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英雄を狩る少女  作者: ジャクロの精霊


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嵐の後

エルナーに静寂が戻った。


しかし、以前とは違っていた。


もはや恐怖ではなかった。


それは…虚無だった。


扉がゆっくりと開いた。


人々が慎重に姿を現した。


空気は冷たかった…しかし、軽かった。


村の端で…


レナは立ち止まった。


彼女の呼吸はまだ荒かった。


彼女の友人がそばにいた。


生きていた。


しばらくの間…


二人は何も言わなかった。


そして…


レナは彼女を抱きしめた。


強く。


必死に。


「…ごめんなさい…」と彼女は囁いた。


友人はすぐに答えた。


「ううん…」


彼女も抱き返した。


「ありがとう…」


二人は震えていた。


しかし、恐怖からではなかった。


安堵からだった。


「てっきり…」レナは言った。「…もう出てこないと思ってた…」


「私もそう思ってた…」


沈黙。


二人はほとんど離れなかった。


二人は見つめ合った。


「…相変わらずおバカね」友人は小さく微笑んで言った。


レナは弱々しく笑った。


「あなたも相変わらず無鉄砲ね…」


しかし、そこには非難の言葉はなかった。


ただ…人生そのものだった。


ミラは数歩後ろから見守っていた。


静かに。


セツナはもっと遠くにいた。


立っていた。


村から続く道を見つめていた。


常に前へ。


ミラは一歩踏み出した。


そしてもう一歩。


彼女はレナに近づいた。


「大丈夫?」


レナは頷いた。


「ええ…」


彼女はセツナを見た。


「彼女…」


ミラも見た。


「ええ。」


沈黙。


レナは軽く拳を握りしめた。


「私も一緒に行きたい。」


ミラはすぐには答えなかった。


「どうして?」


レナは俯いた。


「だって…これは…ここだけの問題じゃないから。」


沈黙。


「それに…もし私が何も行動を起こさなかったら…」

「同じことを繰り返してしまうだけ。」


沈黙。


「そんなことはしたくない。」


彼女の声はもう震えていなかった。


「他の誰にもこんな思いをさせたくない。」


ミラは彼女を見つめた。


「それは小さな願いじゃないわ。」


「分かってる。」


沈黙。


レナの友人が口を開いた。


「彼女が行くなら…私も行く。」


ミラは一度瞬きをした。


「本当にいいの?」


「いいえ」と彼女は答えた。


「でも、試してみたい」


沈黙。


ミラは頷いた。


「じゃあ、彼女に聞いてみて」


三人は刹那の方へ歩み寄った。


彼女は振り返らなかった。


しかし、彼女は知っていた。


ずっと知っていたのだ。


「私についてきたいんでしょ」と彼女は言った。


それは質問ではなかった。


断言だった。


レナは彼女の前に立ち止まった。


「ええ」


沈黙。


刹那はゆっくりと振り返った。


彼女の目は冷たかった。


しかし、虚ろではなかった。


「なぜ?」


レナはためらわなかった。


「私も同じことをしたいから」


「『同じ』ってどういう意味?」


沈黙。


「止めて」


刹那は彼女を見つめた。


「だめ」


沈黙。


「それは私のすることじゃない」


レナは眉をひそめた。


「じゃあ…あなたは何をするの?」


沈黙。


セツナは完全に冷静に答えた。


「私は、他の人が見過ごすことを終わらせるの。」


空気が重くなった。


「そして…」彼女は付け加えた。「…それは正義ではない。」


沈黙。


「それは必要だ。」


レナは拳を握りしめた。


「じゃあ、私は必要とされたい。」


沈黙。


セツナは数秒間、レナを見つめた。


品定めするように。


「あなたは死ぬわ」彼女は言った。



直接的に。



一切の言い訳なし。


「あるいは、もっとひどいことになる。」


レナの友人は唾を飲み込んだ。


ミラは動かなかった。


「いつも誰かを救えるとは限らない」セツナは続けた。


「いつも間に合うとは限らない。」


「そして、誰もが救われるに値するわけではない。」


沈黙。


「それでも…あなたは決断しなければならない。」


レナは下を向かなかった。


「分かってる。」


「あなたは分かってない。」


沈黙。


「でも、あなたはいつか分かる。」


間。


セツナは一歩前に出た。


「そして、その時…」


「あなたは彼らよりも恐ろしい存在になるかもしれない。」


風が吹いた。


レナは息を吐いた。


「それなら…避けるしかない。」


沈黙。


セツナは彼女を見つめた。


そして一瞬…


何かが変わった。


ほんのわずかだった。



しかし、十分だった。


「それに頼ってはいけない。」


間。


「抵抗する力に頼るんだ。」


沈黙。


そして彼女は振り返った。


「もし彼らが来たら…」


彼女は歩き始めた。


「もう後戻りはできない。」


ミラは彼女の後を追った。


ためらうことなく。


レナは友人を見つめた。


「本当にいいの?」


彼女はうなずいた。


「あの場所にはもう戻りたくない。」


沈黙。


そして…


二人は一歩を踏み出した。


そして歩き出した。


二人の後ろで…


エルナーは冷静だった。


しかし、その先には…


さらに何かがあった。


はるかに多くの何かが。

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― 新着の感想 ―
 ダークヒーローや義賊や正義ではなく必要悪……なんでしょうか。まあ、正義などの空回りや誤用で英雄が厄災になっている世界への抑止力とはいえ、暴力などを振りかざしたら、そういう存在かもしれませんね。  し…
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