表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄を狩る少女  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/38

我々が必要としていた男

朝は長く感じられた。


しかしエルナールでは、時間は安らぎをもたらさなかった。


ただ、同じことの繰り返しだけだった。


セツナは、他の旅人と同じように、急ぐ様子もなく、特に目的もなく、穏やかな足取りで村を歩いていた。彼女の視線はほとんど動かなかったが、すべてを捉えていた。半開きの扉、緊張した顔、彼女が通り過ぎる際に止まった手。


ミラは一歩後ろを歩いていた。


無言で。


注意深く。


正確。


「今日、彼に会えるわね」とセツナは呟いた。


「はい、セツナ様」


それ以上何も言う必要はなかった。


ガレスの存在は、目に見えないものではなかった。


それは…予想されていたことだった。


それが、他と違っていた。


彼は脅威には見えなかった。


彼は日常の一部のように見えた。


そして、それは起こった。


まず、雰囲気の変化。


目には見えない変化。



すぐには来ない。


しかし、確かに。


薪を運んでいた男は話すのをやめた。


井戸端の女は声を潜めた。


子供が走るのを止めた。


刹那は立ち止まった。


「彼が来るわ」と彼女は言った。


ミラは頷いた。


「はい、刹那様」


重い足音は聞こえなかった。


鎧のぶつかり合う音もなかった。


叫び声もなかった。


しかし、村は反応した。


それで十分だった。


大通りから、静かに歩く人影が現れた。


ガレス・ソルレン。


彼は威圧的な雰囲気ではなかった。


巨人でもなかった。


派手な鎧は着ていなかった。


実用的な服装だった。


軽装だった。


機能的だった。


縁が少し擦り切れた濃い灰色のマント。丈夫な旅装だった。


腰に剣を携え、余計な装飾は一切ない。


彼の顔は…平凡だった。


だからこそ、余計に危険なのだ。


短く黒い髪。


揺るぎない視線。穏やかな表情。


彼は笑っていなかった。


しかし、緊張している様子もなかった。


彼は何も証明する必要のない者のようだった。


なぜなら、彼は既に全てを支配していたからだ。


刹那は彼を直接見なかった。


まるで道を渡る見知らぬ人を見るかのように、視界の端で彼を観察していた。


ミラも同じようにしていた。


「あまりじっと見つめないで」と刹那は静かに言った。


「はい、刹那様」


ガレスは通り過ぎた。


そしてその瞬間…


何かが変わった。


村ではなく。


彼自身の中で。


彼の目が動いた。


はっきりとは。


突然ではなく。


しかし、もう十分だ。


彼は何かに気づいていた。


セツナはそれを感じた。


恐怖ではなく。


計算として。


「――」彼女は何も言わなかった。


ガレスは立ち止まらなかった。


しかし、完全に無視したわけでもなかった。


彼の視線が彼女たちを通り過ぎた。


一瞬。


もしかしたらもっと短い時間だったかもしれない。


しかし、それは偶然ではなかった。


それは評価だった。


セツナはその重みを感じた。


直接的な脅威としてではなく。


自分の縄張りに入ってくるものすべてを品定めしている存在として。


彼は歩き続けた。


振り返ることもなく。


何の反応も示さずに。


ほら、彼女の後ろで、彼は歩調を合わせていた。


「私たちを見たわ」彼女は囁いた。


「ああ」


「他の奴らとは違う」


「ああ」


沈黙。


ガレスは村の中心へと歩き続けた。


彼を見た数人が背筋を伸ばした。


頭を下げる者もいた。


ただ脇に避ける者もいた。


誰も口を開かなかった。


しかし、皆が彼をじっと見つめていた。


それは敬意ではなかった。


それは秩序だった。


刹那は少し歩みを緩めた。


少しだけ振り返り、遠くから彼を観察した。


ガレスは一人の男の傍らに立ち止まった。


彼は声を荒げなかった。


命令もしなかった。


ただ、話しかけた。


男は頭を下げた。


頷いた。


立ち去った。


刹那は目を細めた。


「彼は人前で罰する必要はない。」


ミラが答えた。


「いいえ、刹那様。」


「彼は既に彼らを捕らえている。」


沈黙。


ガレスは一瞬顔を上げた。


彼らを直接見ていたわけではない。


しかし、確かに…彼らの方向を見ていた。


セツナは動かなかった。


視線を落とさなかった。


彼に反抗するそぶりも見せなかった。


ただそこに存在していた。


それで十分だった。


ギャレスはもう一瞬、その視線を受け止めた。


そして、元の作業に戻った。


しかし、すでに明らかだった。


彼は何かに気づいていたのだ。


「彼は洞察力があるわね」とセツナは言った。


「はい、セツナ様」


「思った以上にね」


ミラは頭を下げた。


「近づくのは簡単ではないでしょうね」


セツナはかすかに微笑んだ。


「私たちは近づかないわ」


沈黙。


「彼を近づけるのよ」


ミラはわずかに視線を上げた。


「分かりました、セツナ様」


セツナは顔を背けた。


「今はこれで十分よ」


「はい、せつな様。」


二人は村の中心部から離れていった。


しかし、雰囲気は以前とは違っていた。


何かが以前とは違っていた。


互いに緊張感が漂っていた。


なぜなら、初めて…


標的を観察していたのはせつなだけではなかったからだ。


標的もまた、気づき始めていた。


村の中心部で、ガレスは会話が終わってから数秒間、沈黙していた。


何かがおかしい。


行動を起こすには時間が足りなかった。


しかし、覚えておく価値はあった。


二人の見知らぬ人。


特に目立ったところはない。


明白なことは何もない。


しかし…


組織的だ。


あまりにも組織的すぎる。


彼女はほんの少し顔を向けた。


二人はもういなくなっていた。


彼女はそれが気に入らなかった。


危険だからではない。


まだ、危険ではない。


しかし、彼らはそこに馴染んでいなかった。


そして、ガレス・ソルレンは馴染まないものを見過ごすことはなかった。


彼女は再び歩き始めた。


しかし今度は…


より注意深く。


一方、セツナは宿屋へとゆっくりと歩いていた。


「どう思う?」と彼女は尋ねた。


ミラはためらうことなく答えた。


「セツナ様、彼女は私たちの存在を部分的に察知しました。」


「ああ。」


「しかし、まだ確信は持てません。」


「まだだ。」


セツナは一瞬目を閉じた。


「それがまた面白い。」


ミラは首を傾げた。


「はい、セツナ様。」


セツナは目を開けた。


彼女の視線は冷たかった。


計算高い。


「さあ、ここからが本番よ。」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

この物語が少しでも楽しんでいただけたなら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

皆様の応援が、次の執筆の力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 支配するのに派手さや分かりやすい凶刃、狂気などは不要……なんでしょうか。怒声や慢心抜きの圧と、周囲の重傷ぶりの表現が丁寧でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ