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episode2.ヴォルバス商会で

ようこそ!

初めての小説なので温かい心でお楽しみください



すこし森を歩きながら買ったり、貰ったりしたパンを齧りながら森を歩いた。

2つのパンを食べ終える頃には目的地であった王都への一本道に辿り着き、王都の入り口が見えてきた。


「わぁ、あの街から意外と近いんだ…」


「歩いても1日で着くなんて、もっと早くあの街に行けば良かったや」

 

いつもこの王都に来る時は別の入り口から来るため

初めての景色であった。

本人には知る由もないが精霊樹に見送られた際王都の近くに出ていたためそんなにかからずに王都に着くことができた。


「王都は久々だなぁ〜じぃちゃん元気かな」


今回は知人に会うためと、買い出しのために王都に来たのだった。

初めて見る入り口と久しぶりに来る王都。

精霊樹や妖精と出会えたこと、今のケットはすごくご機嫌だった。




『ルホロ4世が収めるビエルーツェ国の中心

王都、スヴィエーツェへようこそ』


入り口には機械のしゃべる二足歩行の猫がいた。

特に門番などがいるわけでもなく、

この王都は誰でも入れるようになっており

ここは誰が収める街かを伝えるために置かれているのだろう。


「ふぇ、珍しい!機械の街の技術か!初めてみた」


ケットは物珍しそうにその機械の周りのうろちょろしながら座って目線を合わせて観察をしていた。

王都に出入りする人は多くいるため、その様子を気に留めない者もいれば、くすくすと笑っている者もいるが、ケットは何も気にしなかった。


「すげぇ〜、服着てる…猫?獣人族?すげー、作者誰なんだろ…絵描こ」


ケットは人の邪魔にならない隅へと移動してスケッチをし始めた。

人が多い場所なため本格的に描くのではなく、手で紙を持ちながら色がない線だけの絵を描いた。


集中して描いているため、人が様子を伺い見ていることにも気づかなかった。

少したちもうそろそろ描き終えるころ


「おー、すげーいいじゃん

色も欲しくなる所だけど線だけだと機械の細かさが映えるな」


「そーなんだよね〜!色もいいけど線だけのも好きなんだよ…えっ!!??」


誰かに話しかけられ、肩を組まれた。

近い距離に人がいることも驚いたが、その人の声と顔に見覚えがありすぎて冷や汗がでた。


そこには金色の髪が肩にかかるくらいで、頭には派手なバンダナをして髪を少しあげている紫の瞳に吊り目のラフな格好をしたチャラそうな青年が笑ってたっていた。


「アアアァ、アメトリン…!ヒサシブリダナ!」


逃げたくなり後退りしながら挨拶を返した。

急に声をかけられたことや、あまりいい思い出がないため、

知人が所属している商会ギルドに会いたくなかったのだ。


「珍しい青が見えたから来てやったぜ」


「ウン、アリガトー

オレもう絵も完成したし用事あるからもういくね!!会えてよかったよ!バイバイ!!」


「おいおい、そりゃないぜ?せっかく来てやったんだから少し話そうぜ?」


ケットは急いでカバンへ紙と描く道具をしまい逃げようとしたが

アメトリンはケットの肩に回していた手を逃さないようにさらに強い力で拘束していた。


「別に取って食おうなんて思ってないし、毛を取ろうなんて今は思ってないしよ」


「いやいや!俺は忘れてねぇーからな!丸刈りにしようとしたこともそうだけど!俺を囮にしやがったときのことも!あん時俺丸焼きにされかけたんだからな!全部忘れてやんねーから!」


「あー、あれだ、まぁ、時効だ時効」

「それより早くいこーぜ」


「く、首、首絞まってる…!」


肩を組みながらそのまま引っ張るようにして連れて行かれたケットであった。


入り口に入ると大きな整備された石の通路を挟むようにしていろんなお店などが連なっていた。

ここが王都のメインストリートで基本なんでも揃うところである。


「あぁ、俺のパン屋がぁ、画材屋がぁ…!」


ケットは王都にある、品揃えのいい画材屋で絵の具などを新調したかったのであった。





———————————————


途中逃げないのでと手を離して欲しいと頼むと、難なく解放された。アメトリンはポッケへと手をしまい前を歩いた。

慣れたくはないが、よくあることなのでそのままケットも後に続いた。


「今回は王都に仕事?それとも拠点ごと?」


「拠点ごとだ、こっちで大きな商談があったからな」


しばらくは此処にいる予定だと教えてくれた。

アメトリンは所属している商談ギルドの技術者をしており基本外への仕事はないが、たまに駆り出されている。

またそのギルドはいくつも拠点を持っており商談相手に合わせて転々としているため、こうして会うのは珍しい方だった。


「そーえば、なんであそこにいたの?用事あったんじゃないの?」


「あー、入り口近くの酒場のねーちゃんに振られて暇してたらお前見えたから暇つぶしに」


特に用事はなかったぞ、と言う彼は女の人によく絡みに行っては振られているのを知っているためそれ以上は聞かなかった。


そのままたわいもない話をしながら進み、

メインストリートとは違い少し暗い路地にはいり、

細い路地の奥に、小さな看板がぶら下がっていた。

そこには“deep sea”と書いてあった。


「よーこそ、ヴォルバス商会のねぐらへ」


アメトリンはイタズラな笑みを浮かべながらケットを引き入れた。

そこは普通のバーであった。

中には大きな水槽があり、少し薄暗く大人の雰囲気の店であったが、まだ昼間ということもありお客はいなかった。


「アメトリンお帰りなさい」


そう言い迎え入れてくれたのは、

白くさらさらの髪に、中性的な顔立ち。

片目にはモノクルをかけており、その奥の瞳はオーロラのような不思議な虹彩をしていた。

燕尾服を着たエルフのバーテンダーだった。

今は客もいないためグラスを拭いたり掃除などをしていた。


「おー帰った。後にケットもいる」


「お、お久しぶりデス…」


入り口が狭くケットはアメトリンの後ろにいたがぐっと引っ張られバーテンダーと目が合う位置に出された。


「おやおや、これはまた珍しいモノを…今は誰もいないのでくつろいで行ってくださいね」


目が笑っていないのであった。

獲物を見つけたような目に笑みだけを貼り付けられ、それをみたケットは身震いをした。

今度こと命がないのではないか、また無茶なことを頼まれるのか、それとも珍しいモノの情報だけで済むのか、自身の身の案じていた。


「シィニ、ボスは?」


「ヴォルバス様ならお客様の対応ですよ

予定をお伝えしたはずですが…?」


シィニというバーテンダーは笑顔なはずなのになぜだか目が笑っておらずアメトリンをじっと見つめた。

笑っているはずなのに圧を感じ、アメトリンは冷や汗をかいていた。


「ま、まだそんな時間か〜

ケット見つけたから連れてきたけど、もうちょい待ちだな」


「見つけたら連れてくるのいい加減やめればいいものの…」

そーだそーだ!と心の中では思いつつ口に出せないケットだが


「まぁ、ヴォルバス様にも利益があるのでいいのですが」

 

ケットは裏切られた気分だった。利益とはなんだ利益とはとも思った。

いつもの事か、と流すことにした。


「なぁ、違う街では普通に家みたいな感じだったけどここはバーなんだね?」


全てを受け入れ諦めたケットは気になっていたことを質問した。


「あぁ、ヴォルバス商会は基本的に商会の事務所として建物借りてるところが多いが、大きな街、王都とかではシィニが暇な時にバーやってるんだわ」

 

基本やってない日のが多いけどなぁ〜と説明してくれた。


「シィニのメシうまいもんな!」


「褒めてもジェラートしか出しませんよ」

そう言ってケットの前にピンク色の果実が乗ったジェラートを出してくれた。


「いいの!?」

ケットは耳を立て尻尾をブンブン振りながら嬉しいそうに聞いた。


「はい、予定を忘れて連れてきたアメトリンにつけとくので気にしないでください。」


おい、とアメトリンは突っ込んだが

シィニとケットは気にしなかった。


こういう事はよくある事だったからだ。

嫌なことも多いし怖いこともさせられるが、ケットはここの人たちに悪い人はいないと知っているのでなんだかんだ、甘えたり仲良くしている。

久々に会えたこともあり、アメトリンとケットは近況報告会をしながら時間を待っていた。







「アメトリン。2番へ」


シィニは案内をするように手短に伝えた。


「もうお客さんは帰ったの?」

ケットは帰って行く人を見ていないため聞いた。


「ここには別の出入り口があるのですよ。

ヴォルバス様とのお話の場合はそちらから出入りするんです」


いつもの笑顔を崩さず説明をしてくれた。

アメトリンは立ち上がり、ケットについてくるように伝えお店の奥へと入って行く。


Ⅱと書いてある扉の前までやってきて

ノックをすると、中から入れと低いバリトンボイスが聞こえてきた。

その声を聞くとどうしても緊張をしてしまうカットは肩を上げガチガチになりながらもアメトリンの後をついた。


「失礼します」


「まぁ、とりあえずかけろ」


そこには高級そうなソファーとテーブルがあり、テーブルランプひとつと間接照明が数個あるだけの薄暗い部屋だった。


「お、お久しぶり…デスネ」


ケットはこれから何を言われるのだろう、と今までの経験からいい事は少なかったので不安になりながらも相手の顔をみた。

そこには中年の銀髪のくるくるとした癖毛で、後ろで一つに結んでいるメガネし、アイスブルーの綺麗な色の瞳。

毛皮のコートを肩に羽織った割とガタイのいいおしゃれに整えたヒゲの男性がいる。

普段は人間の見た目だが太刀魚の魚人族でもある。笑うと歯がギラギラしているのが見える。


アメトリンはだらっと座りながらケットと出会った経緯を軽く話していた。


「ヴォルバス商会へようこそ

お前はどれほどの利益を運んでくれるんだ?」

ケラケラと笑いながら葉巻を吸い始めた。


「俺、またなんか面倒なこと頼まれるの…?」


「あ?」


「食べないでぇぇ」

ケットは怖くなり変なことを口走っていた。


「お前不味そうだし食べねぇよ。

お前に頼み事したい時は裏ルートを使って頼むから今日は違う。

前も言っただろ?珍しい情報や持ってるモノを金に変えてやるって」


基本商会であっても何かを販売しているというよりは裏で情報など宝石など珍しいものをやり取りしている、少しダークな商会だった。

人身売買以外の金になることなら犯罪すら厭わない商会ではある。


「あ、そっちかぁ…」


そしてケットに対しては、自由な旅をしているため、人がなかなか行けない場所などに行って絵を描くこともある。

例えば精霊樹だったり、そこの場所や行き方などを情報として買うと提案されていた。

だがケットは基本的に歩いたらあった、わからないけどそこにいた、どうやって入ったかわからない、話聞いたけど忘れたなど、

情報としては特に役に立たないことも多かったが、

それとは別に、絵を渡す代わりにもらっていたものが珍しい薬草や、花、その場所独自の硬貨や、宝石、香辛料など様々であった。

そっちの方がメインである。


ケットはほとんどもらった物の価値がわかっていない。

基本大陸で共通通貨で

小銀貨

大銀貨(小銀貨10枚ほどの価値)

小金貨(大銀貨20枚ほどの価値)

大金貨(小金貨10枚ほどの価値)

小銀貨1〜3枚でパンや、果物1つ

平民などは1日に働いて稼げるのは大銀貨2枚程度いい所であれば小金貨である。

 

ケットが持っている珍しいものがどれくらいの価値なのかはあまり気にしていないため、持っていても困るものなどは手放して欲しい人にあげることの方が多いのだ。


そんな金に執着がないケットを気に入り、他でカモにならないよう、ケットを見かけたら捕まえるようにして、

自分たちの利益もだしていた。

ある意味優しい商会であった。


「で、今回はどこに行ってきたんだ」


「んーとねぇ、たくさん行ってきたんだけど…ほとんど手元に残ってない…」


ヴォルバスに聞かれて、思い出すようにカバンをあさってみた。基本旅の道中誰かにあげたり、交換で寝泊まりさせてもらったりしていた。

それに基本選べるなら自分が欲しいもの、花や食べ物、紙などのため渡せるものが少なかった。


「んー、、あ、これ!ここじゃ使えないお金だよね?交換してねって言われてたんだった」


ケットはカバンから手のひらより少し小さめの木の板に千と書いてあるものを3つ出した。


「お前、イサクに行ってきたのか」


イサクとはこのヴィエルーツェ国より東に行くとある小さな国である。

そこはこの国とは違い、どことも同盟などを組まず閉鎖的な国としても有名であった。

そこから商品を仕入れようとするとイサク通貨を要求してくるような国である。


そのため、そのイサク通貨持っているのは大変珍しくこの国ではなかなか高価に扱われている。

百、千、万と3つの板があるが

百の板だけでも安くて大金貨1枚である。


「あそこ普通に入れたんだけど、本当はダメだったらしくて一回牢屋に閉じ込められて大変だった〜」


笑っていうケットにアメトリンは危機感ねぇ〜って呆れながらも爆笑していた。


「けど、牢屋からさ!珍しいピンクに咲く木があるのが見えてさ!

絵を描きたいからカバン返してって言ったら返してくれたから牢屋で絵を描いてたんだけどやっぱり

鉄格子見栄え悪くてさー」


「頭悩ましてたら出してくれて街案内してくれたんだ!そこで一番いい位置でその木を描かせてくれて、お城に飾るからってその木の板と交換してくれたの」


「本当はなんかもっと大きいのもくれたんだけど流石に持ってくの邪魔だから断ったんだよねぇ〜」


ケットは思い出しながら楽しくなり興奮しながら話していた。

ちなみにその大きいやつとは“万”という札である。


「お前はやっぱり面白いやつだ」


大きいのという発言をきき、利益など関係なく描きたいからという理由が相手にも伝わり、イサクの国の住民からも可愛がられたであろうケットはヴォルバスからしたら自分とは違う価値観のため退屈しなかった。


「あ、それ欲しいんだっけ?あげるよ!持ってても使い道ないし」


ケットはそのまま渡そうと笑顔ではい、と差し出した。


「ははは!!」

ヴォルバスは笑いながら葉巻の煙をゆっくり吐いた。


「ケット、これはお前が対価でもらったものだ。それを無償で渡そうとするな。

俺らはお前から無償でもらうために呼んでんじゃねぇんだ。

対等に取引がしたいからお前は捕まえさせてるんだよ」


そう言うと、テーブルの引き出しを開け、小さな革袋を取り出してテーブルに置いた。

金属の重たい音が響く。


「この板三枚…この国なら大金貨15枚分だな」


「え、そんなに!?」


ケットはびっくりしてソファーの上で膝を抱えながら丸まりながら目を丸くした。


「だがイサクの通貨は流通が少ねぇ。俺が売る時はもう少し上で捌く」


ヴォルバスはニヤリと笑う。


「だから…」


革袋をもう一つ取り出し、さらに机に置いた。


「こっちは情報料だ」


「情報?」


「イサクの話だ。あそこは閉鎖的でな。

普通は入れねぇ」


アメトリンはさっきのケットの話を思い出し笑った。


「牢屋スタートだけどな」


「ははは、違ぇねぇ」


ヴォルバスも肩を揺らして笑った。


「まぁいい。お前は気にすんな」


そう言って袋をケットの方へ押した。


「お前は見たものを描け。

そして俺のところへも面白いもんを持ってこい」


そして少しだけ声を低くする。


「その代わり、変な奴に騙されそうになったら俺らに言え」

「お前みたいなのはな」


葉巻を灰皿に押し付けながら言った。


「この世界じゃ、すぐ食い物にされる」


ヴォルバスは気に入ってるやつが食い物にされるのは気に食わない。

一度身内に入ったら死ぬまで守ってやることにしている。


そんなことはつゆ知らず、

ケットは恐る恐る袋を覗き込み、いつも言ってくれる優しい言葉に嬉しくなりながら、やっぱり多くないか?と少しの疑問が残るも


「んー…でもパンめっちゃ買えるね!」


ありがとう!というケットに

アメトリンが笑い転げた。


「そこかよ!!」


ヴォルバスもまた豪快に笑った。


「やっぱりお前は面白ぇやつだ」



他にはないのか?と聞かれるも、他は食べ物だったりしたため、もうケットのお腹の中にある。

あとは花など、ストラップだったので自分で大事に使っていたのだった。






「ケットといると退屈しねぇわ!またみつけたら捕まえるからいろんなところ行ってこいよな〜」


ヴォルバスとのやりとりも終わり、商会との楽しくもあり不安もあった話し合いは終了したのだった。

アメトリンはケットをメインストリートまで送り、自分は可愛い女の子と過ごすため飲みに行ってくると道を別れた。




ぐぅぅ〜〜〜

盛大にお腹がなった。

道ゆく人が驚いて少しこちらを見るくらいには大きな音だった。


「お腹すいたぁぁ、パンー、パンがたべたいぃ」


ケットはジェラートしか食べていないためお腹がぺこぺこだった。

もともと王都に着いたら行きつけのパン屋に行ってから画材屋に行く予定だったためだいぶ時間が押していた。


あと少しで閉店してしまう時間のため急いでお店がある方向へと足を進め、向かうことにしたが、


「ここどこだ?」


あまり王都にはきていないのもあるが店などが変わっておりなかなか辿り着かず迷子になっていた。


「もーーー、お腹すいてるのにーー、どこだよーーー」


文句を言いつつ歩いきだいぶ歩いたところ、見慣れた道に出た。


やっとパン屋につける、まだ終わらないでくれ、残っていてくれ、という気持ちを胸に焦る心のまま足を早めた。

 

お読み頂きありがとうございます!

更新も頑張っていきますのでよければまた読んでいただけると嬉しいです

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