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「知識としてはあったのですが、パッと出てきませんでした。
物覚えがとても良いのですね。」
「ええ、実際にあそこに住むと、否が応にも勇者様に関する知識を叩き込まれます。
村の中心には銅像もあるのです。観光地として挙げられるくらいには人気の場所なので、シキ様にもお勧めいたします。」
お勧めは結構だが、そこに行くのは遠慮したい。
勇者から離れたいのに、そこに行けば、勇者から離れるどころか囲まれてしまいそうだ。
……勇者に関わらない地などここにあるのだろうか。
「今は廃墟となってしまった魔王の城に行かれたことはございますか?
そちらの前にも勇者様の像があるのですよ。」
「ま、魔王の城、ですか?
まさか、そこも観光地と化してたりは。」
「とんでもない、観光地としては身体へのマナ汚染率が高すぎます。
汚染に対抗できるスキルを持っていないと、難しいかもしれませんが……シキ様はお持ちですよね。」
「まぁ、使えますが……。
現物を見たかのような口ぶりですが、アストラは見に行ったことがあるのですか?」
「ええ、偉大な勇者様の像をぜひ拝見したいと思いまして。」
へぇと相槌を打ちながら、魔王の城かぁと考える。
まだまだ魔族は人を襲うことはある。
ただ、魔王がいた時のようにそこら中で頻発しているわけではない。
人々も魔族に対抗できるスキルで戦うことも出来るようになった。
学園内で全員がスキルを取得出来るようになったのは、ひいお祖父様のおかげだと聞いたことがある。
元々は前線に出る騎士科の生徒そして王族しか取得出来なかったようだ。
あとは、金を積んだ貴族達だったかな。
よく襲われている市民達がスキルを取得出来ないなんておかしな話だ。
……気づいていてもお金に目が眩んだ上の人間は知らぬふりをするのはわかりきっている。
だからこそ、ひいお祖父様は魔王と戦うことはもちろんこういった偉業を成し遂げたのだ。




