雇われ店長の苦悩
売り上げを伸ばすために自己啓発書を読むヒロ。
ワルの経営学を読んだヒロは…。
「女は悪い男が好きだ。」
「ワルを演じろ。」
俺は悩んでいた。店の経営というのは本当に奥が深い。
「夜の経営学入門」
この本によるとオラついた感じで、ワルを演じると店が上手く回るという。
確かに、キャバクラは典型的な夜の店だ。ひょっとしたら上手くいくかもしれない。
俺は東京のドンキホーテに行って、派手な背広、サングラス、金のアクセサリーを買った。
そして、髪を坊主にして、ラインを入れた。
日サロに行って色黒にした。
帝都線で帝都に戻ると誰もいない店内で買ってきたものを身に着ける。
サングラス、金のネックレス、ラインの入った背広すべて身に着けて鏡に身を移すと……。
「ガラわるっ」
自分で自分をみて思わず叫んでしまった。
シャツのボタンを2つはずし、金のネックレスを見せ、サングラス。
ボウズにラインが入っているのもワルって感じだ。
これ見よがしにつけられた指輪もワルポイントを上げている。
「あれ、おれって。結構いけてるんじゃね。」
なんというか、土竜の歌とか、任侠ものに出てくるチンピラみたいな感じになっていて、ワルの経営学の影響を受けていた。
だが、見た目だけじゃ不十分だ。俺は女たちに言う言葉を練習した。
「おい、くそ女今月全然売り上げてねーじゃねーか。ふざけんなよ。」
本にはここで灰皿で殴る又はビール瓶で殴ると書かれていた。
俺はミネラルウォーターのからボトルで練習した。
セリフも棒読みになってイマイチ感情を乗せ切れていない。
「おいビッチ、もっと名刺渡して売り上げろや」
「てめえ舐めてんのか。こらあ。」
だんだん気持ちが乗ってきたな。俺結構ワルの素質あるんじゃね?
鏡をみて、やくざ風の見た目の自分を見つめる。
俺いまイケてるんじゃね?
「ヒロどうしたのよ。」
サキュバスのテレサが出勤してきて開口一番。
「その服と髪型、急にどうしたの?」
俺は店員に嘗められていたモヤシ雇われ店長ではない。今の俺はワルだ。
ワルの経営学の98ページ
「まず、ボトムビッチ。つまり女房役を決めろ。」
俺は、その金言を思い出した。今こそ勝負の時じゃけえ。
「いいか、テレサ。お前は女房役ビッチだ。」
「はっ?」
「お前が他のビッチを競わせて、金を稼がせろ。」
「ヒロ何を言っているの?」
唖然とするサキュバスのテレサ。
俺の、ワルっぷりに完全にビビってやがるな。これぞワルの経営学。
そこで、金言。76ページ
「ビッチの稼いだ金はすべてお前の金だ。お前がビッチに金を分けてやれ。」
こいつらが、稼いだ金はすべて俺のもの。
女は金を稼ぐための道具。稼げない女は糞ビッチだ。
「今度は一体何の影響をうけたの?」
テレサはため息をついて、店の奥で仕事をはじめた。
これで、女房役ビッチは落ちた。
この調子で、他のスタッフじゃなかった、ビッチ共も俺に従わせてやる
ミーティングの時間になりキャバ嬢が続々と集まってくる。
ナンバーワンとツーは二人とも同伴か。まあいい。
「最近のお前らは弛んでんだよ。本気で売り上げ伸ばす気あんのかこらあ。」
決まった。噛まずに気持ちの乗った演技だった。
劇団四季張りの演技に、俺は俺自身にスタンディングオベーションを送りたい。
俺は、近くにあった灰皿を壁に投げつけた。
キャバ嬢のうち何人かが悲鳴を上げる。
「仕事舐めてっとぶっ飛ばすぞ。」
俺はそう吐き捨てて女房役ビッチのテレサに今日の目標を発表させた。
ふふっ俺の作戦は大成功のようだ。サキュバスのビッチたちも、エルフのビッチたちもヒソヒソと何か話している。
俺のワルっぷりにビビってやがる。これで売り上げは倍増。俺は店長からエリアマネージャーになり出世街道をハーレーで爆走。
俺は、ミーティング中に高笑いをして、シフト入力に向かう。
一方ビッチたちはというと……。
「ねえ、店長のあれって?」
「また、変な自己啓発本に影響されたんだと思う。」
「ないわー。」
サキュバスたちはヒソヒソとつぶやきながら、店長(雇われ)の噂をする。
「この間はなんだっけ?」
「確か、ディズニーランドの経営術だったっけ?」
「あーそうだった。まあ、あれは今回よりは大分ましだった。」
「言えてる。」
中堅サキュバスが頷く、共通の敵で団結するこれはどこの世界でも共通だ。
「キャストの負担も考えてほしいわ。」
「そうそう、スタッフ管理だけしておけって話よ。」
「ワシは初めてじゃけえ、よう分からん。」
ビアンカはいつも通りのガラの悪い広島弁で会話に参加する。
ふふっ今日は久しぶりに開店が楽しみだ。
きっと俺にビビったビッチたちが馬車馬のように働き売り上げを伸ばすだろう。
この、ワルの経済学を買って正解だったな。
開店と同時に客が流れ込んでくる。
さあ、女ども俺のために金を稼げよ。
開店後まもなくティファニアがふと客と同伴で入ってきた。
ティファニアは俺を見るや否や開口一番
「きもっ」
と吐き捨てて奥のビップ席に入って行ってしまった。
あの糞ビッチが、後で灰皿で殴る必要がありそうだ。
俺は何時ものように雑用などせず、亜人どもが金を稼いでる間。
スマホでゲームに供していた。楽なものだ。俺は女を従わせ、女が俺のために金を稼ぐ。
まさにパトロン。
悪魔的アイディア。
自分の天才ぶりに怖くなってくる。
「ワルはモテル」
というのはどこの世界も同じらしい。
俺はスマホげーでもしながら、ビッチ共が稼ぐのを待っていればいい。
今までの苦労がバカのようだ。
そして、ゲームに没頭しているうち閉店時間になった。
「さあて今日の売り上げはっと」
俺はワクワクしながら今日の売り上げを確認する。
「なんじゃこりゃあああああ」
普段の売り上げの三分の二。なんで下がってるんだよ。
俺はミーティングをしにフロアに出た。
「おいこれはどうゆうことだよ。お前ら仕事するきあんのか?」
俺が怒鳴り散らかすと、スタッフはしずまりかえった。
おい、シーンとしてんじゃねえよ。
「ヒロ、そのことは私が話すわ。」
そういって場を仕切ったのは女房役のテレサだった。
「私がひろと話すから、みんなは帰っていいわよ。」
それを聞き、他の亜人たちも帰っていく。
「お疲れさまでした。」
亜人は帰っていく、テレサは明らかに何か言いたげだ。
テレサと正攻法で売り上げを上げることにした




