閑話:エロゲ入手イベント 1
再投稿です。
量は前回より相当増えてます
異世界から帰ってきた俺、小鳥居九郎は新作エロゲの発売日の1日前に帰ってくることができた。だが行方不明だった人間が突然帰ってきたことで大ニュースになり、帰ってきた当日は家族と話し合い、発売日はご近所さんに報告、報道陣の対応と忙しくなりエロゲを手にいれることができなかった。
報道陣がなぜこんなにも早く事態の把握をすることができたのは、親が警察に行方不明届を出していたこともあるからだ。警察は俺が疲れているのと言うと事情の説明は後日でいいとしてくれたのだが、俺が見つかったことを知った報道は何十人もが俺の家に押しかけた。全くもってでる隙をあたえてくれなかった。
さすがに普段温厚な俺もガチギレしかけた。何度も死にかけたがエロゲのために魔王を倒してやっとの思いで帰って来たのにこの有り様。
しかし、メディアは仕方ないことだと割り切り、もやもやを性欲にかえ、ぶちまけた。
そして次の日、俺はようやくエロゲを入手するために早起きをした。
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ジリリリリッ、
朝8時半に目覚まし時計が鳴る。九郎はうるさいアラームを止めようと、右手を動かそうとする。しかし何かに抑えられ、身動きがとれなかった。
九郎は唯一自由に動く首を傾け、自分の身体を見る。右腕にはユナが、左腕にはミレア、胸の上には丸まったシロが乗っており、右脚にはアヤメが、左脚にはレンが抱きついていた。
「どういう状況?てかお前ら俺から離れろ!俺はこれから大事な用があるんだよ!」
九郎は全身を無理矢理に動かす。
「くぁ〜〜〜、おはようクロ」
「おはよう、シロ、俺の上から去れ」
「おはようございます」
「おはよう、ユナ、俺の右腕を離せ」
「おはよう、九郎くん」
「おはよう、アヤメ、俺の右脚を返せ」
「主、おはようです」
「おはよう、ミレア、左腕に頬ずりせずにさっさとどけろ」
「おはよう、ござい 、ます?」
「おはよう、レン。朝弱いのは相変わらずだなぁ〜。とりまどけろ」
「お前ら朝のご挨拶は大事だが早く俺から離れろ!俺は8時40分までに家出ないと間に合わないんだよ!」
「ならこんなギリギリに起きるな。もっと余裕を持てばいいだろう」
「うるさい!イーナ、睡眠は大事だ」
朝から姦しい。
地球に帰って来てから、九郎の自室に九郎とメイドを合わせて11人で寝ている。この人数でもベッドと床に布団を敷けばなんとか眠れる。しかし狭い。
「九郎!うるさいわよ!」
下の階から大変響く声が届く。
その声に九郎はげんなりした。
「いいか。今日は本当に大事な日なんだ。だから早く準備をさせてくれ」
「エロゲの発売日だからか?」
「そういうこと」
「ご主人様、私たちも同行してもよろしいですか?」
「・・・え?」
ユナの発した言葉に九郎は固まった。
「私たちはこちらの世界についてご主人様から聞いた話のみでほとんど知りません。なので実際にどんな世界か見てみたいので」
「確かにその通りだけど俺の買い物についてきたところで知れることなんて少ないぞ」
「こちらの世界を見たい気持ちもあるだろうが、私はともかくこいつらはお前が1人なのを良く思うはずがないだろう。連れて行ってやれ」
「それは大変嬉しい話だけど、てかイーナも思えよ」
メイド達が心配してくれることに九郎は頬を緩める。しかし内心は、
(やばい。こっちの世界にあいつらが来て2日。確かにまだ案内出来てないけど、よりによって今日案内しないとダメなのか!エロゲ買いに行くのに女連れで、それも複数。そして超絶美少女、美女だ。R18コーナーにこいつら連れて行くのは絶対何か起きると俺の勘が言っている!どうしよう?あ、そうだ!)
「お前らが俺を心配してくれるのは嬉しい。わかった。ついてきていいぞ。ただし五分で準備しろ」
そう言うと九郎からみんな離れて行き、いそいそとお出かけの準備を始めた。
ようやく自由になった九郎は一階へ降りた。
「おはよう、母さん」
「はいおはよう。朝からうるさい」
リビングのソファーにだらんと寝転がっている女性。小鳥居陽菜。九郎の母親だ。
「徹夜か?」
「ええそうよ。締め切りに間に合う程度には進んだから、これから寝ようと思っていたんだけど。あんたの声がうるさくて目が覚めた」
「それは・・・ごめん」
「まぁいいけどそれよりこれからどこか行くの?」
「あいつらと市街地までいこうかと」
「良いわねぁ!デートね」
「まぁそうなるのかな?あはははは」
九郎は市街地と大まかな場所で言葉を濁した。
九郎がエロゲをしていることは陽菜は知っているしそのことを九郎も知っている。
陽菜は漫画家だ。そしてイラストレーターでもあった。エロゲの原画を担当したことがあり、九郎にすごく自慢してきた時があった。
「あんた、この作品知ってる?私が原画なのよ!すごくない!ついにエロゲデビューまでしたのよ。差分とか初めてだったけどなかなかよ」
こんな感じで。
九郎もその作品は持っている。てか押し売りされた。
まぁその話は置いておく。エロゲに理解がある陽菜だが、
「それでどこに行くの?」
「え?だから市街地に」
「詳しい場所と内容を聞いてるのよ」
「ショッピングモールで映画でも見て・・・」
「違う。エロゲを買いに行く」
どこから現れたのか、九郎と陽菜の間にシロが立っており、言葉を挟んだ。
「シロちゃん?今エロゲを買いにいくって言った?」
「うん」
「ちょっと九郎こっちに来て、そこに正座」
「はい」
九郎は陽菜に和室に連れ込まれた。
「九郎、デートでエロゲを買いに行くことはないでしょ」
「いや、違うよ。エロゲは買いに行くし、デートもするけど、一緒に買いに行くわけじゃない。俺が買っている最中はあいつら違う場所にいてもらうから」
「じゃあ、何?恋人ほっぽりだして、自分は二次元の彼女の元へ行くっての?それはないでしょ」
「俺がエロゲ買えるのは今日までなんだよ!明日になると予約していてもキャンセルされて買えなくなるの!俺がなんのために地球に帰ってきたと思ってんだよ!はっきり言うがエロゲのためだぞ!だけどあいつらがこっちの世界見て見たいって言うからだな、俺なりに考えて」
「あんた彼女のせいにするの!全く信じられない、とんだバカ息子ね」
「バカで悪かったな!あんたの弟様と違って俺はバカですよ」
九郎と陽菜は睨み合う。この二人仲が悪いわけではないのだが、九郎の恋人の話となると陽菜が首を突っ込んでくるのでこういう雰囲気になったりする。
いがみ合っていると二人に声がかかった。
「二人とも朝からうるさいよ」
「「こいつが悪い!」」
二人の目が声をかけた一人に集まった。そこに立っているのは容姿端麗で優しそうな雰囲気の男。小鳥居向晴、九郎の弟だ。一歳年下で九郎とは違う高校に通っている。
成績優秀でスポーツ万能、1年でありながらサッカー部のレギュラー。それに先生からの信頼も厚い。そしてモテる。入学してまだ1年も経っていないがすでに何人もの女性に告白をされている。同級生に限らず、先輩にもだ。しかし誰とも付き合っていない。
半年前の九郎はそこにイラッとしていた。
「二人とも指を向けない。朝から何があったの?」
「九郎がデートに行くってのにその目的がエロゲを買いに行くとかありえないでしょ!」
「デート・・・え!デート行くの!」
「そこじゃないのよ。デートでエロゲ買いに行くって言うのよ」
「だから違うって言ってるだろ!」
「え、本当にデートに行くの?あの人達と?」
驚いた様子の向晴。
「恋人とデートに行くのは普通のことだろ。何を驚いているんだ?」
「何を驚いている?」
シロが俺の横からひょいっと現れる。
「シロ、お前、そんな登場しかできないのか?」
「うわぁ!シ、シロさん、きゅ、急に出てこられたら驚くんで」
九郎はいつものことなので適当に返す。それに比べて向晴は顔を赤くして慌てたように答える。
実はこの向晴、シロに惚れている。九郎が恋人を家族に紹介しようとしたときに告白したくらいだ。まぁ即玉砕したんだが。
「ああ、もう時間だ。じゃいってきまーす」
「九郎、そんな棒読みでごまかせると思ってんの!逃がさないわよ!」
陽菜がリビングの扉の前を塞ごうとするがそれよりもはやく九郎はリビングを抜け出し、玄関にて大声で叫ぶ。
「お前ら、すぐ降りてこい!」
すると、ドタドタッと階段から足早に降りて来た。シロとイーナはすでに降りて来ていた。
「じゃあ、行くぞ!エロゲを探す旅に」
「「「「「おお!」」」」」
「なんでそんなに元気なんだお前らは」
イーナだけが呆れ顔だった。
〈side 陽菜〉
私が捕まえようとしたのに九郎から逃げられた。昔は余裕で捕まえられたのに無駄に回避能力上がったな、あのバカ息子。
「まったくあの子はこっちに帰ってきてからは毎日ばたばた、前もそうだったけど本当にうるさいわね」
「いや、帰ってきてからはあの人たちもいて余計にだよ」
息子の向晴は呆れ顔で私に言った。
あの子が家に来たのは9歳のころ。九郎の通っていた児童養護施設の閉鎖に伴ってやって来た。それからもう8年も経った。最初は全然仲良くなれなかったけど、何年もかけて本当の家族になった。親しくなってからは今と同じようにいろいろやらかしたけど。
「それよりあんたはシロちゃん好きなんでしょ、ならどうすんの?寝とるの?」
「母親が言って良いことと悪いことがあるよ!好きだけど絶対に、俺に靡かないってのはここ数日でわかったから新しい恋でも探すつもりだよ」
「何ちょっとかっこいいこと言ってんのよ。ぶっちゃけキモいわよ」
罵倒はしたが最近、息子たちが大人になってきていると感じる。年のせいかな?
「どうせ夕方には帰ってくるでしょ。最近、ご飯はナーシャちゃんとかユナちゃんにまかせてばっかりだから、今日ぐらい作ってあげようかな」
ただ、ちょっと寝てからやろう。私なら多分ちゃんと起きる、はず。
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家から徒歩と電車で1時間と少し、ようやく九郎達は目的地へ到着した。
「何あの綺麗な人達!?モデル?」
「あんな綺麗な人見たことない。外国人モデルかなぁ?」
「え!?じゃあ今から撮影か、やばすぎる!写真撮ろう!」
九郎の周りというより、恋人達の周囲に人だかりができ、皆好奇の視線をユナ達に向けていた。
「よくわかったかお前ら、これがこの世の中の恐ろしさだ。いいと思ったものは写真をとり、ネットにあげる。それが人物でもおかまいなし。これがどれだけ恐ろしいことか」
「リーリアでも似たようなことはありましたけど、それとは違うんですか」
ハルが九郎に尋ねる。ちなみにリーリアとは九郎が飛ばされた世界のこと。
「ああ、リーリアの場合、1000km程だと早くとも5日は伝達に時間がかかるが、地球の場合、一瞬だ。たとえ裏側だろうが10秒もかからない。それに知ろうと思えば誰でも知れるからな。今撮られた写真が30分後には数万人に知られている可能性もある」
「すごいですね」
「まぁそんなことが起こらないような法はあるんだがあまり拘束力がないから。こういうことが起こったりするんだよ」
今話している間にも九郎たちにシャッタ音が聞こえてくる。
「お前ら自覚しろ」
九郎は続けて言った。
「お前らはすごく可愛いし綺麗だ。俺は地球でお前ら以上に綺麗な奴なんてそういないと思っている。他のやつだって似たようなことを思っているだろう。独占したいだとか奪いたいとか思う輩は山ほどいると思え。つまり危険があるんだよ。わかったか?」
周りが姦しい中、メイドたちが静まった。
九郎は心からメイドたちを心配している。
「私たちは強い、それにクロがいる」
シロがそう呟いた。
「いや、うん、まぁそうなんだけどな。一応気をつけておいてくれよ」
九郎は苦笑いで答えた。
実際、リーリエに比べれば日本なんてのは生温いと九郎は感じている。九郎たちが傷つくことはそう起こらないはず。
「とりあえず、この混乱をどうにかしないとな」
そういうと九郎はポケットに右手を突っ込みスマホを取り出す。そして軽く操作すると、周囲から阿鼻叫喚の悲鳴が上がった。
「俺の携帯の画面が消えた!」
「私のスマホ、つかない!」
「何が起こってんだよ!?」
九郎がしたのは人工知能を使った、超高度のジャミングとウイルスをこの場にある電子機器に流し込んだ。ジャミングは機能を停止、ウイルスは俺らの写った画像を消し、通信速度を低下させるものだ。もちろん俺らを撮影、盗撮していないひとには何も害のないものだ。
消すだけでいいはずなのだが、盗撮したんだからそれ相応に罰を受けてもらうということで通信速度を低下させた。
ちなみにネットに投稿しようとした愚か者には、追加で容量の9割を絶対に消せないエロ画像で埋めた。
「今のうちにエロゲ買いに行きたいんだけど、本当についてくる、の?」
「・・・お前はさっき私たちに危険だとか言ってたくせに、なんで嫌そうに私たちを見るんだ」
イーナがため息をつく。
さっきメイドを心配していた九郎だが、今はエロゲ脳になっているためエロゲが最優先になっていた。
「まぁデートも兼ねてるし、一緒に行くか。18禁コーナーに・・・」
九郎は渋々といった様子でメイドたちとともにエロゲショップに向かった。
来週には続き投稿します。
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