セツナが今も恐れるもの
最初の敵が倒れた。
しかし、彼は立ち上がった。
セツナは眉をひそめた。
短剣は狙い通りに命中した。
致命傷ではなかった。
しかし、普通なら数分間腕が不自由になるような一撃だった。
男はただ刃を引き抜いた。
指を軽く動かした。
そして、元の構えに戻った。
「まったく、厄介な奴らだ…」
ルシアンはその言葉を聞いた。
「心配しているのか?」
「厄介な奴らだ。」
「つまり、心配しているんだな。」
「集中しろ。」
ルシアンは微笑んだ。
返事をする暇はなかった。
3人の敵が彼に襲いかかった。
「第一の祝福。」
杖が地面に突き刺さった。
「ガブリエルの壁。」
黄金の結界が現れた。
ドーン!
3つの武器が激突した。
ルシアンは後ずさりした。
彼の目は見開かれた。
結界に亀裂が入った。
「何だ…?」
攻撃者の一人が奇妙な黒い剣を振り上げた。
金属には紋章が刻まれていた。
ルシアンはそれを見覚えがあった。
「反魔法だ。」
結界が爆発した。
ルシアンは衝撃を受け、吹き飛ばされた。
「ルシアン!」レナが叫んだ。
彼は地面を転がった。
彼はほぼすぐに立ち上がった。
「大丈夫だ。」
彼は口から血を拭った。
「たぶん。」
セツナは武器を調べた。
彼らはただの傭兵ではなかった。
彼らは英雄と戦う準備をしてやってきた。
そして、彼女とも。
つまり、彼らは二人のことを知っているということだ。
「ミラ。」
「はい!」
「いつも同じパターンを使うな。」
ミラは剣を受け止めた。
「了解!」
彼女はくるりと身を翻し、拳で反撃した。
敵はそれをかわした。
背後に別の敵が現れた。
ミラはなんとか反応した。
かろうじて。
「ちっ!」
セツナは短剣を投げた。
攻撃者は退却せざるを得なかった。
「レナ、下がれ!」
しかし、レナは退却しなかった。
彼女はセツナの言葉を思い出していた。
観察しろ。
考えろ。
パニックになるな。
彼女は攻撃者の一人が近づいてくるのを見た。
彼女には彼を倒せない。
彼女はそれを知っていた。
だから、彼女は戦おうとしなかった。
彼女はベルトから小さな袋を取り出し、地面に投げつけた。
埃。
男は一瞬、視力を失った。
レナは走った。
「ミラ!」
ミラは理解した。
彼女は襲撃者の側面を攻撃した。
男は倒れた。
レナは驚いた。
「うまくいった…」
「まだ喜ぶのは早い!」刹那が叫んだ。
別の敵が現れた。
レナは再び走り出した。
「やっと分かった!」
刹那は思わず笑みをこぼしそうになった。
もう少しで。
その時、声が聞こえた。
「パターン17」
彼女は凍りついた。
黒服の男の一人が彼女の前に立っていた。
彼は攻撃してこなかった。
彼はただ言った。
「拘束」
刹那は何か異変を感じた。
黒い糸が飛び出した。
彼女はそれをかわした。
もう一本が右から現れた。
彼女はそれもかわした。
3本目。
4本目。
刹那は両方とも切り裂いた。
「遅すぎる。」
男は何も答えなかった。
刹那は背後に何かを感じた。
振り返った。
遅すぎた。
鎖が手首に巻きついた。
刹那はそれを切ろうとした。
別の鎖が二本目の鎖を掴んだ。
引っ張られた。
背中が柱に激しく打ち付けられた。
「刹那様!」
ミラは駆け寄ろうとした。
「だめ!」
刹那は鎖を断ち切ろうとした。
すると三本目の鎖が現れた。
それは彼女の首に巻きついた。
窒息するほどきつくはなかった。
ただ、身動きが取れない程度だった。
そして…
刹那の中で何かが壊れた。
病院が見えなくなった。
ミラの声が聞こえなくなった。
ルシアンの姿が見えなくなった。
白い石が消えた。
その代わりに…
暗闇が広がった。
部屋。
狭い。
湿っぽい。
少女が苦しそうに息をしていた。
黒髪。
痩せ細っていた。
手首には枷がはめられていた。
刹那。
何年も前のこと。
――七番。
男の声。
少女は顔を上げた。
男がテーブルの後ろに立っていた。
顔は見えなかった。
白い手袋だけが見えた。
――もう一度。
幼い刹那は首を横に振った。
――いや…
――もう一度。
――お願い…
鎖が締め付けられた。
――ああ!
――懇願するな。
少女は泣き出した。
――ここから出たい…
男が近づいてきた。
――行くところはない。
刹那は目を閉じた。
――はい、あります…
――どこへ?
返事はなかった。
男は彼女の前にしゃがみ込んだ。
「お前はストリートチルドレンだった。」
沈黙。
「誰もお前を探さなかった。」
刹那は震え始めた。
「誰もお前がここにいることを知らない。」
白い手袋が彼女の顔を覆った。
「私たちはお前に食べ物を与えた。」
「いいえ…」
「私たちはお前に名前を与えた。」
「いいえ…」
「私たちはお前に生きる目的を与えた。」
少女は逃げようとした。
鎖がそれを許さなかった。
「さあ、それを持つに値することを証明してみろ。」
扉が開いた。
誰かが部屋に投げ込まれた。
刹那は見た。
彼女の目は大きく見開かれた。
「いや…」
声が再び命令した。
「殺せ。」
「殺したくない。」
「殺せ。」
「いや!」
鎖が再び締め付けられた。
セツナは叫んだ。
「嫌よ!」
「ならば、思い知らせてやる。」
映像は消えた。
病院。
火事。
悲鳴。
セツナは現実に戻った。
しかし、彼女の体は戻っていなかった。
呼吸が速すぎた。
手が震えていた。
鎖はまだ首に巻かれていた。
「7番だ」と襲撃者は言った。
セツナは息を止めた。
ミラはそれを聞いた。
「7番…?」
黒服の男は頭を下げた。
「洗脳は残っている。」
ルシアンは顔色を失った。
「一体彼女に何をしたんだ?」
セツナは鎖を引っ張った。
何も起こらなかった。
呼吸が荒くなった。
「セツナ様。」
ミラは彼女がこんな風になるのを見たことがなかった。
彼女は刹那を目撃していた傷。
激怒。
疲労。
驚きさえ感じた。
しかし、決して…
恐怖は感じなかった。
「せつな様、こちらを見て。」
せつなは反応しなかった。
「せつな様!」
何も反応がない。
襲撃者は彼女に向かって歩み寄った。
「心的外傷反応確認。」
彼は注射器を取り出した。
「鎮静剤を用意せよ。」
ルシアンが彼の前に現れた。
彼の杖が男の顔面を叩いた。
男は吹き飛ばされた。
「彼女に触れるな!」
別の襲撃者がルシアンに向かってきた。
「第二の祝福!」
光。
攻撃は防がれた。
「第三の祝福!」
黄金の波動が地面を駆け抜けた。
襲撃者たちは退却した。
ルシアンは叫んだ。
「見ろ!鎖だ!」
「やってみる!」
ミラは一つ切った。
何も起こらない。
金属には傷一つついていない。
「できない!」
刹那は部屋を見つめ続けた。
「7番。」
「いや…」
「殺せ。」
「いや…」
「従え。」
「したくない…」
「お前は人間じゃない。」
刹那は目を閉じた。
「いや…」
すると、別の声が聞こえた。
遠くから。
「刹那様。」
彼女は少し目を開けた。
「刹那様。」
「ミラ。」
「戻ってこい。」
刹那は息を吐いた。
「教えてくれるって約束したじゃない。」
もう一度息を吐いた。
「だから、そこにいてはいけない。」
刹那は目を開けた。
病院の光景がゆっくりと戻ってきた。
火。
煙。
ルシアン。
レナ。
見て。
彼女の仲間たち。
あの部屋じゃない。
あの男たちじゃない。
今。
ここ。
セツナは鎖を見つめた。
呼吸が落ち着き始めた。
その言葉を発した襲撃者が立ち上がった。
「7番だ。」
セツナは顔を上げた。
「違う。」
男は動きを止めた。
セツナは鎖を引っ張った。
「その名前…」
もう一度。
腕の筋肉が緊張した。
「彼はとっくに死んだ。」
魔法が現れた。
ミラは後ずさりした。
彼女はこんな感覚を味わったことがなかった。
それはセツナが普段使うような繊細な魔法ではなかった。
それは巨大だった。
暴力的だった。
制御不能だった。
鎖が震え始めた。
「せつな様!」
せつなは叫んだ。
鎖が切れた。
攻撃者は退却した。
「ありえない。」
せつなは膝をついた。
彼女は息を吐いた。
一度。
二度。
彼女は立ち上がった。
手はまだ震えていた。
しかし、彼女は短剣に手を伸ばした。
敵は彼女と同じ構えを取った。
「感情の高ぶり。戦闘パターンが乱れている。」
せつなは彼を見た。
「あなたは同じ過ちを繰り返している。」
「どの過ちだ?」
せつなはミラをちらりと見た。
次にレナ。
最後にルシアン。
「彼らは孤独に戦う女を研究していた。」
沈黙。
「私はもう一人じゃない。」
ミラは微笑んだ。
「はい、刹那様。」
ルシアンは杖を上げた。
「なんだか仲間入りしたような気がする。」
「調子に乗るな。」
「もう遅い。」
レナも小さな武器を構えた。
刹那は襲撃者たちを振り返った。
しかし、何かが変わっていた。
彼女はもはや彼らを倒すだけでは満足できなかった。
一人生かしておかなければならなかった。
なぜなら、あまりにも長い間埋もれていた疑問があったからだ。
そして、あの男たちはその答えを知っていることを証明したのだ。
刹那は自分を「ナンバーセブン」と呼んだ男を指差した。
「あいつだ。」
ミラは理解した。
「生か?」
「生か。」
ルシアンは刹那を見つめた。
「他の奴らは?」
刹那は短剣をひねった。
彼女の表情は再び険しくなった。
しかし、指はまだかすかに震えていた。
「逃げさせてみろ。」
黒服の男たちが武器を構えた。
刹那は一歩前に踏み出した。
今回は、彼女には仲間がいた。
そして、この戦争が始まって以来初めて…
彼女の次の標的は英雄ではなかった。
それは、刹那が埋葬しようとした少女を知る人物だった。
鎖につながれた少女。
その少女の名は…
ナンバーセブン。
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