今度こそ、私を助けて。
「あいつよ」刹那は自分を「ナンバーセブン」と呼んだ男を指差した。
「生け捕りにして」ミラは頷いた。
「承知いたしました、刹那様」刹那は前に進んだ。
一歩。
そしてもう一歩。
三歩目で…
膝が崩れた。
「刹那様?」ミラは地面に倒れる刹那を間一髪で支えた。
刹那は荒い息をしていた。
「離して」
「だめだ」
「ミラ」
「立てない」
「戦える」刹那は立ち上がろうとした。
再び足が崩れた。刹那は歯を食いしばった。
「くそっ…」レナは刹那がこんな声を出したのを聞いたことがなかった。
冷たさはなかった。
計算高さもなかった。
そこには苛立ちがあった。
そして、恐怖があった。刹那は自分の手を見つめた。
震えていた。
彼女は拳を握りしめようとした。
しかし、止められなかった。
数フィート先で鎖が地面に落ちた。
金属音が彼女の頭を突き刺した。
ガチャン。
部屋が元に戻った。
暗闇。
手枷。
7番。
刹那は目を閉じた。
いや…
ミラは彼女をさらに強く抱きしめた。
刹那様!
ガチャン。
従え。
いや…
ガチャン。
殺せ。
刹那は耳を塞いだ。
黙れ!
レナは凍りついた。
今まで…
彼女は今まで…
刹那がこんな風になるのを見たことがなかった。
英雄たちにひるむことなく立ち向かってきた女が、今や床にうずくまっている。
戻りたくない…
刹那は囁いた。
ミラはそれを聞いた。
何?
セツナは自分が今言ったことに気づいたようだった。
彼女はいつもの表情を取り戻そうとした。
しかし、何も変わらなかった。
「セツナ様…」「何でもないと言ったでしょう。」
彼女は再び立ち上がろうとした。
できなかった。
ルシアンは数メートル離れたところから見守っていた。
杖はまだ手の中にあった。
そして、彼はあることに気づいた。
英雄殺しは無防備だった。
これはおそらく、彼にとってこれ以上ない絶好の機会だった。
英雄たちの死の原因となった女。
帝国が探し求めていた人物。
武装して自分の部屋に侵入した暗殺者。
彼女は床に倒れていた。
戦うこともできない。
ルシアンならできる。
祝福を。
たった一つ。
身動きを封じる。
そして彼女を引き渡す。
彼の汚名は晴れるだろう。
帝国は彼に褒美を与えるだろう。
もしかしたら、この追跡劇は永遠に終わるかもしれない。
セツナはゆっくりと顔を上げた。
二人の視線が交わった。
彼女は理解した。
ルシアンは彼女の目に何か異様なものを見た。
セツナは自分が無防備であることを悟った。
彼女は短剣に手を伸ばした。
指がそれを掴めなかった。
刃が落ちた。
カチャリ。
ルシアンは彼女を見た。
セツナは何も言わなかった。
しかし、彼女の表情がすべてを物語っていた。
さあ。
私を捕らえたいなら…
やってみろ。
ルシアンは杖を上げた。
ミラは即座に反応した。
彼女はセツナの前に立った。
「だめよ。」
ルシアンは動きを止めた。
ミラは両腕を広げた。
「もう一歩も動けない。」
「ミラ…」
セツナは彼女を押し退けようとした。
「動け。」
「だめよ。」
セツナは顔を上げた。
「命令だ。」
ミラは微動だにしなかった。
「それなら…」
間を置いて
「私は従わない。」
セツナは完全に静止していた。
レナも彼女の前に立っていた。
彼女の足は震えていた。
ひどく。
ルシアンはそれに気づいた。
「怖がっているな。」
「ええ。」レナは唾を飲み込んだ。
「とても。」彼は武器を構えた。
「だが、彼女もだ。」セツナの目が大きく見開かれた。
「レナ…」
「あなたはいつも私たちに生き延びろと言う。」レナは深呼吸をした。
「だから今回は、私たちの言うことを聞いて。」セツナは何も答えなかった。
ルシアンは二人の若い女性を見つめた。
そしてセツナを見た。
ついに…
彼は杖を下ろした。
ミラは姿勢を崩さなかった。
「何をしているの?」
「決断を下している。」ルシアンはセツナを見た。
「お前を告発することもできるぞ。」
「ええ」彼女は弱々しく答えた。
「こんなチャンスは二度とないかもしれないわ。」
「そうだろうな。」
「だが…」ルシアンは黒服の男たちに目をやった。
「奴らはお前に何を言うべきか、正確に分かっていた。」セツナは黙ったままだった。「それはお前以上に私の心配事だ。」ルシアンは振り返った。
「では、話は後回しにしよう。」彼の杖の周りに黄金の光が現れた。
「最初の祝福だ。」襲撃者たちが前進してきた。
「聖域だ。」結界がセツナ、ミラ、レナを包み込んだ。
黒服の男が叫んだ。
「ルシアン・ヴァレルが標的を守っている!」
ルシアンは苦笑いを浮かべた。
「どうやらそうらしいな。」
「それは反逆罪だ!」
「記録しておけ。」
襲撃者たちが突進してきた。
ルシアンは地面に拳を叩きつけた。
障壁は持ちこたえた。
「ミラ!」
「何?」
「彼女をここから出して!」
ミラは刹那を見た。
「さあ。」
「嫌よ。」刹那は立ち上がろうとした。
「あの男を捕まえなきゃ。」
「彼は戦えないわ。」
「答えが欲しいの。」
「必ず手に入れるわ。」ミラは刹那の片腕を自分の肩に回した。
刹那は振りほどこうとした。
「ミラ!」
「罰は後でいいわ。」
「離して。」
「嫌よ。」
「命令よ!」ミラは刹那を真っ直ぐに見つめた。
「じゃあ、安全な場所に着いたらまた命令して。」
刹那は黙っていた。
レナは刹那のもう片方の腕を取った。
「さあ。」
「歩けるわ。」二人は少しだけ手を緩めた。
刹那は一歩踏み出した。
彼女は危うく転びそうになった。
レナが再び彼女を支えた。
セツナは目を閉じた。
彼女の顔には、二人が予想もしなかった表情が浮かんでいた。
恥辱。
「私を見ないで。」
ミラは眉をひそめた。
「何?」
「そんな風に私を見ないで。」
「どんな風に?」セツナは歯を食いしばった。
「まるで私が…」彼女は言葉を最後まで言い終えることができなかった。
レナは待った。
セツナはついに囁いた。
「弱い人みたいに。」背後では戦いが続いていた。
爆発。
魔法。
金属。
しかし、一瞬…ミラはセツナだけを見つめた。
「あなたは私が弱っていた時に私を見つけたのね。」
セツナは顔を上げた。
「彼女は私が敗北した姿を見たのよ。」
「混乱していたわ。」
「私が誰なのか分からなかったの。」ミラは彼女の手を軽く握った。
「それでも彼女は私を見捨てなかった。」
沈黙。
「今さらそんなことを期待しないで。」
刹那は微動だにしなかった。
レナは微笑んだ。
「それに…」
刹那は彼女を見た。
「あなたは本当に厄介な人ね。」
沈黙。
「何?」
「場を和ませようとしただけよ!」
「レナ…」
「ごめんなさい!」
一瞬…
刹那の顔に何かが浮かんだ。
微笑みではなかった。
それに近いものだった。
その時、また鎖が床に落ちた。ガチャン。
刹那は再び身震いした。
ミラは全身が緊張するのを感じた。
「私たちは行くわ。」
今度は刹那は抗議しなかった。
それがミラを最も怖がらせたのかもしれない。
二人は病院の廊下を駆け下りた。
ルシアンは襲撃者たちを食い止めるためにその場に残った。レナは梯子を見つけた。
「こっちよ!」二人は梯子を下りた。
セツナは意識を保つのがやっとだった。
次々と幻影が現れた。
テーブル。
白い手袋。
血。
ドア。
他の子供たち。
数字。
3。
5。
7。
セツナは突然目を開けた。
「他にもいたわ。」ミラは立ち止まった。
「何?」
「子供たち。」
セツナは荒い息をしていた。
「私一人じゃなかった。」レナはセツナを見た。
「誰だったか覚えてる?」セツナは思い出そうとした。
痛み。
顔。
女の子。
それから男の子。
声。
「ここから出たら…」
記憶は消えた。
セツナは頭に手を当てた。
「思い出せない…」
「無理しないで」とミラが言った。
「思い出さなきゃ!」
「今はダメ」セツナは服を掴んだ。
「あなたには分からない!」
ミラは彼女を離さなかった。
セツナは息を吐いた。
彼女の目に涙が浮かんだ。
「彼らの顔が思い出せない」
沈黙。
「思い出せない…」彼女の声が震えた。
レナは彼女がこんな風に話すのを聞いたことがなかった。
セツナはうつむいた。
「彼らは私に何をしたの…?」
誰も答えなかった。
なぜなら、二人とも知らなかったからだ。
ミラはただ彼女を抱きしめた。
セツナは凍りついた。
「何してるの?」
「何でもない」
「ミラ」
「何でもない」
セツナの腕は動かなかった。
彼女はどう反応すればいいのか分からなかった。
数秒後…
彼女の指がゆっくりとミラの服を掴んだ。
とても優しく。
レナは視線をそらした。
彼女はミラにその瞬間を与えた。
セツナは目を閉じた。
何年も生き延びてきた彼女は、誰かを必要とすることは弱さだと信じていた。
あの朝…
彼女は彼らなしでは歩けなかった。
そして、彼女はまだ生きていた。
もしかしたら、両方とも真実なのかもしれない。
もしかしたら、彼女は恐れているのかもしれない…
それでもセツナであり続けることができるのかもしれない。
爆発音が廊下を揺るがした。
ルシアンが階段の上に現れた。
「移動しなければ!」
ミラは顔を上げた。
「止めたの?」
「いや。」
ルシアンは荒い息をしていた。
「それに、もう一つ問題がある。」
セツナはゆっくりとミラから離れた。
「何?」
ルシアンは彼女を見た。
「君をナンバーセブンと呼んだ男は逃げた。」
刹那の目に、いくらか鋭さが戻った。
「なら、必ず見つけ出す。」
ルシアンは首を横に振った。
「まだ最悪の事態ではない。」彼は襲撃者の一人から奪ったものを取り出した。
小さな金属板。
そこにはあるシンボルが刻まれていた。
刹那はそれを見た。
そして、顔色を失った。
ミラはすぐにそれに気づいた。
「彼女はそれを知っているの?」刹那はバッジを受け取った。
彼女の指は再び震えた。
彼女の記憶の中で…
白い手袋が再び現れた。
手袋にも同じシンボルが刺繍されていた。
ルシアンが言った。
「つまり、そうだということだろう。」
刹那はバッジを握りしめた。
今度は震えを隠そうとはしなかった。
「彼らは…」
彼女は唾を飲み込んだ。
「彼らが私をそうさせたの。」
誰も何も言わなかった。
刹那は顔を上げた。
彼女はもはや、ただの英雄処刑人ではなかった。
ほんの数秒間…
ミラは、その奥にあるものを見ていた。
生き残った少女を。
そして、狩りが始まって以来初めて…
刹那はこう言わなかった。
「ついて来なさい。」
彼女は全く違うことを言った。
「助けて。」
ミラは刹那の手を取った。
レナはもう片方の手を取った。
「いつでも。」
そして三人は歩き続けた。
共に。
この章を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
楽しんでいただけたなら幸いです。もし何かご感想やご意見、あるいは単に物語の展開に対する感想などがありましたら、ぜひお聞かせください。皆さんのコメントは、物語をどのように受け止めていただいているのかを知る上で大変参考になりますし、私自身も作家として成長していく上で大きな励みになります。
もしこの物語が評価に値すると感じていただけましたら、ぜひ評価をいただけると嬉しいです。
この物語をこれからも応援してくださり、心から感謝申し上げます。次の章でお会いしましょう。




