灰に覆われた村
夕暮れが迫るにつれ、道は変わり始めた。
かつては広々とした野原と広い小道だった場所が、次第に狭くなっていった。地面はでこぼこになり、古い車輪の跡や幾度もの足跡が刻まれていた。古びた木製の柵が現れ、中には歪んでいるものもあれば、急いで修理されたものもあった。
そして…煙。
火事の煙ではない。
日常の営みから立ち上る煙。
低い煙突から、灰色の空に向かって細い煙が立ち昇っていた。
セツナは小さな自然の丘に立ち止まった。
そこから村が見えた。
エルナール。
木造の家々が雑然と立ち並んでいる。
古びた屋根。
土の道。
中央に井戸。
おそらく礼拝堂か集会所として使われているであろう小さな建物。
そして、もっと重要なことに…
動きが感じられなかった。
活気のある村ではなかった。
それは…張り詰めた村だった。
「何が見える?」セツナは振り返らずに尋ねた。
ミラは一歩前に出て、少し横寄り、しかし少し後ろに下がった。
「人々は働いています…でも、あまり話していません、せつな様。」
せつなは軽く頷いた。
「続けて。」
ミラはさらに注意深く観察した。
「子供たちは家の近くにいて、開けた場所にはいません。」
「大人たちは動く前に周囲を見回しています…まるで許可を待っているかのようです。」
「動物の数が本来よりも少ないです。」
せつなは少し目を細めた。
「その通りです。」
最後の点が重要だった。
「説明しなさい。」
「家畜が豊富であれば、もっと自由に放し飼いにされているはずです。」とミラは答えた。「ここでは、家畜は…管理されているか、あるいは数を減らしているように見えます。」
沈黙。
風が周囲の乾いた草を揺らした。
「それはどういう意味ですか?」とせつなは尋ねた。
ミラはためらわなかった。
「誰かが資源を厳しく管理しているのです。」
「あるいは、自分たちのために一部を確保しているのかもね。」
刹那は鼻からそっとため息をついた。
「よかった。」
彼女はもう一度村を見渡した。
直接彼を見る必要はなかった。
「守護者」は既に支配権を握っていた。
「彼はどこにいるの?」と彼女は尋ねた。
ミラは村の中心部に近いが、中心部から少しずれた、他の建物より少し大きい建物を指差した。
「あちらです、刹那様。」
「一番大きな家ではないけれど…一番手入れが行き届いている。」
刹那は観察した。
強化された扉。
清潔な窓。
周囲には小さな空きスペースがある。
そうね。
控えめな支配力。
「ぴったりね」と彼女は呟いた。
ミラはしばらく視線を落とした。
「ガレスは高貴に見せる必要はありません、刹那様。」
「必要な存在に見せればいいのです。」
その言葉に刹那はかすかに微笑んだ。
「その通り。」
しばしの沈黙が流れた。
それから刹那は丘を下り始めた。
「旅人として入ろう。」
「はい、刹那様。」
「口数は少なく。」
「はい、刹那様。」
「すべてを観察するのだ。」
「はい、刹那様。」
「そして、もし恐怖を感じたら、私に知らせてくれ…声に出さない種類の恐怖を。」
ミラはきっぱりと答えた。
「承知いたしました、刹那様。」
二人は土の道を歩き、村の端にたどり着いた。
誰も挨拶をしなかった。
誰も呼び止めなかった。
しかし、幾度か視線が向けられた。
素早く。
ほんの少し。
そしてすぐに視線は逸らされた。
それは好奇心よりも厄介だった。
それは習慣だった。
セツナは自然に歩いていた。隠れることもなく、かといって押し付けがましいこともなかった。その足取りはしっかりとしていて、自信に満ちていた。まるでそこにいることを恐れていないかのようだった…しかし、同時に注目を求めているわけでもなかった。
ミラは黙って彼女の後をついて行った。
二人は柵を修理している男とすれ違った。
男は顔を上げた。
ほんの一瞬。
そして、必要以上に急いで作業に戻った。
セツナは静かに言った。
「恐怖。」
「はい、セツナ様」とミラは答えた。
二人は歩き続けた。
井戸から水を運んでいる女性がいた。二人を見ると、何か言いたげに一瞬ためらった。
しかし、何も言わなかった。
バケツをしっかりと握りしめた。
そして、去っていった。
セツナは立ち止まらなかった。
しかし、彼女はすべてを記憶していた。
すべてを。
すべての仕草を。
すべての沈黙を。
すべての機会を逃したことを。
「ただの他人への恐怖じゃないのね」と刹那は静かに言った。
「いいえ、刹那様」とミラは答えた。「話しているところを見られるのが怖いんです」
その言葉に刹那は少し歩みを緩めた。
そうか。
それは重要なことを確信させた。
ガレスはただ支配しているだけではなかった。
彼は彼らを見守っていた。
少なくとも、彼は皆にそう信じ込ませていた。
二人は村の中心部に着いた。
そこには井戸と木箱、そして古いテーブルが置かれた小さな広場があった。
そこでは、さらに張り詰めた空気が漂っていた。
二人の男が話していた…しかし、刹那とミラが近づくと、二人は黙り込んだ。
隠そうともしなかった。
ただ黙っていた。
刹那は井戸の前で立ち止まった。
彼女は井戸の水を見つめた。
それから彼女は、怪しまれないように聞こえる程度の普通の声で言った。
「宿はありますか?」
男の一人がためらった。
彼はもう一人の男を見た。
そして答えた。
「ああ…奥の方だ。」
彼女は気だるそうに指差した。
刹那は頷いた。
「ありがとうございます。」
男は何も答えなかった。
ミラは黙って様子を見ていた。
宿に向かって歩きながら、彼女は静かに言った。
「刹那様、彼らはあまり関わりたくないようです。」
「無理なのよ」と刹那は訂正した。
ミラは頭を下げた。
「はい、刹那様。」
彼らは古びた看板のある簡素な木造の建物に着いた。
中では、老女がテーブルを拭いていた。
彼女は二人を見ると顔を上げた。
一瞬、彼女は安堵したように見えた。
しかし、その安堵はすぐに消え去った。
「部屋ですか?」刹那は尋ねた。
「ええ…あります」と女性は答えた。「でも…」
彼女は言葉を止めた。
刹那…
イロ。
「でも?」
女は声を潜めた。
「あまり長居しないでね。」
沈黙。
ミラは動かなかった。
セツナも。
「どうして?」とセツナは尋ねた。
女はためらった。
ドアの方に目をやった。
そして答えた。
「ここは…見知らぬ人には向かない場所なの。」
セツナは数秒間、女の視線を見つめた。
それからテーブルに小銭を数枚置いた。
「一晩だけ。」
女は諦めたように頷いた。
「わかったわ。」
二人が部屋へ上がると、ミラは静かに言った。
「確認させてください、セツナ様。」
「ああ。」
セツナはドアを閉めた。
部屋は簡素だった。ベッド、テーブル、小さな窓。
彼女はバッグを置いた。
彼女は窓辺に行き、村の方を見た。
そこからガレスの家が見えた。
完璧だ。
「いいかい」と彼女は振り返らずに言った。
「はい、せつな様」
「今日は何もすることはない」
ミラは頷いた。
「観察よ」とせつなは続けた。「日課、動き、スケジュール」
「はい、せつな様」
せつなは窓枠に手を置いた。
「彼がいつ現れるのか知りたいの」「どんな動きをするのか」「誰が自ら彼に近づくのか…そして誰が近づかないのか」
ミラはきっぱりと答えた。
「私が調べます、せつな様」
せつなは一瞬目を閉じた。
彼女は彼の姿を見なくても、彼の存在を感じ取ることができた。
あの存在感。
あの支配力。
あの男。
彼女はかすかに微笑んだ。
「こっちの方が面白そうだ。」
ミラは黙って彼女を見つめていた。
「はい、セツナ様。」
セツナは目を開けた。
彼の視線は勇者の屋敷に注がれた。
「もう必要なくなったら、どれだけ持ちこたえられるか見てみよう。」
外では風が吹いていた。
村は静寂の中で、ざわめき続けていた。
まだ気づいていない…
彼らの「守護者」に向かって歩いてくる人物は、
助けを求めに来たのではないことを。
彼らは、彼を始末するために来たのだ。
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