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雨宿り
夕立が、街を一瞬で灰色に染めた。
アスファルトを叩く雨の音は、さっきまでのヒグラシの声をかき消し、行き交う人々を慌てさせる。
コンビニの軒先で立ち止まると、冷たい雨の匂いと、遠くで鳴る雷の音が入り混じっていた。
「間に合わなかったね」
隣で肩をすぼめながら笑うのは、帰り道を一緒にしていた幼なじみだ。
彼女は濡れた髪を指で払いながら空を見上げる。
「傘、持ってないの?」
「……持ってるけど、一本だけ」
そう言ってカバンから傘を取り出すと、彼女は一瞬黙って、視線を落とした。
「じゃあ、相合い傘だね」
その言葉に胸の奥がざわつく。走ったせいで鼓動が速いのか、自分でもわからなかった。
二人の肩が触れる距離を想像して、思わず傘を開く手が止まる。
軒先を叩く雨、車が跳ね上げる水しぶき――街全体が雨に包まれている。
「……もう少し止むのを待とうか」
彼女がそう言って、濡れた前髪を耳にかけた。
雨はまだやみそうにもない。




