7.アモーレとオモーア
私達の高貴な王子『オ・カメ』を見つめながら思ったの。
なんて幸せなのかしらと。
アンドリューが名付けた私達の赤ちゃんオ・カメは命の輝きを享受したわ。
それでも、他の赤ちゃんを思うと心が張り裂けそう。
時々、あまりにも悲しくて頭の中で変な音が響くことがあるの。
アンドリューに聞いてみたけれど、優しいアンドリューは私を心配させないようにこう言ったわ。
「カメ子さん、それはきっとレクイエムだよ。カメ子さんが言っていただろう?赤ちゃんの安息を願うメロディーかもしれないと。だからきっと大丈夫だよ。悲しみが消えることはないけれど、優しい音で心を癒そうよ」
アンドリューッ!なんて優しくて温かいのかしら!
そうね、きっとそう。
この音―――“ブブブブーブブブーブブッ、ブッ”
この不思議な音が頭の中に鳴り響いた時は可哀そうな赤ちゃんの安息を願うことにしましょう。
「ところで、カメ子さん。こんなことを言うのも照れるけど、もし、もしまた、」
アンドリューッ!恥ずかしそうにどうしたのかしら?
私は訊ねたわ。
「なあにアンドリュー?お話があるならどうぞ」と。
「いやもし、もしまた僕たちの赤ちゃんが生まれてきたら名前をどうしようかと思ってね。実は、いくつか考えてみたんだけど」
アンドリューったら!
なんて可愛らしいのかしら!きっと恥ずかしかったのね。わかるわ。
私は言ったわ。恥ずかしいのを隠して高貴にこう言ったの。
だって私達はローズゼラニウムのお城の主だもの。
「アンドリュー?すぐに名前を呼べるように考えておくのは素敵なことよ。だから教えて頂戴。あなたの付けたお名前を」
「ありがとうカメ子さん!なんて優しいんだ」
「そんなこと!優しくて高貴で勇敢なアンドリュー。さあ早く教えてほしいわ」
「カメ子さん。僕はカメ子さんが付けようかと言っていたオ・モーア卿という名前がどうしても気になってね。これも素敵な名前ですよ?だから次は必ずこの名前を付けたいんだ」
あああああっ!アンドリュー!なんて、なんて、優しいのかしら。
「わかったわアンドリュー。そうしましょう、次に生まれてくる子はオ・モーアにしましょうね」
「そうしようねカメ子さん。それから、あとね、」
アンドリューったら!まだ名前を考えていたのかしら?なんて可愛らしいの!
「なあにアンドリュー、まだ名前の候補があるのなら言ってみて。私聞きたいわ」
「カメ子さん、それなら言うけど。悪魔がね『奥さんをアモーレって呼んでたのは何の人だっけ?』って言ったんだよ」
「ええっ、悪魔が質問を?それで?」
「僕はその時、硬くてブウォンブウォン音を出して熱風をまき散らすアレの下に隠れていたんだけど、悪魔の娘がアレをコンコン叩きながら言ったんですよ」
「アンドリュー?悪魔の娘はなんて言ったの?」
「娘がね『ああそれ、カッカーの人だよ。アモーレって呼ぶなんてよっぽど好きなんだね』って」
「カッカー……閣下?……アンドリューッ!それって、もしや高貴なものを呼ぶ時に言う言葉だわ。閣下が奥さんをアモーレと呼ぶのね?素敵!アンドリューッ、あなたは名づけの天才だわ」
「そんなことないですよ。カメ子さんが僕にくれた名前に比べたら全然ですよ。僕はね、この名前が本当に気に入っているんです。命の引き際を迎えても、この名前だけは誰にも渡したくないんだ」
あああああっ、私のアンドリューが愛しくてたまらないわ。どうしたらいいのかしら!
でも私は落ち着いて言ったの。高貴さを失わないようにおすまししたの。
「アンドリュー。この名前はあなただけのものよ。いつまでもずっとこの名前を呼びたいわ」
「カメ子さん、僕もだよ。僕たちと、オ・カメ。そしていつか生まれてくるオ・モーアとアモーレ。いつまでも幸せに暮らしたいですね」
ああアンドリュー。きっとそうできるわ。
たとえ毎日、水の配給が終わるまでの一番暑い時間に、ブウォンブウォン音を出して熱風をまき散らすアレの下に隠れて逃げまどっても、ローズゼラニウムの葉を取り上げられても、私達はあきらめないわ。
いつかきっと安息の地。私達のローズゼラニウムのお城に安心して住める日が訪れるまで、この悪魔の領地で生きてゆく。
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今日やっとペパーミントの花が咲きました。
初めて種から育てたペパーミントだったので喜びもひとしお。
高さはなんと68cm。
花を咲かすまでに一年かかりました。
その間に、去年はとにかく暑さにやられました。
そして今年もこの暑さと乾燥。
人間が手を抜いて水遣りを怠ると、“しなっ”となりますしね。
種から育てたものってとても愛着が湧くというか、可愛くなるんです。
大き目の鉢を覆うように芽が出て間引きをし、丁寧に育てたのですが、結局弱ってしまいまして、今かろうじて4つの茎がフラフラとしながら生きています。
夏が終わったら環境を整えないといけないと決心しています。
根の整理と肥料やりと土替えをしないとまずそうです。
こんなにヒョロヒョロなのに花を咲かすなんて素晴らしいことですから。
あともう一つ、種から育てたラベンダーもやっぱり成長が遅いですね。
こちらの開花はやはり来年になりそうです。
苗から育てたもののほうで、秋に元気に伸びてきた脇芽を使って挿し木で増やそうかなと思っています。
いつか鉢いっぱいに咲いたラベンダーを刈り取って、ニタニタしたいのでね。
ところで、うちのカメコは『クサギカメムシ』という種類のものですが、なぜかわかりませんが、うちのベランダには基本こいつらしか来ません。
ツルッとした緑のものはベランダには来ず、玄関や階段付近にウロついています。
こいつらもキモイです。
そして以前も書きましたが、カメムシはペパーミント、日本ハッカ、ローズゼラニウム、ローズマリー、ラベンダー等を嫌う、と多くのサイトで記載がありますが、うちのカメコ共に限っては全くそんなことはありません。
ペパーミントだろうがローズゼラニウムだろうが、ラベンダーだろうが、もう見境いなく寄ってきていました。
ついでに言うと、うちにはタンジ―という非常に匂いのきつい植物も育てています。
これも虫よけ効果を狙ったもので、タンジ―が持つきつい匂いには蝶や蜂も寄り付かないと言われ、カメムシもこれを嫌うと言われているのです。
確かにタンジ―の鉢では『蝶のキモイ子供』を見たことはありませんが、カメコ全盛期の時はタンジ―には寄り付かないまでも、隣のローズマリーやミントにはよく止まっていたので、効果はどうなんだか、という感じです。
最近はカメ子が消えてしまいまして、というか、もう虫共が消えています。
タンジ―に蜘蛛の巣がかかっているのですが、それくらい。
それほどに暑いのでしょうか。
今朝は、ベランダの排水溝にカナブンの死骸を見つけて物悲しさを感じました。
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【今日のおすすめ情報】
おすすめ情報がないんです。本当に申し訳ありません。
頭が働かないのと、カメコ失踪中のため、奴らの殺戮をする必要がないため駆除技術についてお知らせできない状態です。
家じゅうの網戸を見て回り、奴らの卵を探したりしていますが、それもありません。
別にカメ子が恋しいわけではないのですが、どうしているのだろうかと気になって仕方がありません。
おすすめ情報がないので申し訳ないのですが、カメコの未来の子供の中で『オ・モーア卿』という名前がありますが、こちらはジーン・ポーターの『そばかすの少年』の話からとっています。
このお話、片腕の少年がリンバロストの森の番人となり、沼地をまわって貴重な木材を守ったり、木材泥棒と戦い木を守ろうとしたりと、とにかく誠実な仕事で信頼を勝ち取っていく場面が描かれていて、本当に素晴らしい作品です。
恋愛要素もあるのですが、この少年の誠実さ、仕事への情熱、そういったところが大好きなんです。
番人を続けていく中で、森で出会ったエンゼルという少女を好きになってしまうのですが、生まれ育った環境の違いから自らの思いを胸の奥深くに押し込めようとして苦しみます。
そんな時に、お相手のエンゼルの方がより積極的な行動に出ます。
そばかすの少年の生まれや片腕を失った真実等、エンゼルの行動からも色々なことがわかってきます。
そして、この誠実な人々に素晴らしい未来が訪れて幸せになる、というお話です。
本当に素敵な話なので、カメ子のおすすめ情報のかわりに今回はご紹介しました。
ワタクシのカメ子情報よりもこの本、一億倍すばらしいので今回ばかりはお許しを。
それではまたお会いしましょう。
こちらをお読みくださった皆様、本当にありがとうございます。
暑いので体に気をつけてお過ごしください。




