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episode7.図書館と思い出

ようこそ!えけて。と申します!

初めての小説なので、温かい心で楽しんでいってください!


パン屋からすぐの位置に図書館の大きな扉へと繋がる階段がある。

いつもかっこいいと思っていたが、なんの建物かもわからないし、何かと一緒に書くことで満足していたまでもあったが、

図書館だと聞いて、また昨日お世話になったユーストマがいる場所だと分かり行っても安全だと思った。


興味があるものを描きたいと思ってしまうケットは、図書館の入り口に来てみたがデカすぎて圧倒されていた。

そして全体が描けない。どこから描こうか悩んでいた。


パン屋からみた景色も綺麗だったし、昨日のユーストマの家から見たのもよかった。

ここの建物が見える場所はたくさんあった。

よくよく考えてみるとケットは意外にも図書館の絵を描いていることを知った。

ならいっそのこと外観ではなく中がいいかもしれないと思い、

図書館の扉を開けた。


「お邪魔しまーす」


中に入ると、巨大な本棚と沢山の本

入り口付近にはテーブルなど子供用のスペース、

その奥に受付がありそれらを囲むようにたくさんの本が並べられていた。

上は天井などではなく空のようになっていた。

本が浮いていたり、光の蝶が飛び交っていた。


「す、すげぇ…きれい…」


ケットは初めての光景にワクワクしていた。

早く描きたい気持ちを抑え

周りをぐるりを見渡していると、受付のお姉さんと目が合った。


利用方法も絵を描いていいのかも何もかもわからないため聞いた方が早いと思い受付へと足を向けた。


「こんにちわ、スヴィエーツェ王都図書館、ルナバスティオン大図書館へようこそ」


「こんにちわ!名前までかっこいい…!」


興奮が抑えられず少し大きな声を出してしまった。


「ここではお静かに」


ね?と優しく笑ったお姉さんに注意をされた。

図書館とはそういう場所なのか…と少し耳と尻尾を下げた。


「もふもふだ…さわりたい…」

お姉さんが小声で囁いた。


「ん?何か言った?」


ケットは絵を描いていいのかなど、利用方法がわからないなど、色々と考えていて聞こえていなかった。


「なんでもないですよ

それより本日は何かお探しですか?」


「いや、本をってよりここの中の絵を描いてもいいか聞きたくて…」


静かに、静かにするぞ、と自分と闘いながら聞きたいことを言えた。


「絵…ですか…?」


「ダメ…?」


とケットは耳をぺちゃんこに下げ、上目遣いで聞いた。そう。捨てられた子犬のように。


「うぅ、一度確認してみますね」


受付のお姉さんは誰かに確認をしてくれるために、電話を手にとった。


相手はすぐにつながり確認をしてくれている


「司書様、確認でご連絡なんですが————

はい、え?はい、青い狐の子ですが…」


色んなところを見渡している間に電話は終わっており


「上の人が来るからちょっと待っててね」


と伝えられ、ケットは図書館の中をもう何回見渡したかわからないほど図書館中を見回した。


すると、少し経ってから小走りで見覚えのある人がやってきた。


「あ、ユーストマ!!」


「……やはり貴方でしたか…」


図書館ではお静かにと再度言われ

ケットは慌てて口を押さえた。


ユーストマはお姉さんと少し話したあとこちらに向いて


「絵を描くのは構いませんが、人の邪魔にならない入り口付近のみの絵です。」


ここには外へ持ち出し不可な情報など、特に奥のエリアにはあるのでと教えてくれた。

ケットも入り口から見た風景が描きたいと思っていたので問題なかった。


「それと静かに、ですよ?」


「わかってる!

できたらユーストマに一番に見せるな!」


とニカっと笑いながらスキップをしながら、狙っていた場所についた。


扉開けてすぐだと人を驚かせてしまうと思い、入ってすぐではあるものの、角の誰も周りにいないテーブルを使わせてもらおうと決めた。


それを見守ったユーストマは自分の仕事に

戻る際、受付の人へ

「たまに私も様子を見にきますが、何かあればすぐ教えてください」

といい、戻っていった。


汚さぬ様にシートを引き

新しく買った木炭で線を描き、

直してもらった愛用の筆で上に色を重ねていった。

ケットの場合は線はある程度描いてあとはすぐに色をのせ、細かく書き足したい場合にまた上からと好きに描いている。


描きたいように描くため、そこまで完成に時間は掛からなかった。

その様子を見にきたユーストマに気付き、ケットはちょいちょいと、手をこまねいた。


隣の席をポンと叩き、隣座ってと伝えた。


「……すごいですね…もうここまでかけているんですね…」


「この場所スッゲェ綺麗だから筆がよく走るんだ」


「……そうですか…」


ユーストマは絵から少し目を逸らした。



「ここにいる、光ってる蝶?すごい綺麗だな」


ガタッ


ユーストマは勢いよく席を立った。

ケットはびっくりしたユーストマをみると目を見開き驚いた表情でケットを見ていた。


沈黙が続き、落ち着いたのか他のお客さんに一例をし席についた。


「……それらは描いてはいけません」


そうして、ユーストマはそれだけを口にした。


「わかった」


ケットは素直に頷いた。

綺麗だったから、描きたかった、ただ聞きたかった。

だけど自分はしっちゃいけないものなのだと飲み込んだ。


その後もケットは絵を描き進めていたが、ユーストマとは一言も話さなかった。


「できた…すごい。楽しかった…」


みてみて、とユーストマに報告した。

ユーストマは完成までケットと一緒におり、すぐにみることができた。


「すごいですね…やはり貴方の絵は———」


ユーストマとケットは絵をみて話せた。


「これダメなもの描いてない?他の人に見せても大丈夫?」


「はい、大丈夫ですよ」


それを聞きケットは絵を持ちずかずかと歩いていった。

ユーストマはそれを不思議そうに眺めていた。




「おばあちゃん、みて?ここの絵!完成したよ!」


ケットは図書館にきていたある1人の御婦人へ話しかけた。

話しかけられた御婦人は驚いていた。


それをみたユーストマは慌てて駆け寄った


「急に申し訳ございません

ケットも急に話しかけてはなりませんよ」


「だって、おばあちゃんずっとみてたから…気になるのかなって」

 

と少し拗ねた様子でケットは答えた。


「司書さん謝らなくていいのよ、見ていたのは本当なの」


楽しそうだったから気になってしまってね、と答えた。


「よくここを利用させてもらってるけど、珍しく司書さんが誰かといたものだから…

しかも絵を描いていたからね、気分を悪くさせたらごめんなさいね」


「そんなことないよ!終わったら話しかけに行こーって思ってたし!悪くなるわけないじゃん!」

とケットは笑った。


「てかお前基本ここでも1人なんだ」


「うるさいですよ」


御婦人はそのやりとりを見てくすくすと静かに笑った。


「どったの?なんか面白いことあった?」


「ちょっとね、昔を思い出していたのよ」


御婦人は続けた

昔ここで働いていた人に好意をもっており、よく図書館へようもないのに通ったこと、それは叶わぬ恋で、今はもういないし

自分は別の人と今は幸せに暮らしている。

今はやる事もないし、習慣が抜けないため、気晴らしに通っていることを教えてくれた。


「へぇ〜、すごいいいな

ここが思い出の場所なんだな」


「そうなの、だからとっても好きな場所なのよ

相手はそうじゃなかったかもしれないけど」


ユーストマは2人の会話を黙って聞いていた。

自分には思い当たる人がいるからだった。

そしてその理由も。

自分も好きになれない理由を。


「たとえ嫌な場所でも、誰といるかとか、どんな思い出があるかによって変わるって!

過ごし方次第だし、おばあちゃんがいてくれなかったらもっとその人は嫌な思いしたかもしんないし!大丈夫だよ」


だからそんなこと言わんで?とケットは伝えた。


「あら、ありがとうね」


ここの場所すごいよね!楽しいとケットは御婦人の思い出話をきき、絵のことを話したりしていた。


「私たちもよく、さっき貴方たちが使ってた席で2人で話していたのよ。

この絵と同じ景色を2人で眺めていたの、本当にいい絵ね…」


懐かしいものを見るような表情。

楽しそうな声。絵から視線を離さない綺麗な瞳。

本当に好きなんだなとケットは微笑ましくなった。


「ならこの絵いる?」


あげるよとケットはいう。

それまで黙って少し俯いていたユーストマは驚いた。


「あらいいの?けど、何かの目的で書いていたんじゃないの?」


「描きたいから書いた!その景色に思い出がある人に渡った方が絵も喜ぶよ」


「ならお言葉に甘えようかしら」


「むしろもらってもらって〜」


と2人は笑い合っていた。

御婦人は鞄へと手を伸ばし、


「お代だけはもらってちょうだい」


「素敵な思い出話もらったよ?」


十分もらったよと伝えるも納得してもらえず、

そのまま金貨をもらってしまった。

多くもらってしまったためケットはこんなにもらえないと伝えるも


「この絵はね、私の思い出なの

だからこれでも安いのよ」


言いくるめられてしまって

ケットはそのままいただくことにした。


「ありがとう」




御婦人は今日は絵を持って帰ることもありいつもより早めに図書館を出るとのことで、

家まで運ぶとかってでるが、近いからと断られたため、図書館の出入り口まで一緒に歩いてお別れをした。


姿が見えなくなった頃


「貴方はいつもああして、誰にでも絵を渡しているのですか?」


ユーストマはずっと疑問に思っていたことを聞いた。


「言ったろ?俺は描きたいだけ。

気に入ってくれた人に見てもらえる方が絵も幸せだって」


「……そうでしたね」


ユーストマも欲しかった?と聞いてきながら

けどこれはもらいすぎだよなぁ、と困っていたケットをみて、

ユーストマは少しだけ目を伏せた。


自由を体現しているような彼が

ユーストマは少し眩しく羨ましく見えた。








————————————


どこかの小さな町の喫茶店

建物は小さく、大きなガラスで中が見えるようになって日差しも良く入る場所。

奥にはたくさんの本が並んでいた。


そこに入っていく老夫婦。


「いっらしゃ…あぁ、またきたんか」

店主は嬉しそうに笑った。


「どうも、今日はね見せたいものがあったのよ」


御婦人はそういい空いてる席に座った。

ここは町外れであり、普段からお客は少ないが昼を過ぎた時間のこともあり、今は老夫婦と店主のみであった。


「珈琲を2つお願いしますね」


老紳士は妻の分と自分の分を注文した。


珈琲ができ、店主が持ってくると

テーブルには一枚の絵があった。


「これは…」

店主は驚いた。


「すごいでしょう?

この前ね出会った子がこれを描いていて譲ってもらったの」


「貴方と良く話したあの席で今の司書さんと一緒に座って描いていたの」


「こりゃまた…懐かしいな」


店主は嬉しそう顔をしてはいるが、少し不安そうな声だった。


「貴方は嫌な思い出かもしれないって思ったけど、その画家の子に言われたの。

私がいたからきっと退屈じゃなかったって

だから見せたくなったのよ」


「そうだな…まぁ、嫌な場所ってだけじゃなかったわ」


それを聞いていた老紳士はにこにことしながら一緒に絵を見ていた。

妻の元思い他人と知っているが

楽しそうにしている妻が一番好きなため自分まで幸せになる

また、店主の性格も気に入っているためこの2人の空間も好きだった。


「この画家さんはあったかい人なんだろうね…

だけどちょっとお茶目なんだね」


老紳士は絵を見ながらほら、と指を刺した。


その先には受付のところに青い狐の少年が筆を持ってバンザイをしている姿が描かれていた。


「ふふふ、そうなの。

自分で描いてるのに自分をそこに描いちゃうんだもの。私も本人に言ったらなんで言ったと思う?」


「“自分も受付で仕事してみたい”って言ってたのよ?」


御婦人は思い出しながらくすくすと笑っていた。


「お茶目というか馬鹿だろそいつ…」


店主は苦笑いをしながら


「けど、そんな奴があいつのそばにいてくれるんだったらいいな」


「大丈夫、きっと貴方でいう私みたいに

今の司書さんには画家さんが側にいるわ」


女の勘よと伝えられる。

この絵は持って帰るわと言われ

くれるんじゃないのかよなどと軽口を言い合った。


今は息子に引き継いだパン屋の壁に

たくさんの本とたくさんの人が描かれた図書館の絵が飾ってある。

お読み頂きありがとうございます!

更新も頑張っていきますので、よければ次も読んでいただけると嬉しいです

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