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9.残酷な悪魔の透明板のホームラン

 ああ、アンドリュー。オ・カメを寝かしつけてくれたのね。

 なんて優しいのかしら。

 王と王子が可愛らしく寄り添う姿が素敵だわ。


 高貴で優しいアンドリューと可愛らしいオ・カメとのあたたかな暮らし。

 どうかこのまま平穏に続いてゆきますようにと、そう思っていただけなのに!


 私達は悪魔の恐ろしい行いを見てしまったの!


 以前、私が固い透明な板で挟まれて、悪魔に飛ばされて即死したことがあったのだけれど、あの時は私は何が何だかわからなかったの。

 だから悪魔のあの恐ろしい行いの全容をアンドリューに上手く伝えられなかったの。

 私は怖かったわ。

 だって、私のアンドリューに悪魔の危険から身を守ってほしかったんですもの!

 そして、一緒にオ・カメを守ってあげなければいけないでしょう?

 それなのに、私は透明なアレのことをアンドリューに上手に伝えられなかったのだから。


 今日も水の配給が始まってしまったの。

 だから、私たちは辛くても、急いだわ。

 固くてうるさい音を出すアレの下に隠れたの。

 ブウォンブウォンいう下品な音が高貴な私たちを苦しめたけど、耐えたわ。

 どんなにイヤな匂いの熱風に当たりそうになっても。

 辛いわ。

 高貴な悲しみが止まらなかったの。


 水の配給が終わって、悪魔の足音が遠ざかった気がしたので少しだけ頭を出してみたの。

 そうしたら!

 悪魔が笑いながら言ったわ。

 「久しぶりにこんなところにいたのか!死ね!」って!


 ああ!かわいそうに!

 私達のように高貴な者ではないけれど、風通しの良いあの場所に、ほんの少しだけ身を預けていただけの者たちを!

 悪魔が、あの残酷な悪魔が、悪魔ガーーッ!

 私達が王子と王女の椅子と呼んでいるあの、以前、卵を座らせたあの場所で、少し体を預けて休んでいるだけの者たちを傷つけたのよ!

 

 あの固い透明な板を体の下に滑り込ませて、沢山の仲間たちを一緒に挟んだの!

 そして、そして、高貴ではないけれど私とほんのちょっぴりだけ似た姿をしたあの者たちを投げ飛ばしてしまったの。

 彼らは叫んでいたわ。


―――「おああああああ!」

―――「おうううううううえびぶべいいいい!」


 確かに高貴な叫び声ではなかったわ。

 でも、体を休めていただけの、平和な者たちをあんな風にいじめるなんて!


 悪魔に投げ飛ばされたあの者たちは……

 私が当たって即死した時の硬いものに当たったのではないかしら?

 すぐに彼らのあまり高貴ではない叫び声は聞えなくなってしまったようなの。

 きっと、即死してしまったのね。

 命の引き際。


 「アンドリュ――ッ!オ・カメ!配給が終わっても、完全に悪魔がいなくなるまでは絶対にこの熱風をまき散らす悪魔の道具の下から出たらだめですよ。私は恐ろしいものを見たの。辛くとも、悲しくとも、耐えていかなければならない瞬間があるのだと。わかってしまったの」


 「―――カメ子さん。あなたは、僕たちを守るために、自分の身が危険にさらされることも構わずに!なんて勇敢で高貴な女王なんだろう。僕は震えてしまいそうだよ。でもカメ子さん、約束してほしいんだ」


 「まあ!アンドリューったら、なにかしら?あなたの美しい言葉を聞いていたら、何を話していたのかわからなくなってしまったわ。私ったら恥ずかしいわ」


 「カメ子さん、僕はね、カメ子さんを守るのは僕でありたいんだ。だから、こんなふうに片足をひきずることがあるけれど、ずっとずっとあなたを守りたいんです」


 「アンドリュ――ッ!ずっと一緒にこの領地で。辛くとも苦しくとも、生きていきましょう」

 悲しみの日もあるけれど、喜びのアンドリューとオ・カメと共に生きてゆく。


     ◇◇◇◇◇


 久しぶりのクリアホルダーホームランをかましました。

 奴らは今までどこにいたのでしょうか?

 秋になるとまた出てくることが多いと聞きますが、見つけると叫びたくなるカメ子の仲間たちよ。


 ところで、実がなる鉢が消えていたと思ったら、なんと!お隣のベランダに、新しい植木鉢が置かれていました。

 実がなるものの鉢ではなかった気がするのですが、きっと奴らが好む何かだったのでは?

 あまり他所のお宅のベランダを見るわけにもいかないので何かがわからないのですが、排水溝掃除の時にチラリと見えてしまって、カメ子の温床になってしまうのではと、ちょっとだけ怯えました。


 早く涼しい秋が来ればと思うのですが、カメ子襲来も怖い今日この頃です。

 

 ――――――――――――――――――


 【今日のおすすめ情報】

 梅酒をつくったことはありますか?

 以前、わりと質の良い梅で丁寧につくったものがありました。

 作り方の通りにやってみて、説明書に書かれた通りの期間(置いておくようにと書かれた月数)にプラスして数か月程度超えた期間をおいてから飲んだ時のものと、更にそれを超え、かなりの期間を置いてから飲んだ時とでは味が全く違いました。マジで別物になります。

 色も濃くなったような気がしますしね。

 梅酒づくりを極めたわけではないのでおすすめ情報などとは言えませんが、数年前に富山のホテルでとてもおいしい梅酒を飲んだのことがあるですが、三年ものだったか五年ものだったか十年超えのものか、忘れてしまい覚えていませんが、それに匹敵する味に仕上がっていて感動しました。

 自分で作ったからなのかわかりませんが、楽しみなものですよね。

 ずーっと前に母が作ったものすごく長い年数を置いた梅酒がありまして、それを以前貰ったことがあったのですが、濃くてとろみがありとても美味しくて、あれと同じものをいつか作りたい(単に長く置きっぱなしにしていただけらしいですが)と思っています。

 なかなか面倒ですが来年また作って今度は10年もの以上の梅酒にしたいと思っています。


 梅ジャムというものも、ネットでレシピを見て作ったことがあるのですが、業務スーパーなどで、少し傷ついたようなサービス品の安い梅を買ってきて、テキトーに一番簡単なレシピを見て作ったところ、爽やかでとても美味しく仕上がりまして、他のどんな果実のジャムよりも味が良かったことを覚えています。

 ヨーグルトや紅茶はもちろん、冷たい飲み物に入れたり、パンやホットケーキ等に載せても最高でした。

 カメコの話の最後に食べ物の話をしていまいすみません。

 それではまた来週に!

カメ子のお話にお付き合いくださりありがとうございます。

キモスの話を書いていると妙な気分になります。

クリアホルダーの捕獲と投げ飛ばしは、直接的な殺戮ではないため、精神衛生上気に入っています。

勝手にどこかに飛ばされていくので、その先を見なくて済むので。

投げ飛ばした瞬間、羽根音が聞こえることもあるのです。

それではまた。

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