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英雄を狩る少女  作者: ジャクロの精霊


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12/38

新たな名

二人が宿屋を出た時、都はまだ英雄の死の噂でざわめいていた。


朝はどんよりと曇り、湿っぽく、長い夜の後の冷え込みがまだ残っていた。露店商たちは店じまいを始めていた。数台の荷車がメインストリートをゆっくりと進んでいた。衛兵たちは前日よりも警戒を強めていたが、それでも全員を捜索するほどではなかった。


噂は広まり続けていた。


英雄が死んだ。


だからこそ、準備不足のまま街を離れるのは間違いだった。


主人公はいつものように落ち着いた様子で歩いていた。昨夜屋敷に入った女性の優雅なシルエットを隠す控えめなマントを羽織っていた。彼女の後ろを、セラフィーヌが静かに続いていた。姿勢はまっすぐで、足取りは正確。首元は暗い布で覆われ、ネックレスは隠れていた。


誰も二人に目を向けなかった。


今のところは。


「奥様」セラフィーヌは静かに言った。「まず何をしましょうか?」


主人公は歩みを緩めなかった。


「お金よ。」


「はい、奥様。」


二人は市場の比較的閑散とした一角へと入った。そこは、人々が中古品、古い道具、布地、安物のナイフ、そして盗品を、誰もが承知の上で、何の気兼ねもなく売買している場所だった。


そこは鉄、湿った革、煙、そして貧困の匂いが漂っていた。


主人公は、汚れた手と鋭い目を持つ両替商の前に立ち止まった。厚手の布で覆われた低いテーブルの上には、硬貨、指輪、小さなロケット、怪しげな宝石、そして価値の低い金属片が置かれていた。


主人公は指輪二つと短い鎖をテーブルの上に置いた。


派手なものではなかった。


しかし、裕福な人物のものであったに違いないほど、立派な品だった。


男は、隠しきれない貪欲さでそれらを見つめた。


「あなたのものとは違うようですね」と彼は言った。


「今は違います」と彼女は答えた。


両替商はかすかに笑みを浮かべた。


それ以上何も尋ねなかった。


彼女は、関わりたくない相手の口調を察知する術を知っていた。


彼は金属の重さを量り、数枚を確認し、わざと低い数字を口にした。


女は特に反論しなかった。


ただテーブルに指を2本置き、こう言った。


「倍額で」


男はくすくす笑った。


「とんでもない」


女は黙って彼を見つめた。


それ以上何も言わなかった。


ただそれだけだった。


数秒後、両替商の笑みが消えた。


その女の視線には、普通の客の視線とはかけ離れた何かがあった。それは露骨な脅しではなかった。もっと恐ろしいものだった。まるで、彼の指を2本折るか、喉を切り裂くか、どちらが割に合うかを考えているような、そんな感覚だった。


男は咳払いをした。


「ええと…もう少し交渉してみましょうか。」


女は動かなかった。


結局、彼女は納得のいく金額を手に入れた。


素晴らしいとは言えない。


でも、十分だ。


彼女は小銭の入った袋を受け取り、服の中にしまい込むと、礼も言わずに立ち去った。


セラフィーヌはすぐに彼女の後を追った。


「屋敷からのものですか、奥様?」


「ええ。」


「分かりました。」


二人は数ブロック歩き、安価な布地、染料、化粧品を売る店に着いた。高級店ではなかったが、目立たない店だった。代金さえ払えば、詮索されることはないような店だ。


主人公は、銅色の色合いが混ざった濃い色の染料、小さなナイフ、櫛、厚手の布地2枚、眉毛用の顔料の瓶、そして簡素な旅行服を買った。


それから彼女は、老朽化した銭湯の奥の部屋を数時間借りた。部屋は狭かった。浴槽、小さなテーブル、くすんだ鏡、そして椅子がかろうじて収まる程度だった。


もう十分だ。


主人公はドアを閉め、テーブルの上に物を置いた。


セラフィーヌは指示を待ってじっと立っていた。


「座りなさい。」


「はい、奥様。」


セラフィーヌはすぐに従い、鏡の前に座った。


鏡に映った彼女の姿は、いまだに以前の面影を色濃く残していた。明るい髪、繊細な顔立ち、巫女のような佇まい、首元を覆う布。紅の勇者のグループで彼女を知る者にとって、そこには昔のセラフィーヌの面影があまりにも多く残っていた。


主人公は彼女の後ろに立ち、静かに髪をほどき始めた。


セラフィーヌの長く明るい髪がゆっくりと肩に流れ落ちた。


主人公は光に照らされた髪の色を確かめた。


「目立ちすぎる。」


「はい、奥様。」


彼女は染料の瓶を開けた。


刺激的な匂いが部屋を満たした。


「今日から、あなたはヴァルドの傍らを歩いていた女性とは似ても似つかない存在になる。」


セラフィーヌは視線を少し落とした。


「はい、奥様。」


主人公は、まるで何度も経験しているかのように、自信に満ちた、軽やかな動きで、その混合液を髪に塗り始めた。根元から毛先まで、一本一本丁寧に塗り重ね、明るいブロンドの髪は、くすんだハイライトの入った栗色の髪へと変わっていった。


変化はゆっくりとしたものだった。


しかし、はっきりと見て取れた。


作業しながら、彼女は言った。


「あなたの顔はまだそれとわかるわ。」


「でも、髪のおかげで。」


「姿勢もね。」


「話し方も。」


「服装も。」


セラフィーヌは黙って耳を傾けていた。


主人公は一箇所を塗り終えると、次の箇所へと移った。


「それから、あなたはもう自分の名前を使わないわ。」



セラフィーヌは驚きの反応を示さなかった。


彼女はただこう尋ねた。


「何?」

奥様、私にどんな名前をつけてくださるのですか?


主人公は数秒間沈黙し、髪の毛を一本覆い終えた。


そして彼女は答えた。


「ミラ」


セラフィーヌは曇った鏡を見上げた。


そこに映る女性は、もはや以前の彼女とは似ても似つかない姿だった。


かつての神聖な透明感は薄れつつあった。新しい色調は彼女の顔の輪郭をわずかに硬くし、彼女から純真さを奪い、人前での輝きを奪い、人混みに紛れやすくした。


主人公は彼女の後ろから声をかけた。


「今日から、あなたはミラだ」


セラフィーヌはためらうことなく繰り返した。


「はい、奥様。私の名前はミラです」


主人公は作業を続けた。


「もう一度言ってみなさい」


「私の名前はミラです」


「セラフィーヌとは誰だ?」


答えは明白だった。


「もう使ってはいけない名前です、奥様」


「それで、あなたは今、誰なの?」


「ミラです。あなたの奴隷。あなたの助手。」


主人公はかすかに頷いた。


「よし。」


首輪は確かに服従を促した。


しかし、服従だけでは十分ではなかった。


命令を下さなければならなかった。


明確に。


形作らなければならなかった。


染料を塗り終えると、彼女は規定の時間待ち、浴槽の水で洗い流し始めた。水は最初は濃い色だったが、次第に薄くなり、結果が明らかになった。深く、落ち着いた、平凡な、ごくありふれた茶色だった。


主人公は布で髪を拭き、小さなナイフを手に取った。


「セラフィーヌ――今はミラ――」彼女は動かなかった。


主人公は脇に立ち、髪の毛を一本取った。


「そんなに長くつけておく必要はない。」



力強いカットで、彼女は髪を肩より下にまで短くした。より実用的で、気品は薄れ、印象も薄れた。


髪の毛が一本ずつ床に落ちていった。


終わった時、変化は十分だった。


完全な変化ではなかった。


しかし、十分だった。


鏡の中の女性は、もはや英雄たちの集団に属する有名な巫女には見えなかった。


控えめな助手のように見えた。


容易に忘れ去られるような顔だった。


主人公は結果を見てから、顔料を取った。眉毛をほんの少し濃くし、形をわずかに変え、以前は目立っていた繊細な印象を和らげた。


それから、彼女はよりシンプルな服を手渡した。


「着替えなさい。」


「はい、奥様。」


セラフィーヌは、無意味な恥じらいもなく従った。彼女は以前の地位を象徴する華美な衣服を脱ぎ捨て、控えめな旅装に着替えた。襟元が閉じたブラウス、しっかりとしたスカート、シンプルなケープ、そしてネックレスを隠すためのハイネックのトップス。


変身は完了した。


主人公は彼女の向かいに座った。


さあ、ここからが重要な部分だ。


プログラミングだ。


複雑な魔法ではない。


芝居がかった呪文でもない。


ルールのようなものだ。


繰り返し、適切に指示することで、強制的な服従を有用な機能へと変える命令だ。


「よく聞きなさい。」


ミラは即座に跪いた。


「はい、ご主人様。」


主人公は彼女の視線を受け止めた。


「あなたの名前はミラね。」


「はい、ご主人様。私の名前はミラです。」


「私が命じない限り、セラフィーヌとして応答してはならない。」


「はい、ご主人様。」


「私が許可しない限り、紅の勇者や彼との関係について口にしてはならない。」


「はい、ご主人様。」


「見知らぬ人の前では、私の旅の助手だと名乗りなさい。」


「言葉は少なく。」


「絶対的な敬意を払いなさい。」


「余計な話はするな。」


「はい、ご主人様。」


主人公は続けた。


「誰かがあなたの首に触れたら、後ずさりしなさい。」


「誰かがしつこく質問してきたら、答える前に私を見なさい。」


「誰かがあなたを私から引き離そうとしたら、冷静に拒否し、私の命令を待ちなさい。」


「はい、ご主人様。」


「私の命令がある時だけ、魔法を使いなさい。」


「許可なく他者を癒してはなりません。」


「誰にも祝福を与えてはなりません。」


「知っていることを決して漏らしてはなりません。」


「はい、ご主人様。」


主人公はしばらく沈黙し、それぞれの命令に対する彼女の反応を吟味した。



完璧だ。




ひび割れもない。




目立った抵抗もない。



繰り返す必要はない。


そして、彼女はさらに深く問い詰めた。


「では、あなたの義務は何ですか?」


ミラはまるで既に暗記しているかのように答えた。


「彼女に仕えること。」


「彼女に従うこと。」


「彼女に従うこと。」


「命令されたら彼女を癒すこと。」


「危険を知らせること。」


「彼女が他の勇者たちに近づくのを助けること。」


「私の過去の正体を隠すこと。」


「必要であれば沈黙を守ること。」


主人公は頷いた。


「もう一つ。」


ミラは待った。


主人公の声は冷たく、正確だった。


「学ぶこと。」


ミラは頭を下げた。


「はい、ご主人様。学びます。」


「観察力を磨くこと。」


「弱点を見抜くこと。」


「本当の恐怖と偽りの恐怖を見分けること。」


「権力者が誰も自分に手出しできないと信じている時を見抜くこと。」


「はい、ご主人様。」


主人公は立ち上がった。


「よろしい。」


ミラは跪いたままだった。


「ご主人様、私の任務は正しく果たせましたでしょうか?」


主人公は数秒間、彼女を観察した。



新しい髪。


新しい服。


新しい名前。


新しい役割。


彼女はもはや、英雄の傍らを歩んだ巫女の面影はなかった。


今や彼女は、まさにそのようにあるべき姿になっていた。


従順で控えめな助手。


頼りになる影。


「ええ」と彼女はついに言った。「あなたは任務を立派に果たしました。」


ミラは完璧な服従の態度で頭を下げた。


「ありがとうございます、奥様。」


主人公は残りのコインを集め、必要な道具を片付け、切り落とした髪の毛と染めた水をそのままにしておいた。そこから何かを元に戻せる者は誰もいないと分かっていたからだ。


それから彼女は扉に向かった。


「1時間後に出発します。」


「その前に食事を…」

この章を読んでいただき、本当にありがとうございます。


セラフィーヌのアイデンティティの変化、ミラとしての新しい生活、そして次の目標に向けた準備を楽しんでいただけたなら、ぜひお気に入りに追加したり、評価を付けたり、コメントを残していただけると大変励みになります。


短いレビューでも、執筆を続けるための大きな励みになります。


この物語を応援してくださり、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
 おっかないけど、贅と酒と下劣な体液に濡れた指輪の腐敗払拭になりそうな物々交換の後は、セラフィーヌさん改めミラさんの変装タイムですか。 前準備でも妥協などをあまりしないんですね。
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