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「んまぁ!すごいわ!」
「いえ、ただの資料提供になってしまいますが。」
「貴方に手伝ってもらえる機会なんて、生きててあるかないかっていう確率だもの。これも運命ってやつよね。
この王都立歴史図書館の資料が潤うんだもの、金貨より価値があるわ!
本当にありがとう。」
アンドレアさんの言ったお手伝いとは、ひいお祖父様に関する資料提供だった。
こんなことでいいならと喜んで手伝っているが、想像以上に感謝されている。
……お祖父様とかお父様とか喜んで資料提供しそうな人たちがしていないのがおかしい、部外秘とかだったらどうしようと内心汗ダラダラになる。
いや、でも伝えたことはお祖父様から伝え聞いた勇者の武勇伝とかそういうのだし、大丈夫だよね……、多分。
「あ、そうだ。少しお願いしたいことがあって……。」
「なにかしら?」
「宿に行った時に、フランナという女の子から絵本を借りたままになって。返却したいのですが、私が行くとまた揉め事を持ち帰ってしまいそうで……。
なので、代わりに返却していただきたいのです。」
「……フランナ?」
「はい、姓は分かりませんが……。
装いは薄桃色のドレスにフリルがあって…、ああでも、服は日を跨げば変わりますよね。
髪、髪が……アストラ様と一緒で黒色でした、長い髪を腰まで伸ばしていて……。
あと、お友達がたくさんいるみたいなので、もしかしたら宿の近くで遊んでるかもしれません。」
「宿にドレスねぇ……、どこかの貴族の子供でしょうね。
とりあえず、探してみるわ。」
「ありがとうございます。
もし会えたらフランナにこの本をお願いします。」
「頂くわ。
……あら、これ図書館の本じゃない。」
「え……」
アンドレア様がパラパラと絵本をめくると奥付けの部分に王都立歴史図書館の版が押されていた。
途中でフランナが親に連れられてしまったため、読むのを中断していたので、奥付けまでめくることがなかった。
「これなら、どこのフランナなのか特定できるわね。
貸出記録を借りてくるわ。」
「はい、お願いします。」
アンドレア様が貸出記録を借りている間、先ほど提供した資料を見る。
資料というには、全てメモ書きのようなものになっている。
私が話していたものを書き留めていたので当たり前なのだけれど。
『勇者は暴れる竜を対話で鎮めたことがある』
『異世界からやってきたにも関わらずマナ保有量が多く、様々な魔法を使うことが出来た』
『ニッポンという異世界からやってきた』
『ニッポンという異世界はチキュウという星にあり、ニッポン以外にも国があったとされる』
『はじまりの村に舞い降りた救世主』
「……はじまりの村……。」
「私の出身地ですね、なにか御用でも?」
「あっ、わっ!?
アストラ、様……。
はじまりの村のご出身だったのですね。」
後ろから急に声をかけられた驚きで早まる鼓動を落ち着かせながら、頭の中で地図を広げる。
ここは、エラス王国の王都。
エラス王国南部端カイノ伯爵領に確かはじまりの村があった気がする。
南部に行くためにはこの森を超え、山の麓を回り込んだ先にあった。
道は整えられているので、馬車でも行けるだろうが自分は勇者生誕の地になど絶対行かない。
そんな私の心情を知ってか知らずか、アストラはニコニコとしながら、話し始める。
「ええ、元々ははじまりの村という名前ではなく、エリーズ村という名前だったのですが、勇者生誕の伝説のはじまりの地ということで改名され、はじまりの村となったのです。」
エリーズ村、私が生まれる前の出来事だが、いつか見た資料に確かにその名が載っていた。
しかし、頭の端にあっただけの知識だったので、言われないと出てきはしない。
アストラの博識さに感嘆する。




