第十四話『ドラゴンディベート』
住宅街にひっそりと佇む図書館、どちらかと言うと漫画喫茶のような利用のされ方が多いと、キュウちゃんが言っていた。
館内にはカフェが併設されていて、本の持ち込みも自由。テイクアウトして図書スペースへの持ち込みも自由。個室もあり。パソコンもあるよ。
「さぁて、モンスター図鑑はどこにあったかなぁ」
ジャングルのような本棚の群れを彷徨いながら、あんな本がある。この本は面白そう。会話を楽しみながら探しては別の棚へと移っていく。
図鑑はまとまった所に置かれていたようで、合わせて武器武鑑なんてものもキープして、私達は読書スペースへ向かった。
六人がけのテーブルがいくつかあり、何やらゲームのようなものを楽しんでいる人達もいる。
「あれは、ボードゲーム? 盛り上がっているみたいだけれど、すっごく静か」
「図書館は、他人には他人の会話がミュートされるんだよ。内緒の話とかには最適だね」
「ピロートーク?」
「それはホテルに行ったほうがいいよ」
どうやら出歯亀はできないらしい。
席について図鑑を広げる。
モンスターの名前は、日本的に英語のような名前の前に、その個体を表す言葉がつく漢字。
例えばボルケーノパンダ。赤と白の体色がユニーク。燃えるような闘魂を持っている、炎を纏った体当たりが得意技なのだとか。
「……え、これに乗るの?」
「うん」
まさに火の車。
「やっぱり憧れはドラゴンだよねぇ。西洋風の、手足の生えたドラゴンも格好いいし、東洋の蛇みたいな感じのもいい感じ」
「どっちがより良いとか、あるの?」
「そうだなぁ……」
パラパラと図鑑を捲り、私に西洋風のドラゴンのページをしっかり読むように促してくる。そうしてしっかり読むと、今度はキュウちゃんが東洋風のドラゴンのページを読む。
「よし。それではどちらのドラゴンのほうが魅力的か、ディベートをしてみよう」
「知ってる。知識を武器にして殴り合う競技」
「物騒な言い方だけど間違いではなさそうな不思議」
もうちょっと穏やかに、と注意を受けて、いざスタート。
「では、先ずは私から。東洋風のこのドラゴンはね。まず跨りやすい。鬣のようなものも生えているから掴みやすし、翼をはためかせる必要もないから移動も静か。西洋風を内燃エンジンだとすると、東洋風は電気自動車、って感じかな」
「エコだよそれは!」
「え?」
「え?」
こういうリアクションは求められていないらしい。
「あ、じゃあ次は私の番だね。えっとね、西洋風のドラゴンは、パリピなテンアゲっぽい」
「その心は?」
「SAY YOH FU!!」
当然負けた。




