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襲撃 その9

 全ての壁にずらりと並ぶ本棚、そこに全部入らなかったんだろう、床に本がたくさん倒れている。


 そして部屋の中心には縦横30cmほどで俺の腰ほどの高さにある台。その台の上に浮いているガラス玉。大きさは半径20cmぐらいだろう。


 これが宝珠なんだろうがどうやって浮いているんだ?糸で吊るしている感じでもないし。俺は玉の周りをぐるぐる回るが仕掛けらしきものは確認できなかった。


「本当にこれどうやって浮いてんだ?」

「魔法でしょうか?」


 俺とハルが首を傾げる。



「それについては俺もよくわかっていない。ただその宝珠が欲望と関わっていることだけは確かだ」

「欲望?」

「ああ、まぁそれしかわかっていないんだけどな」



 ニッグがいてくれて助かった。俺らが知っていることは宝珠がこの学校にあることぐらいだったからな。宝珠が何かすら分からなかったから。



「宝珠も確認できたし、戻るか」

「そうですね」

「は?お前ら、何をしにここまで来たんだ?」



 ニッグが慌てたように俺に言った。


「俺は宝珠を目にしたかっただけで別に何かしようとは考えてないけど」

「私たちは貴方達と違って宝珠を奪うことはしません」

「うんうん。宝珠っていうのがあるから見てみようとしたところにお前らが偶然この学校に来たんだよ。タイミング良すぎてびびった」


 ニッグは目を丸くする。


「ま、そういうわけだから俺らは授業に戻るかな」

「は、何を言ってるんだ。この騒ぎだと授業が再開できるはずないだろ」

「コンティニューできるかはわからんけどリセットはできるから」


 今日のテロ騒ぎの記憶だけを消せばいいんだが、そうすると記憶の前後に矛盾が発生する可能性もあるから、記憶の上書きもしないといけないんだよなぁ。ぶっちゃけそれは面倒だし体力使うから嫌なんだが、仕方ない。このテロ騒ぎが世間に知られるほうが大変だろうし。


「あ、お前らの記憶はどうしたほうがいいんだ?」


 記憶を残したまま、帰すとテロが失敗したってばれる。けど記憶を消して新しい記憶を植えつけて、帰したとしてもニュースになってないんだから、おかしいと思われる。


「つまり、あれだな。首謀者を含めて関わってるやつ全員、やらないと終われないってことか」

「それはまた面倒ですね」



 なんで異世界を救って日本に帰ってきたのに、こんなイベントが起きるんだろうか。まぁ俺は楽しんでるからいいんだけど。



「とりあえず、今から行くか」

「そうですね。でも先に記憶を塗り替えてからですよ」

「わかってるって、〈お前ら、今からこのテロの首謀者のところに乗り込みに行くぞ〜〉」



 念話でメイド全員に伝える。



 〈九郎君、私とイーナは授業があるから行けないよ〉


 確かにそうだな。てかあれだな、俺も授業があるな。まぁ早退したってことにすればいいか。



 〈了解。他は全員行けるか?〉


 どうやらいけないやつはいないみたいだ。

 一回ぐらい早退したって問題はないだろう。まぁ俺の場合は休みすぎて大丈夫か心配になるが。



 〈じゃあ、イーナは記憶いじってくれ。他は着替えて校門前な〉



 通信を終える。


「じゃニッグ、今回の首謀者のところに連れてって」

「何が、じゃ、だ!つれていけるわけないだろ。俺はあいつの居場所なんて知らねぇ」

「なら、連絡してくれ。電波いまだけ飛ばせるようにする。そこからはこっちで探すから」


 逆探知すれば大体の位置はわかる。ただ移動されたら面倒。



「そんなことできねぇよ。俺が殺される」

「別に連絡するだけでいいんだから、あとはこっちが適当にするから大丈夫だぞ?」

「まったく話にならねぇな。何をどうして俺の命が保証されるんだよ。それもわからないでお前らに協力なんてできねぇ」



 まぁそうだよな。



「じゃあ、二択にするから。連絡するか、今死ぬか」



 俺は冷めた目でニッグを見つめ、そう告げた。と同時にハルが小太刀を抜き、ニッグの首に当てた。そしてハルから凄まじい殺気が放たれる。ニッグの全身が硬直し額から汗が浮き出ている。



「どっちを敵に回すかはお前が決めろ。時間がないから5秒待つ。1、2、3、」

「わ、わかったよ。連絡するよ」

「ナイス判断!」


 ニッグにサムズアップをする。もちろん、笑顔も添えて。



「どのみちそこの女にやられていたんだから、一緒だよな」

「そのとおり。んじゃ、連絡よろ。内容は適当でいいから、20秒ほど話してくれ」



 ニッグは渋々といった様子で、スマホのような端末を取り出し、操作し始めた。そして数回のコールの後につながった。



 [どうした?何か問題でもあったか?]

「少し確認したいんだが、金木のやつは何時頃戻って来るんだ?ちょっとトラブルで鍵の入手に手こずっている」


 金木って言うんだ、うちの理事長。


 [最初に言っただろうが。まぁいい、5時だ。まだ6時間近くある]

「了解。それと次の任務からは対物狙撃銃を用意すべきと提案する」

 [テロにそんなものはいらない]


 俺は逆探知が終わったのでニッグに右手を上げて合図する。


「連絡は以上だ」

 [そうか。任務は速やかに頼むぞ]


 通話が切れた。


「オッケー、逆探知できた。ここから南東に53km。しかし、お前のボスは用心深いやつだな」

「何がだ」

「いやだってこいつ、いろんな端末を介して連絡をしてるぞ。韓国のネットにも繋がったのはまじで驚いた」



 そのせいで結構場所を特定するのに時間がかかった。

 俺は携帯から地図アプリを起動した。



「ええっと、ここから南東に53kmだろ。お、あったあった。滝丸株式会社、40階もあるビルで、すべてこの会社関連のものと。建築関係の会社か。ええっと、社長さんは滝丸敬作と。まさかこいつじゃないよな?」



 結構な企業の社長がこんなテロをする意味はないしな。



「ま、行けばわかるか。ニッグ、サンキューな」

「死にたくなかっ・・・」


 最後まで言えずニッグは床に伏した。あの栄養ドリンクみたいなやつもさすがに一人だけを狙った催眠には効かないのか。結構強い催眠したからな。イーナの催眠が効かなかったから絶対催眠させてやると意固地になってしまった。

 反省反省。


「校門前にみんな集まったみたいだから。俺らも行くか」

「はい」


 制服を着替えて、校門に向かった。さてこれからどうなるかな?






 ちなみにニッグは他のテロリストと同じ場所に捨てました。あ、間違えた、同じ場所に捕まえています。






一応ここでテロリスト編は区切りたいと思います。すごい中途半端ですが、次からはラプラシアン編ということにします。二章は自分でもちょっと微妙と思っているんで改稿を何回します。(もしかしたら、話が増えているかも?)温かい目で見てくれると嬉しいです。


次話は閑話です。一度掲載していたんですが、消したやつです。九郎が地球に帰って来てどうやってエロゲをゲットしたのか、そこらへんを題材にしてます。ボリュームが相当増えているので楽しみにしていただけると嬉しいです。多分閑話なのに2万字ぐらいになりそうです。多分3話構成です

私のテストが終わってから投稿しようと思うので、来週の木曜にはアップできるはず!


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