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episode3.出会いはパン屋から

ようこそ!

初めての小説なので、温かい心で楽しんでいってください!



お店の閉店時間ギリギリで、見知った風景の場所に出ることができ、ようやくお店が見えた。


行きつけのパン屋は王都の奥の方にあり、大きな建物の近くにあるためケットは早足でとりあえず大きな建物を目指した。


スヴィエーツェの中でも王都でも指折りの大きな建物の近くに、お気に入りのパン屋がある。

ここは値段も安く大きく美味しい。

だが、少し出入り口から外れているのもあり、知る人ぞ知る場所で落ち着ける場所でもあった。


「やっと…やっとあった…!!」


お腹もぺこぺこ、この大きな街を歩き回りもうへとへとであるケットは

体をゆらゆらしながらお店の前までやってきた。


「この時間パン残ってるかなぁ…」


閉店もうわずかな時間の中そんなことを考えていたケットだが、


「り、りんじきゅうぎょう…??え?おやすみってこと?

えぇぇぇぇぇ!!!」

「ここまで来た意味ぃぃぃ!!」


本日はおやすみであった。


「むりだよぉ、おなかすいたよー」


アメトリンのせいだーー、と言い

ケットはお店の前で寝そべり手足をバタバタさせながら嘆いていた。


この近くは居酒屋などカフェなどレストランというのがあまりなく、レストランは確か高いやつがある、けどあまり好きじゃないなど、色々と考えた結果


「もう、お腹減りすぎて動けない…」

「………絵を描こう…」


絵を描くことにしたケットは

パン屋をメインにこの場所の絵を描くことにした。


「…こういう時は描けば忘れる!」






—————————


「ん〜?……いい匂い…」


なにやらバターと野菜の甘い香りが混じったいい匂いやパンが焼ける匂い。


そして目の前に広がるのは見知らぬ誰かの家。

ケットは眠っていたらしい。


「起きましたか。」


「おはよ!いい匂いにつられて起きた!」


さっきまで行きつけのパン屋にいたはずだが、今はソファの上。

整理整頓されていて、あまり物がない部屋だった。

黄緑の長い髪を下ろし、ワイシャツにズボンのラフな格好をしたメガネの男性がそこにいた。


「おはようございます

元気そうですね、食べれそうですか?」


「いいの!!??」


ご好意に甘えることにしたケットはお腹も空いていたこともあり、出されたシチューとパンとサラダを食べた。


「このパン!!ランドンおじさんのパン屋のだ!」


ランドンおじさんのパン屋とは今日行けなかったお気に入りのパン屋のことである。


「よく分かりましたね…

私はユーストマ・クレイスです。

ここは私の家で倒れていて心配だったので連れてきました」


少し驚いた顔をしたあと

自己紹介が遅れましたと、言ってくれた彼はどうやら空腹や、疲れで眠っていたケットを助けてくれたらしい。


「俺ケット、よろしく!あ、お前の飯うまい!」

「連れてきてご飯もくれてありがとう!お前いいやつ!」


ケットも自己紹介をした。

ユーストマは苦笑いをしながら冷めないうちに食べきっちゃってくださいと、ご飯を勧めた。




「ご馳走様でした!」


「お粗末さまです」


お腹いっぱいと、再びお礼をいい、食器を片付けるためどこに置けばいいか尋ねるも、自分がやるのでとやんわりと断られた。


そして、やってもらってしまっている間になにか忘れていることがあると頭を捻った。


(なんか忘れてる…んだよなぁ…)

 

「あ!!!俺の絵!パン屋の絵!まだ描き終えてなかったんだ!!」


思い出したかの様に叫び

ユーストマは急な大きな声にびっくりし、肩が揺れた。

ケットは自分がさっきまで何をしていたかを思い出し、まだ完成していない絵の心配をし始めた。


「あれはやはり、貴方の絵なのですね」


ユーストマは洗い物をしていた手を止め、ケットの未完成の絵を持ってきてくれた。






———————————————


時は遡り

ユーストマは仕事終わり、いつもの道で帰ろうとしていた。

家にパンが残っていたからシチューにしよう、食材はまだあるはず、と今日のご飯のことを考えながら帰路についた。


いつもの仕事、いつもの時間、いつもの道。

当たり前の世界に今日は一つだけ違うことがあった。


「これは…」


そこには絵が落ちていた。

未完成でありながら、何を書いていたのかがよくわかる。

自分がよく買いに行くパン屋と自分が働いている場所。

そこの近くには噴水が描かれているが、よくわからないのが、空からパンが降ってきているかのような絵。


見ていると自然と笑顔になれる様なおかしな絵。


(…独創的な絵ですね、落とし主が探しやすいよう目立つ場所にでも置いておきましょうか)


ユーストマはキョロキョロと周りを見渡しているとそこには、筆を持ったまま蹲る様に寝ているふわふわとした人がいた。

筆を持っているということはおそらくこの人が描いたのだろうと思いながら、落とし物だと思っていたものはなぜ絵と人物が少し離れたところにあっただけだった。


「あの、すみません」

「ここで寝ると危ないですよ」

「あの〜?おきてください」


こんな道端で寝ていたら流石に危ないと思い起こそうと声をかけるが起きる気配がしない。


「どうしましょう…か…」


(放っておくべきか…)


手に持ってしまった絵、一度は声をかけた彼。

このまま放っておくこともできず、もし危ない人物であっても自分で対処ができると思い、連れ帰ることにした。

もちろん、悪いとは思いながらカバンの中や服などに危険物を仕込んでいないかは確認した。


そして今に至る。




ケットは軽くことの経緯を聞き、お礼を言った。

返してもらった絵を見ながら


「明日完成まで描いてくる!」


ケットは笑顔で伝えた。


「そうですか、頑張ってくださいね

それはそうとそろそろ帰ったほうがいいんじゃないですか?」


もう時間も遅いですよと教えてくれた。


「あっ!寝てたから時間感覚狂ってた!助けてくれてありがとう!」


お礼の品を渡そうとカバンを漁りながら


「あ、ねぇねぇ、ここら辺ってどっか宿あったりする?」


「えっ、」


危機感が無いため、この街に住んでいるのだろうと勝手に思っていたが、旅人だったことに驚いた。


「??」


何かおかしな事を言ったか?と言わんばかりの顔と不思議そうに首を傾げている目の前の彼を見ながら

ユーストマは咳払いをした。


「失礼しました、

この辺りは宿などあまりないですよ?」


あっても貴族が使うような高い場所ばかりですと教えてくれた。

ユーストマの家は図書館のすぐ近くであり、冒険者や旅人が来る場所でもないため宿が高く少ないのだった。


「そっか!ありがとう!」

(値段は別にいいけど…貴族かぁ)

「野宿…はだめだな、よし!入り口近くまで歩いてみる!」


飯食ったし寝たから元気!と言う。

ケットは前に来た時宿まで行くのがめんどくさくなり野宿をしたところ騎士の人にこっぴどく怒られたことがあった。

盗人もいる、場所によってはスラムもある、しかも珍しい種類の獣人ときた。

その人物も獣人の騎士だったため心配で言ってくれたが怒って聞こえてしまうくらいには大きな声で言われた。


「お世話になりました!ありがとう!」


本当は何かあげれたら良かったんだけどな〜、

ブローチいる?この場合金貨の方がいいのか?と呑気に言う。

衝撃を受けており、

物をくれようとしているケットの話はあまり聞いていなかった

ユーストマは一度視線を落とし、

少しだけ考えたあと――


「あ、の…よければ泊まってください」


ユーストマは優しかった。

この遅くに追い出すことは気が引けたのであった。

それにここまで人を疑わずに純粋な人を見るのが初めてに近かったため、放って置けなかった。


「えっ!?」


「またソファで良ければ、ですが」


「全然!本当にいいの?大丈夫?」


ケットは優しすぎる青年に本当に大丈夫かと確認したが、大丈夫じゃなければ言ってないと言われ素直に好意に甘えることにした。


「ありがとう!やっぱりお前いいやつ!」


ケットは尻尾をゆったりふっていた。


「お先にお風呂入ってきてください」


「お風呂まで!わーい!」


ケットは飛び跳ねた。

お風呂を案内してもらい、久々のお風呂ろ〜おっふろおっふおっふっろ〜と変な歌を歌いながらお風呂に入って行った。


ユーストマはその間にケットが着れそうな服を用意し、お風呂上がりに飲めるように飲み物を用意した。


「でたー!服ありがとー」


ケットは思ったより早くお風呂を出てきており、用意した服は少し小さい様だった。


「私も入ってくるので、先に寝ていても構いません」

「よければこちらもお飲みください」


そういいユーストマはお風呂に行った。

その間ケットは寝るにはまだ眠くなく、

部屋を見渡していた。

見れば見るほど部屋にものはなく言ってはあれだがつまらない部屋だった。


どうやら一軒家の様だ。窓からは小さな庭と大きな建物や、街並みが見える。窓に面してソファがあり、観賞植物。

キッチンには一人暮らし用の食品倉庫に2人掛けのダイニングテーブル。

普通の一人暮らしの部屋だった。

だけどなんか寂しいなと思った。


ぼーっと見渡していたらユーストマが帰ってきていた。


「寝ていなかったんですか?」


「なぁ、」


「なんですか?」


「いや、なんもない!なぁなぁ!少し話そ!」


その後、ケットは自分が絵描きで旅をしていることを話した。

今日パン屋に行きたかった話や、ここにくる前に体験した話。

それをユーストマは優しい顔で聞いていた。

ケットという人物は自分が思った通りでわかりやすい人なんだとクスクス笑っていた。


「お前は何やってる人?」

ケットは自分の話を一通り話し終えた後相手のことを聞いた。

ユーストマは少し間をあけ、


「……図書館で司書をしています」


「え!図書館!?すげぇじゃん!!」


ケットは図書館なんて行ったこともなければあまり見たこともないので興奮していた。

ユーストマもその答えに笑っていた。


「そろそろ、寝ましょうか

明日もその図書館での仕事なので」


わかったと答えるケット。

電気を消し寝室へと消えたユーストマを見ながらケットは自分も寝ようと、この居心地がいい空間で夢の中へと旅立った。

お読み頂きありがとうございます!

更新も頑張っていきますのでよければまた読んでいただけると嬉しいです

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