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episode12.ユノアリス

ようこそ!えけて。と申します!

初めての小説なので、温かい心で楽しんでいってください!



崖を上り切ってついた場所は

湯気で視界が悪くいが、

目の前には地面に穴がいくつも空いており

いろんな色の温泉が沸いていた。


「おぉぉ、ここが伝説のおん!せん!!」


様子を伺いながら探索をしていた

それぞれの温泉の横に立て看板があるが見慣れない字が書いてあった。


「なんて書いてあんだ…?」


「ほ?ぼ?ぼ、う?んん?なんだこれ??」


その下にも小さく見覚えのあるややや字が書いてあるが下手すぎて読めなかった。


「読めないや」


いいや、とケットは気にせず探索の続きをしに歩いた。





ゆらっ


「…?気のせいか」


目の前で空気が揺らめいた気がした。

人や動物の気配もしないため気のせいだと思った。



ゆらゆら

また空気が揺らめいた。



______後ろから風が吹き、振り向いた


そこには子供くらいの2人の人影


「ここは」「温泉の国」

「「ユノアリス」」


「きみは」「どこから」

「「入ってきたの?」」


その人物はゆっくりと歩きながら姿を現した。

プラチナブランドのショートで

小柄で水に溶けてしまいそうな軽そうな服を着ており

そして、全く同じ顔だった。

こんなに湯気があり、霧のようになっており、視界もわるいが、目の前の人物だけははっきりと見えた。


「あ、人だ!崖を登ってきたんだ〜」


疲れたから温泉に入りたくてと続けたケットは特に気にした様子もなく話しかけた。


「珍しい」「目的は」

「「温泉?」」


「そー!

なんか疲れたから癒されにきた!」


ここって有名だろ?とその言葉に、

二人は同時に首を傾げた。


「疲れ」「癒される」

「「それだけ?」」


「そだよ?」


ケットは

温泉なんだし当たり前だろ?と首を傾げた。


「……「ふぅん」」


片方が笑った瞬間、

もう片方の口が一瞬遅れて動いた。


ケットはきょとんと瞬きをする。


「……?」


けれど、

違和感を考えるより先に視線は温泉へ向いていた。


「なぁ!せっかく来たし、

早速あの黄緑色のにはいっていい!?」


「好きに」「して」

「けど」「長湯は」

「「ダメ」」


「なんで?ゆっくり入りたいじゃん」


なぜダメなのかが変わらなかった。

ここにきてずっと不思議に思うことが多いなと呑気に考えていた。


「あれは」「悩み」

「「忘れる」」


「へぇ〜!

めちゃくちゃいいじゃん!」


「入りすぎると」「全部」

「「なくなる」」

「「だからダメ」」


「え?なにそれ、こわ」


ケットの耳がぺたっと倒れる。

さっきまでワクワクしていた気持ちがだんだんと不安に感じてきた。


「看板」「読んで」


「看板って…あの見たことない字と下手な字……?」


「「読んで」」


「そんな無茶なぁ」


湯気の向こうで、

二人の姿がゆらりと揺れる。


その瞬間

姿が消えた。





「えぇ〜……」


ケットは渋々、

一番近くの立て看板へ近づいた。


湯気で湿った木板には、

見慣れない文字と、

その下に雑な共通語が書かれている。


「えっと……

と…めい……?」


“透明の湯”

なの通りそこが見えるほどに澄んだ湯たった。


「あ、これは読める!」


嬉しくなって他の看板も見る。


「ゆ……め……?」

「てん……?」

「ぼーきゃく……」


読めるものもあれば、

全然読めないものもある。


「なんで下の字こんな下手なんだよ……」


ぶつぶつ言いながら、いろんな温泉を見て周った。






—————————

透明な湯。

湯気は柔らかく、

他の色付き温泉より静かだった。


他には誰もおらず、自分の足跡だけがここまで続いていた。


「ここはいろ〜」


下着のまま、

そっと足を入れる。


「っはぁぁ〜〜〜……」


全身から力が抜ける。


熱すぎず、

ぬるすぎず、

身体の芯をじわりと温める湯。


「やっば……

これずっと入れる……」


目を閉じ、

肩まで浸かる。


ふと周りをもう一度見てみると、

黄緑色の湯からここまで足跡が続いていた。

そして、体が覚えている不思議な力の感覚。


「……ん?」


ケットは目を開ける。


さっき入っていないはずの湯。


なのに、

自分の身体に、

あの湯から自分の体に残る力を感じた。


「……なんで?」


(まぁ、どうでもいいか〜)


考えても思い出せない、それに頭が回らない

考える力が出ないのだった。




その時______


「忠告を聞かずに入ったな?」


楽しそうで、人を小馬鹿にしたような声が聞こえた。


「だれ?どこ〜?」


「気にするな、それよりも先人の忠告はしかときくものだぞ」


「忠告…?あ、看板読めってやつ?

字が下手すぎて読めなかったんだよねぇ〜」


ケットはそのまま温泉に浸かりながらのんびりと答えた。


「下手とは失礼な

私は君ら下界の言葉が苦手なだけだ!元は…」


「あ、書いたのお前なんだ、

本人目の前にして下手とか言ってごめんな〜」


ケットは温泉に浸かりながら溶けそうな勢いでのんびりしていたが、急に視界が揺れた


「こら、ちゃんと話を聞きなさい」


ガバッ

服の首根っこを掴まれ、

いつの間にか温泉から引き上げられていた。


「うわっ!?」

「なに!?乱暴すぎない!?」


「君が話を聞かないからだよ」


その人物は軽々とケットを掴んでいた。


目の前には、

先ほどの“双子”ではなく、

一人の人物だけが立っていた。


長いプラチナブロンドのウルフ髪。

背中まで伸びた髪は毛先だけが跳ね、

湯気に溶けるように揺れている。


閉じられた瞳。

なのに笑っているのがわかる口元


そしてどこか人ではない気配。




「改めまして」


その人物は、ケットを地に下ろし

片手を広げて大袈裟に礼をした。


「ユノアリスへようこそ。

歓迎しよう、はぐれキツネクン」


「双子以外にも人いたんだ」


「はははっ!

ここには私1人だろう」


けらけらと笑う。


「え?!いや絶対双子いたって!」


「えぇー?亡霊でも見たのかい?」


温泉から引き上げた人物はずっと笑っていた。

この掛け合いを楽しみ、おかしな事を言っているかのように、ケラケラと笑いながら。


「ははははっ、はー面白い。

やっぱり揶揄うのは楽しいねぇ」


「揶揄ってたの!?」


「君が見た双子とはこの子たちかな?」


そういう時、湯気の奥から先ほどの双子だと思っていた人物がたくさんいた。


「……え?双子じゃなくて、何人兄弟いるの…?」


「ぶはっ」


急に吹き出して爆笑し始めた。


「いや、そこに行き着くんだ!

はっーーー、バカだ、この子はバカの子だ」


「うわ!ひっでぇ!!」


「これは幻

幻影魔法だよ」


ケットが素直に驚くと、

その人物は楽しそうに肩を揺らした。




「そして私はこのユノアリスの管理をしている者だよ」


「王様?」


「少し違うかな、まぁ管理人ってとこだよ」


ケットは少し驚いた

王などではなく管理人なんだな、と


「今、なぜ王などではなく?と思ったろ?」


慌ててケットは口を塞いだが

顔に書いてあるぞと言われすぐにそれもやめた。


「ここは元々上の方が使う場所だったのさ

空より高い天の方々の場所、それを管理、運用しているのが私だ」


「だいぶ前から使われないから君たちみたいな下界の種族に使わせているけどね」


「ふぇ、ここってすごい場所だったんだな!

使わせてくれてありがとう!」


そう話してくれたここの管理人は

あまりにも軽く言うケットに笑えばいいのか呆れればいいのかわからない顔をしていた。


「そーえば、お前名前は?」


ケットはずっと話していた相手の名前が気になった。


「まだ内緒」


「なんで!?」


「君たちって名前を軽く扱いすぎるからさ」


くすくすと笑う。

そしてすぐに無表情になり、


「私は君の名を知っているよ、逸れキツネの、ケット・“キクロス”クン」


「えっ、なんで知ってるの!?」


「私にわからないことなどないのだよ」


また笑顔に戻り、ふふーんと鼻を鳴らした。


(すごい、誰にも言ったことないのに、あの人から貰った名前知ってるんだ…

この人なんなんだろ?)


管理人をまじまじと見ていると開いていないはずの目と目が合った気がした。

ケットが思ってることはお見通しと言わんばかりの顔だが、

さっきみたいに、バカにしたような顔ではなく、何かを懐かしんでいるかの様な顔にも見えた。


「じゃ俺はお前をなんて呼べばいいんだ?」


「好きに呼びな」


「ん〜……」


ケットは少し考えてから、


「温泉の主!」


「雑!!」





そんなやり取りをした後ケットは

体を少し乾かし、脱いでいた服をしっかり着込み身支度をしていた。


「しかし……」


笑っていた声が、

ふっと止まる。


「忘却の湯に躊躇なく入るとはねぇ」


管理人、元いい温泉の主はしゃがみ込み、

自身の尻尾のブラッシング中のケットの顔を覗き込んだ。


「普通はもっと警戒するものだよ?」


「え?やっぱり俺忘却の湯にも入ってた?」


「あ、そこから記憶がないのか」


そういい温泉の主はケットの額に指を突きつけた。

そうして、何か唱えたと思ったら優しいく温かい光がケットの額に当たった。


「……あれ?」


「返してあげるよ、サービスだ」


そういい温泉の主はケットの頭をひと撫でし近くの岩に腰をかけた。


「あそこに入りすぎると廃人になってしまうよ

何か悩みがあると惹かれやすいんだ。」


気をつけなと続いた言葉に

ケットは悩みか…と少し考えに耽っていた。







先ほどよりも元気がなくなったケットを見て温泉の主は少しため息をついた。


「難儀な性格だねぇ」


小さく呟いた言葉はケットには届いていなかった。

 

お読み頂きありがとうございます!

更新も頑張っていきますので、よければ次も読んでいただけると嬉しいです

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