↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/17

14.高貴な聞こえ耳 

 はあっ……私たちがウォールナット・ジャコビアン領で優雅に過ごせる日々はついに終わってしまったの。

 あの太い脚の悪魔が、不気味で意地の悪いあの悪魔ガーッ!

 ついに戻ってきてしまったの。

 無駄なくらい水の配給をしてウォールナット・ジャコビアン領を荒らす悪魔が戻ったせいで私たちの生活はまた苦しみを抱えることになってしまったわ。

 

 「カメ子さん、確かに辛いですが僕たちはいつも一緒ですよ?それだけで僕は満足しているんです。僕は脚を痛めてからは仲間から酷い扱いを受けていたんです。そんな僕をカメ子さん、あなたは優しく微笑んで名前をつけてくれましたね。僕はあの時、ほんとうに嬉しかったんです」


 アンドリューーーッ!なんて、なんて誠実で心の優しい方なのかしら!

 

 「アンドリューッ!あなたほど素敵な方を私は知らないわ。そうね、そう。私たちはここで、たとえ辛くとも、悲しくとも、一緒に過ごせるだけで幸せなんだわ。オ・カメと一緒にこのウォールナット・ジャコビアン領を守りながら暮らしていきましょうね」


 「……」


 オ・カメは相変わらず内気なテレ屋さんだけれど、この子は小さな音もとても良く聞こえるみたいなの。

 前に悪魔の娘が言ったわ。


―――「私は耳がいいってよく言われるんだよ。今日もあんたはものすごい聞こえ耳(きこえみみ)だ、うさぎか?って言われたよ」


 オ・カメももしかしたらこれと同じなんじゃないかしら?

 オ・カメは悪魔の娘なんかとは違うけれども、きっと高貴な聞こえ耳(きこえみみ)なんじゃないかしら?


 そういえば、そのオ・カメによると、暖かくなりかけの頃に悪魔の娘が言っていたそうなの。

 

―――「鼻が息苦しいなアレだよ。ほら、いつか言ってたやつ。『いつかの鼻の穴ひろげ』って歌を歌って深呼吸だよ。これは効くらしいよ?花粉を払ってから部屋に入って顔にエビアン水をかけてから鼻を広げて深呼吸、この歌に合わせて何度も深呼吸してごらん」


 花のアナヒロゲって、多分、幸せのおまじないじゃないかしら?悪魔のくせに!でも、ア(・)ナ(・)ヒ(・)ロ(・)ゲ(・)と聞(・)こ(・)え(・)耳(・)と同じリズムだわ。きっと幸せのおまじないかもしれないわ。


 「アンドリューーッ!もしかしたら息苦しい時にアナヒロゲと唱えると花の香りがするかもしれないわ」


 「カメ子さん、素敵だ!きっとそうかもしれませんね。オ・カメが聞いた話だと息苦しい時に歌を歌うといいらしいじゃないですか。あのレクイエムを歌った後にアナヒロゲと唱えましょうよ。それがいいですよきっと」


 「アンドリューッ!早速やってみましょうよ」


―――ブブブブーブブブーブブッ、ブッ、アナヒロゲ

―――ブブブブーブブブーブブッ、ブッ、アナヒロゲ


 「……」


 「さあオ・カメ!あなたも一緒にさあ、ブブブブーブブブーブブッ、ブッ、アナヒロゲー、ブブッ、ブッ、アナヒロゲー、」


 「僕はいいよ。きっとそうじゃないと思うから。僕はゆっくり考えたいから。どうして悪魔がここまで執拗に僕たちを痛めつけようとするのかがわからないから、今はそのことを考えたいんだ。放っておいても僕たちは悪魔に何もしないのにおかしいからね」


 「まあ!私たちのオ・カメはなんて賢いのかしら!」


 「本当だね。ここ最近ずっと考えこんでいると思ったら、難しいことを考えていたんだね。確かにね、どうして悪魔はここまで意地の悪いことをしてくるんだろうね?あんなに強くて大きくて、何も怖いものなんてないだろうにね」


 本当だわ。どうして悪魔はあんなふうにしてくるのかしら?

 もしかしたら、悪魔は何かを恐れているのかしら?

 その腹いせに私たちのような小さき者たちを苛めて、怖い気持ちをまぎらわせているんじゃないかしら……


 悪魔はあんなに強くてたくましいのになぜかしら?

 怖いわ。


―――ブブブブーブブブーブブッ、ブッ、アナヒロゲ


 私はさっそく新しく知ったおまじないを唱えたの。


   ◇◇◇◇◇


 悪魔のもとにも秋がやってきました。


 カメ子共にも良い季節のようで、最近はまたよく見かけるようになりました。

 可哀そうに、時々ベランダで息絶えたカメ子の仲間を見かけますが、なぜかお腹を上に向けてひっくり返っていることが多いです。


 自らひっくり返ったわけじゃなくて、風とか、何かの刺激でそうなってしまったところに、水の配給や天敵からの攻撃などで痛めつけられてしまったのでしょうか。


 夏の終わりに、よくセミもそんな風にひっくり返っているところをよく見ました。

 悪魔の娘はセミやクワガタとか、そういった昆虫を見かけた時はひっくり返して草むらに戻してやるのですが、セミは戻したとたんに急に羽をバタつかせて飛んでいくことがありますよね。

 これには結構驚かされました。


 さて、来月は温泉旅行の予定がありまして、カメ子が恐れる水の配給ですが、秋冬は夏ほど神経質に水を遣らなくてもよくなってくるので気楽に出かけられるのが嬉しいです。

 

 ――――――――――――――――――


 【今日のおすすめ情報】 

 またまたコーヒーについてですが、先日、豆のまま保管していたコーヒーが賞味期限を過ぎておりまして、ががーん!とショックを受けたのですが……というのは嘘でして。

 ワタクシは多少の賞味期限切れなど気にもしません。そんな適当な野郎です。


 さて、コーヒーについてですが、挽いた豆は10日くらいしかもたないとかよく言われますが、冷凍すると軽くひと月は持つそうですよ。

 ワタクシはじゃんじゃん飲むのであっという間になくなりますが、もしそれほど飲まない、保存しておければいいな、という方はぜひ冷凍をおすすめします。

 ワタクシは冷凍したとしても、たとえひと月、いや数か月過ぎても平気で飲みそうですがね。


 でもせっかくの豆が痛まない方法とのことですので、ぜひやってみてください。

 

 

 




 お読みくださりありがとうございます。

 温泉が嬉しい季節になりました。肩と腕が痛くて辛いので、温泉であたたまって良くなれば、と期待しております。

 それではまた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。