第27話 冥界のチキンレース
冥界に散らばった仲間たちを探すミドリと、最強の助っ人(?)チンパン。
まず最初に見つかったのは、崖の下でピンチに陥っていた鶏のヤフーでした。
しかし、再会したヤフーの姿は、ミドリの知っている「鶏」の概念を遥かに超越した「ダチョウ化」の危機に瀕していて……。
ギャグとシリアスが交差する、冥界チキンレースの幕開けです!
「いたわよ! あそこの崖の下!」
チンパンが杖を指し示した先。冥界の毒々しい紫岩が連なる谷底で、ヤフー(鶏)は絶体絶命のピンチ……ではなく「絶妙にシュールな状況」に陥っていた。
「コケェェェッ!? 伸びる! 足が、足が限界まで伸び〜るる!!」
見れば、ヤフーは巨大な人食い花――『冥界食花』にパクりと咥えられ食べられそうです。
普通ならそのまま飲み込まれて終わりだが、ヤフーが火事場の馬鹿力を発揮して、食べられないための必死の抵抗であった。
花の口から飛び出したヤフーの脚は、竹馬のようにニョキニョキと数メートルも伸び、谷底の地面にガッシリと突き刺さっている。
「助けてぇ! これ以上伸びたら、僕、ダチョウになっちゃうよぉぉ!」
「……ねぇミドリ。あれがあなたの言ってた『鶏』? 新種の未確認生物(UMA)の間違いじゃない?」
チンパンがリサーチメガネをパチパチさせながら、引きつった笑顔で問いかけてくる。
「いや、僕の仲間なんだ! お願いチンパン、丸呑みされる前に助けてあげられるかな?」
「わかったわよ!」
詠唱「……ワレキタレシテキトウナカミ……」
*びょびょん!!
**対象物の一部をゴムにする事が出来る**
チンパンが杖を振るい、妙な名前の呪文を放つ。
すると、ヤフーを咥えていた人食い花が、文字通り「びょびょん」とゴムのように口がゴムにかわり弾かれて、ヤフーは吹っ飛んで、自由の身となった。
ドサッ。
「ヤフ〜痛っ…ふえぇ……死ぬかと思った……。あ、ミドリ! 生きてたんだね!」
足が急速に縮んで元のサイズに戻ったヤフーが、涙目でミドリに駆け寄る。
「ヤフー!無事でよかった……。HPあと1しかなかったんだぞ!もうダメかと思った。この人は、僕も助けられて、仲間になったんだ、チンパンさんって言うんだ。」
「チンパン……? え、お猿さんなの?」
「……焼くわよ?」
ここまでの経緯をヤフーに伝えた。
「……あ、あれ?そういえばオゥクは?あの食いしん坊の豚は?」
ヤフーの言葉に、チンパンが再びリサーチを起動させる。
「豚は……ここから500m先。……何これ? 位置情報が、『巨大鍋の中』から動いてないんだけど」
「「…………えええぇぇぇっ!?」」
ミドリとヤフーの悲鳴が、冥界の空に虚しく響き渡った。
第27話をお読みいただきありがとうございました!
ヤフーの謎体質「ピンチになると足が伸びる」、いかがでしたでしょうか。鶏としてのアイデンティティを捨ててダチョウになろうとする必死の抵抗に、書きながら少し同情してしまいました。
そして、新キャラ・チンパンの適当な詠唱も初披露。……「適当な神」って、そんな神様がいていいのでしょうか。
次回、第28話はいよいよ「鍋の中」にいるオゥクの救出作戦です。
果たして彼は「いい出汁」が出てしまう前に助かるのか。それとも、鍋の中で何か別のミラクルを起こしているのか……。
次回、「豚、煮込まれる(仮)」。ご期待ください!




