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第十三話『とりあえずの目標』

 弓による攻撃は、なかなか奥が深いものだった。


 威力の上がるマニュアル操作、威力が下がるが照準を自動でしてくれるオート操作。曲射をする際に上空からの視点に切り替える機能。


 慣れるまではオート操作で充分だ、とキュウちゃんは言っていたけれど、私としては早くも挫折の兆しが見え始めていて、早々に違う武器へと浮気をしそうになっていた。


 それについては追々と決めていくことにして。私は存分に戦闘を楽しみ、ゲームの進め方というものを徐々に掴んできたと思う。


 キュウちゃんの言った通り、戦闘はやられる前にやるが基本。だから、一撃で倒せないモンスターが現れたら、装備の強化やレベルアップターン。


 一撃で倒せるうちは、マップを埋めるために探索。そんな感じ。


「戦闘にも慣れてきたみたいだし、とりあえずの目標を決めようか」


 手頃な岩に腰掛けて、キュウちゃんが口を開いた。


「素材を集めるのが、仕事です」

「いやいや、ずっとそれだけではつまらないでしょ? こう言うのは、スケジュールを決めるといいの」


 話を聞くと、素材集めの日と探索する日を分けるべきだと言う。


「月曜、火曜、水曜は素材集め。後は探索。とか。一日おきで変えていくとかね。初心者向けの素材集めだけではレベルアップも進まないし、そうなってくると私たちも困る」


 なるほど。と頷いて、頭の中で計画を立ててみる。


「うーん、考えてみたけれど、素材集めを切り上げるタイミングがよく分からないの。もっとあったほうがいいかな、どのくらい必要なのかな、って考えると、なかなか止められない」

「それについてはサチさんに相談してみるといいよ。おおよそのノルマは設定してくれると思う」


 再びなるほど。街に戻ったら聞いてみることにしよう。


「じゃあ、素材集めの話は棚上げしておいて。探索についてだけど、どういうふうに進めていきたい?」

「どういうふうに?」

「えっとね、例えば食事を楽しみたいのなら、この街を目指す。レベルアップを効率的に行いたいから、経験値を多くもらえるモンスターのいる場所を目指す。そんなふう」


 最初の街と呼ばれるあの街は、この大陸における中央付近にある。だから、マップを埋めるためには先ずどちらの方向に行くかを決めなくてはならないのだけど……。


「イカワミ温泉には行ったんだよね? あれより北にいけば山岳地帯で絶景が広がっているんだけど、その分足場が悪くて戦闘するにはちょっと難易度が高い。けれど、結構経験値をもらえるモンスターも居るんだよね」


 モチーフとなっている静岡県で言えば、北の角のような場所だ。


「富士山みたいな大きな山の方へいけば、畜産が名物の街があるから美味しいお肉や牛乳が頂ける。浜名湖みたいな方では鰻や蟹、牡蠣なんかが名物だし、伊豆の方も海産物が美味しいね」

「街から見て、南の方は?」

「飛行場があるから、別の大陸や島に行きたいなら真っ先に目指すべき。場所ごとに世界観的な雰囲気が変わってくるからね」


 例えるなら、京都府をモチーフにした島なら平安時代のような趣が感じられ、茨城県がモチーフの場所はスペースファンタジー風味。


「ピザ好きの私としては、断然沖縄モチーフの島がお勧めかなぁ。彼処はピザ屋が多い天国だから」

「ダイビングなんかはお勧めじゃないの?」

「水の中はなぁ。また違った装備を用意してないと、潜る度にダメージが発生するから」


 娯楽には準備が欠かせないらしい。


「そう考えると、一番手軽に行える娯楽は乗馬かな。移動を楽にするためにモンスターを仲間にできるのだけど、一番スピードのある馬が人気」

「ミナミコアリクイに乗ったりできる?」

「そんな大きなコアリクイは居ないかなぁ」


 ちょっと残念。


「でも、移動の足を手に入れるのはいいかも。他にはどんなモンスターに乗れるの?」

「図書館に図鑑があったと思うから、確認しに行こうか」


 憧れのドラゴンか。はたまた可愛さの権化の猫ちゃんか。出来れば、大きさが自在に変わって、抱きしめることが出来るモンスターが居ればいいのだけど。


 そうすればきっと、知らない人と話すときに勇気がもらえる……はず。 

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