣」との化学反応(?)によって培養し、デバフ効果がかかる。
ついには地面に転がるトカゲサイズ――「小竜」へと成り下がった。
「ペッペッ、最悪だな〜。」
子青竜Level15へ下がった。
「……あ、やっぱり私の予想通りだわ!」
「こいつ、最初からこのサイズだったのよ。さっきのは……ただの集団幻覚ね…子竜だってリサーチした私の勝ちよ!」
「いや、絶対僕の『黄金』のせいだモゥ……」
と反省するミドリ。
チンパンが、杖を構える。
「よし、とどめよ!」
「ちょっと待ってくり〜。」
必死に命乞いをする元・古竜。
【ログ】
子青竜がこちらを見て、仲間になりたがっています。
ミドリの目の前。
YES or NO
「チンパンがごめんなさい。いや俺か?」
ミドリは2足立ちして、蹄でおす。
名前を決めて下さい。
………ア……オ………。
(色味が青いから、よし、さすがに立ったほうがやりやすい。)
全く以前の迫力が消え去っている。
こうして、かつての最強生物は、ミドリの「お腹の調子」によって完全に屈服した。
「仕方が無い。よかろう。命を救われた恩として、同行してやる。我を肩に乗せる光栄を噛み締めるが良い」
ミドリ「それより、子竜バックの位置情報出してくれ!」
「解ったわよ!急かさないで…。」
【スキル】リサーチを使った。
「いたよ!ここから、北北西の位置に10キロの位置に子竜反応。」
アオ「北北西?ふっふっ。」
「オゥク何が?おかしい、美味しい物でもあるのかブゥ?」
「そこは、冥竜の窟さ!」
【ログ】
ミドリ 新スキル取得 新黄金豊穣
第28話をお読みいただきありがとうございました。
「黄金の豊穣」、まさかの古竜をデバフで退化させるという最強の使い道が判明しました。
新しく仲間になった「アオ(ブルーベビー)」も、口の中の味(!)は最悪だったようですが、なんとかパーティに馴染みそうです。
しかし、本物のバックがいるという「冥竜の窟」には、一体何が待ち受けているのか……。
新スキル【新黄金豊穣】を手に入れたミドリの、次なる一撃(?)にご期待ください!




