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10.水責めに耐える

 悪魔の所業を目撃したあの日から、私達は悪魔が水の配給を終えるまでは息をひそめて隠れているの。

 

 そう、恐ろしいあの固い透明な板で私達のような、細い脚と可愛らしいラインの身体を持つ――多分、お仲間なのでしょうね、ほんのちょっぴりだけ私達と似た姿をしたあの者たちを透明なアレで挟んで投げ飛ばしたあの所業!

 あの恐ろしい姿を見てしまったために、アンドリューとオ・カメと私は、悪魔の水の配給を見届けるまでは、熱風をまき散らす悪魔の道具の下とローズゼラニウムの領地をビクビクしながら行ったり来たりして暮らしていたの。


 その日、なかなか水の配給に現れない悪魔にアンドリューは不安そうだったわ。

 だから足を痛めているアンドリューには、ああ!可哀そうだけれどアンドリューには早めにあの熱風をまき散らす悪魔の道具の下に隠れてもらっていたの。もちろん可愛らしい私達の王子、オ・カメを連れて。

 高貴なため息が聞こえてきたけれど、安全のためにそうするしかなかったの。


 私は――少しばかり冒険家の気質を持つ私は、私達の領地のローズゼラニウムのお城の中にいたの。

 パサッ、と私の上に落ちてきたローズゼラニウムの葉がふわっと香った時に、なんて幸せなのかしらと思ってしまったの。 

 私は言ったわ。


 「待っていてアンドリュー、オ・カメ。この素敵な香りを纏ってからそちらに行くわ。お役目を終えたローズゼラニウムの葉が私の身体を包んでくれたの。優雅な香りを身にまとってからそちらに行くわね」


 「なんて素敵なんだ!カメ子さん、君はやっぱり優雅なローズの女王カメ子さんだね。オ・カメ、そう思うだろう?」


 「……」


 「まあっ、オ・カメは恥ずかしがり屋さんね。アンドリューーッ、オ・カメにはちょっとその表現は難しかったんじゃないかしら?」


 「そうだね。お母さんはローズゼラニウムのお城がよく似合う素敵な女王なんだけど、これからゆっくり説明してあげないとね。さあ、配給前だから隠れていよう。カメ子さんもそろそろ、」


 「ええ、わかっているわ。私もそろそろ隠れますよ」


 私がそう言ってからほどなくのことだったの――

 ああ!悪魔が、あの陰湿な下品な悪魔が、悪魔ガーッ!

 配給にやってきてしまったの!


 調子に乗ってローズゼラニウムの香りを纏っていた私は完全に逃げ遅れてしまったわ。

 私はどうかこの領地ではない他の所から水の配給をするように願ったの。

 ああああっ!ペパーミントやオーデコロンミントは少し萎れていたからきっとそちらから配給をすると思っていたのに!


 「ふん、今日はカメ子共はいないようだよ。しかし、どうしてうちに来るんだろう?お前らが嫌いなものばかり置いてるのになぜだ?」


 悪魔の意地の悪い声が響いたわ。

 私は怖くて震えてしまったの、でもちょうど私の上に落ちてきたローズゼラニウムの葉が私の身体を隠してくれていたの。


 「カメ子共にも変わり者がいるんじゃないの?わざわざうちの鉢にくるのは相当な間抜けカメ子だよね。隣はなんか野菜を始めたっぽいからそっちに行けばいいのに」


 悪魔の娘はいつものように面倒くさそうにそう言ってから、ミントの鉢やローズマリーの葉を見て「今日はいないみたい。あいつらがいたら凍結スプレーで殺してやるのにさ」


 なんですって?

 トウケツスプレイ?

 私達を殺す道具を準備しているのかしら?

 叩いて殺すの?なんて恐ろしいこと!

 

 それを聞いて私は恐怖のあまり何も考えられなくなってしまったの。

 すると聞こえて来たわ、あの安息を願うメロディー。

 私とアンドリューの悲しみのレクイエムが。


―――“ブブブブーブブブーブブッ、ブッ”という音。

 

 もの悲しいけれど、高貴な私達にふさわしいメロディー。

 ついついそれに聞き入っていたら!


―――バシャーッ、ブシャーッベシャーッ

―――ジャバジャバブシャーッ、バシャーッ


 あああああっ!水が!悪魔の水の配給が!配給ガーーッ!

 ローズゼラニウムの葉で覆われた私の身体を悪魔の水が襲いかかったの!

 辛い、辛いわ。

 高貴な悲しみが押し寄せてくるの。

 グブッ、ゴボッ――

 苦しいわ。

 ああああ、アンドリュー、オ・カメ、これは命の引き際なのかしら?

 もう会えないの?

 ああっ、これは即死ではないわ。苦しみの死なの?

 

 高貴な悲しみに身をゆだねていたら――

 配給が終わったみたい。

 私は生きているみたい。命の輝きがまだ私を包んでいるのかしら?

 キラキラ


 悪魔と娘の声が聞こえたの。

 「丸々三日、水をあげられないからさ、今日は死ぬほどあげとこう」

 「そうだね。帰ったらすぐにあげないといけないね」


 これは、これはどういうこと?

 もしかしたらしばらく水の配給ができないってことかしら?

 だったら、だったら、しばらくここは安全ということでしょう?


 「アンドリュー、アンドリューーッ!」

 私は力を振り絞って叫んだの。


 「カメ子さん!大丈夫かい?まさか!ああ、あのままローズゼラニウムのお城にいたのかい?ああ、かわいそうに!僕たちとは違う方の悪魔の道具の下に逃げたのだとばかり……カメ子さんごめんよ。ノロノロした僕は何も力になれないじゃないか!」


 「アンドリューーッ!何を言っているの?アンドリューはいつだって私の素敵な王様よ。いつも助けになっているわ。こんなに幸せをくれるのですもの。そんなことを言わないで」


 「カメ子さん!なんて優しいんだ!カメ子さんを大切に思うこの気持ちだけは誰にも負けないけれど……ノロノロした僕が足手まといで辛いんだよ」

 

 「アンドリュー。そうなったのは悪魔の種族のせいじゃないの!少しばかりゆっくりしていたっていいじゃないの!それこそ優雅な王様はせくせく忙しなく動き回ったりしないものよ。アンドリューはゆっくり構えてくれればいいの」


 「カメ子さん、ありがとう。その優しさが救いであり、僕の幸せのもとになっているんだ」


 「アンドリューーッ!私もそう。幸せだわ。高貴な幸せが止まらないわ!」


 そして私は言ったわ。

 「アンドリュー、オ・カメ、しばらく悪魔の配給はないらしいわ。今日あれほどの水を配給したのはしばらく配給できないかららしいの」


 「なんだって?それは本当かい?それじゃあ、それじゃ僕たちはローズゼラニウムの城でのんびりできるってことじゃないか!」

 「……」


 そう、その通り。

 私達に幸せの時間が訪れたの。


     ◇◇◇◇◇


 最近また玄関脇に緑色のカメムシがうろうろとして目障りです。

 こいつらの緑(・)色(・)具(・)合(・)がちょっと嫌でたまりません。


 ワタクシがやり合っているカメ子はクサギカメムシのほうなのですが、クサギ…のほうはなんとなくひょうきんな感じがしまして、徹底的に嫌いになれないような感じなんです。

 もちろん、増え過ぎたら容赦なくクリアホルダーホームランをかっ飛ばしますがね。

 緑の奴らは急に出てきて気持ち悪すぎて、不快です。奴らは今までどこにいたのでしょうか。


 緑の奴ら、というと、実はカメムシ以外のものが困るんです。

 つまり、蝶とか蛾とかの子らのことです。

 よくミントの葉を食べまくって気味が悪く、いたらもう発狂ものです。


 『やさお酢』とか類似商品でやっつけますが、なかなかしぶとく、4~5年前には気味が悪すぎてやけになり、ついにオルトランというものを少し撒いたこともあります。

 オルトランは強力で即効性がありますが、その後全く害虫を見かけなくなったので気分はすっきりしましたが、なぜか不安が押し寄せました。安全面で、ということです。

 説明文にあるように一部の野菜にも使えるものではあるのですが、本当はハーブ類、特にミントなどのシソ科の植物には使えません。

 これを使った鉢のハーブは綺麗に元気に育ち、見た目も美しく生き生き伸びていったのですが、ミントの葉と茎を収穫して飲む、ということは出来なくなりました。

 お茶用のものは安全な状態のものでないといけないので残念ですが、観賞用となっています。

 ただし香りもとても良く、軽く葉を触るだけで香りが立ち上るのでカメ子じゃありませんが、贅沢な気持ちになります。

 種から撒いたペパーミントやラベンダーと評判のいい農園から苗で買った複数のミント類とローズマリーは頑張って安全に育てたので今年の秋はたくさんお茶が飲めそうです。

 

 ――――――――――――――――――


 【今日のおすすめ情報】

 豆乳をつくったことはありますか?

 もちろん私はありません。

 実は遠方の友人から『豆乳メーカーが素晴らしい』という話を聞きました。

 毎日その機械を使って豆乳を作って飲んでいるそうで、市販の物は薄すぎ、サラサラし過ぎて比較にならないそうです。

 他にかぼちゃのポタージュとかも簡単につくれるそうで、絶対に買(・)い(・)の商品だと言ってすすめてきました。

 とある有名な通販で買った物だそうですが、ニトリさんなどでも類似商品が安く売っているようなのでどうしようか悩み中です。

 あまり濃すぎると飲むのはいいですが、コーヒーには入れられなくなりますよね。

 実は最近は毎日豆乳オレを飲んでいます。

 誤字変換で豆乳俺と書くとなんか気味が悪いですよね。

 一日コーヒーカップ4~5杯は飲んでます。

 叱られてもやめられません。

 眠くなっても文字を打ち続けるために必要なコーヒーでございます。


 おすすめにもならずすみません。

 またお会いしましょう。


 

 



 


 


 いつもカメ子の人生を覗きに来ていただきありがとうございます。

 命についての強い信念や生き物全体に優しい思いをお持ちの方には耐えられない悪魔の殺戮がございますのでご注意ください。ゴキブリを殺せないような優しさをお持ちの方には水の配給や凍結による殺戮は耐えられないと思いますので。

 ちなみに私はゴキブリはとても残酷に殺すことが出来ると思います。以前会社で、あいつが飛んだ時に自分にぶつかったことがあったんです。ムカつきました。なので上履きとか、サンダルとか、新聞紙とかで叩き潰せます。

 学校とか会社じゃないので家の中にはいませんが、多分見つけたら容赦なくヤれるはず。

 それではまた。

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