帝国評議会
帝都に雨が降り注いでいた。
巨大な白い大理石の塔は、灰色の空の下、微動だにせずそびえ立っていた。数十人の兵士が、普段よりも頻繁に城壁を巡回していた。
噂は既に帝国の隅々にまで広まっていた。
二人の英雄が命を落とした。
しかも、二人とも戦死したわけではなかった。
処刑されたのだ。
皇居で、重厚な樫の扉がゆっくりと開いた。
「陛下、ご到着されました。」
居合わせた者たちは皆、立ち上がった。
将軍たち。
大臣たち。
貴族たち。
司教たち。
冒険者ギルドの代表者たち。
静寂が広間を満たした。
皇帝は一言も発することなく玉座へと歩み寄った。
そして、玉座に着いた。
皇帝は出席者一人ひとりをじっと見つめた。
「始めよう。」
一人の大臣が前に進み出た。
「陛下、犯罪組織の仕業だと考えております。」
別の者が即座に否定した。
「そのような証拠はない。」
「では、敵国か?」
「それもない。」
議論が始まった。
それぞれが異なる説を唱えた。
しかし、答えは出なかった。
ついに、皇帝が手を上げた。
沈黙が戻った。
「何人だ?」
居合わせた者たちは困惑した表情で顔を見合わせた。
ギルドのリーダーが尋ねた。
「どういう意味でしょうか、陛下?」
皇帝は報告書の一つを掲げた。
「何人の英雄が殺されたのか?」
「二人です。」
「いや。」
皇帝は文書をテーブルに置いた。
「過去20年間で報告された英雄は何人だ?」
広間は完全に静まり返った。
誰も答えなかった。
老齢の法務大臣が数巻の巻物に目を通し始めた。
一つ。
そしてもう一つ。皇帝の表情がゆっくりと変わった。
「陛下…」
彼の声は震えていた。
「…147件の苦情が登録されています。」
広間はざわめきに包まれた。
「147件だと?」
「そんなはずはない。」
「なぜ誰もこのことを口にしなかったのだ?」
皇帝は玉座の肘掛けを軽く叩いた。
その音で静寂が戻った。
「では、有罪判決に至った件数は?」
老人は再び確認した。
数秒が経過した。
「ゼロだ。」
重苦しい空気が漂った。
皇帝はゆっくりと目を閉じた。
「やはりそうか。」
一人の将軍が前に進み出た。
「陛下、それは苦情が真実だという意味ではありません。」
「いや。」
皇帝は答えた。
「しかし、だからといってそれらが虚偽だったとは限りません。」
誰も言葉に詰まった。
すると皇帝はギルドの代表者をじっと見つめた。
「説明せよ。」
男は唾を飲み込んだ。
「陛下……ギルドには毎年数百件の報告が寄せられております。その多くは十分な証拠を欠いております……」
「そんなことは聞いていない。」
皇帝の声は依然として穏やかだった。
しかし今、その声はまるで山のように重くのしかかっていた。
「147件の苦情が消えた理由を尋ねているのだ。」
代表者は沈黙した。
彼には答えがなかった。
あるいは、答えはあったのかもしれない。
しかし、それを口にすることはできなかった。
皇帝は視線を帝国騎士団の司令官に移した。
「今日から、私は独立した部隊を編成する。」
出席者たちは顔を上げた。
「ギルドの支配下にはありません。」
「教会の支配下にもありません。」
「そして、それは王室にのみ責任を負う。」
ギルドリーダーの目が大きく見開かれた。
「陛下!」それは諸機関の均衡を崩すことになります…
「均衡は既に崩れている。」
その言葉は死刑宣告のように響いた。
皇帝はゆっくりと立ち上がった。
「もし英雄を狩る者がいるならば…」
彼はホールを数歩横切った。
「その理由を知りたい。」
沈黙。
「もし彼女が罪のない人々を殺したならば…」
彼の視線は部屋を見渡した。
「我々は彼女を止めます。」
沈黙。
「しかし、もし誰かが罪人を罰せずに放置したならば…」
彼の視線はギルド代表に注がれた。
「彼らもまた、その責任を問われることになる。」
ホールは完全に静まり返った。
誰も口を開かなかった。
なぜなら、初めて…
皇帝はもはや暗殺者を探しているだけではなかったからだ。
彼もまた、真実を探し始めていた。
そこから遠く離れた場所で…
刹那はミラ、レナ、そして他の者たちと共に歩いていた。
風が彼女の黒いマントを優しく揺らした。
ミラが沈黙を破った。
「刹那様…」
「何?」
「次の標的は?」
刹那は地平線を見上げた。
彼女の答えは皆を驚かせた。
「英雄ではない。」
レナは瞬きをした。
「では…?」
刹那は冷静に答えた。
「冒険者ギルドに潜入する。」
三人は凍りついた。
「答えが必要だ。」
初めて…
追跡は終わった。
そして、捜査は…
始まったばかりだった。
読んでいただきありがとうございます!よろしければポイントや感想をいただけると励みになります!




