表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

第十五話『二人旅』

 どのようなモンスターを仲間にするか。それを検討するために、図書館でモンスター図鑑とにらめっこをしていたのだけど……。


「なんか、ピンと来ない」

「実物を見ていないからかな? 実際に会ってみると違う感想を持てるかも」


 キュウちゃんの提案に従って、私は草原を歩き始めた。目的地は海。空を飛ぶ羽根の生えたシャチというものを見てみたくなったのだ。


 海まで続く馬車はあるものの、それは海水浴場として使われるような海岸に続くものであって、モンスターが多く現れるような場所からは程遠い。


 それに他のモンスターの観察もしてみたいということで、のんびりと歩いて向かうことにした。


 目的地まで片道二時間ほどだというから、温泉へ行くよりは遠くない。けして近くはないし、寄り道はするだろうし、もっとかかると見ていいだろう。


 犬のモンスターは、グルルと唸ってちょっと怖い。


「仲間にするとめっちゃ懐くよ」

「顔を舐める? あれって、舐められて直ぐに拭くと印象悪いかな?」

「うーん、どうだろう。犬を飼っていないから分からない」


 愛情表現で考えるのなら、私はきっと猫派なのだろう。


 ツチノコは、草の陰からジャンプで現れ、毒霧を吐いてくるから厄介だ。


「ツチノコを仲間にしたら、何か意味あるの? 懸賞金が貰えるの?」

「そんな現実的な要素はないかなぁ。巨大化しないから乗れないし、でも触った感触は気持ちいいって言うよ。モンスターは二体まで仲間にできるから、癒し枠として入れるのも人気だとか」

「戦闘では役に立たないの?」

「投げてぶつけて毒霧を吐いてもらうのが鉄板」


 可哀想。そう感じてしまえば最後、仲間にしようとはなかなか思えなかった。


 川沿いに出た。


 オオサンショウウオのようなモンスターが、のんびり寛いでいる。けれど、そのサイズが軽自動車ほどはあるから驚きだ。そして、とても強いらしい。


「向こうから襲ってくることはないけれど、こちらから仕掛けると面倒だよ。身体がぷにぷにしていて物理攻撃は効きにくいし、粘液を出して魔法を防ぐし」

「どうやって倒すの?」

「根気」


 根気と婚期は粘るもの。頭の中のサチがそう言った。


「挑戦してみる? 負けても街に戻るだけだし、気楽に挑戦してみてもいいけど」

「うーん、でも、今は海に行きたいし……」


 強いモンスターと戦ってみたい気もするけれど、今はモンスターの観察が主となっているから、ここは涙をのんで見送ろう。


 いや、そこまで悔しくもないし、見送られるのは私達なのだけど。


「そう言えば、さ。アンティはテレビはよく観る? あ、昨日観たんだ。私は動物番組をよく観るんだけど、テレビの動物番組って、おもしろ動画か感動系かばかりでしょ? もっとこう、動物園とか野生で見るような、動物の生き様を見てみたいんだよねぇ」

「ライブカメラみたいなやつ?」

「それだとちょっと味気ないけど、でも、製作者の意図を持って動物を演出するのは、ねぇ。ちょっと穿った見方かもしれないけれど」

「じゃあ、動物のどんなところに感動する? 笑える?」

「そうだなぁ……」


 少し間が空き、キュウちゃんはこう答えた。


「でっかいワニとか、動物の行動で驚いている芸人のリアクション?」


 それはきっと、製作者の意図に沿っているよ。そして私達も、川沿いに沿って進んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ