episode8.ルナバスティオン大図書館とは
ようこそ!えけて。と申します!
初めての小説なので、温かい心で楽しんでいってください!
図書館に夕日が差し込む
その景色もとっても綺麗だった。
ケットはこの景色も描きたいと思いつつも、
今日はいろんなところでいろんな人に出会っい、満足したのもあり、少し眠たかった。
「ユーストマ!描かせてくれてありがとうな!」
少し上の空なユーストマを見ながらこれ以上踏み込んではいけないのだろうなと、本能で感じた。
無意識に1人にしてあげないと、と思っていた。
「こちらこそお越しいただきありがとうございました」
「お〜う
今日はもう店じまいだ!宿探して寝る〜」
ケットはおやすみ〜も言いながらユーストマと奥の受付の人にも手を振り去っていった。
「あっ…
本当に自由人なんですから…」
ユーストマは少しため息をついた。
嵐のような人だなと思いながら
もう少し彼と話したいと思っていたため少し残念だった。
(けど、むしろ良かったのかもしれない)
ユーストマはまた自分の席へと戻っていった。
残りの仕事や、読書の続きをし
図書館が終わりの時間になった。
いつもなら職員たちを帰らせてから自分で施錠して帰るが今日は確認したいことがあったため、職員たちを帰したあと、見回りをし、誰もいないことを確認しある場所へ向かった。
(久しぶりに行きますね…)
ユーストマは自分の席の近くの4つの十字になっている本棚を浮遊魔法で退かした。
そこには下へ続く階段が4つあった。
ランタンを手に持ちユーストマは迷う事なく1つの階段の元へ行き、少し降りたところで本棚を元の位置に戻した。
暗闇の中ランタンの明かりで見えるのは自分の足元のみ。
音のない空間に自分の足音だけが聞こえる。
だいぶ下へと歩くと、1つの扉が現れた
「今日は1つなのですね」
ユーストマは迷うことなくドアを開けた。
そこには地下にあるはずのない
青空と木と花。
——そしてたくさんの蝶と本が飛んでいた。
『ここへと赴くのは久しぶだな』
脳に直接響くように聞こえる。
その声の持ち主は蝶だった。
「えぇ、用がない時は出入りする方が危険ですので」
『防人よ、其方であればいつでも来てようと何度も伝えているはずだが?』
「存じております、
ですがあなた方、禁忌魔法の書を守るのが防人たる由縁ですのであまり出入りして見られてはなりませんので」
『つまらぬ男だ』
そう、禁忌魔法書には意思がある。
司書このルナバスティオン大図書館の中でも最も危険な書物を守るために存在しているのだった。
富や名声を求める者、戦争や征服を考える者。
中には絶望の中で願ったことを簡単に実現できる力がある書物。
書物を読めば誰でも使えるが、書物自体に認められなければ使ったものは命を落とす。
それでも強大な力を求める者たちは途絶えない。
だからこそこの図書館は狙われやすいのだ。
「今日は聞きたいことがあってきたので」
早速本題に、と言葉にした途中で遮られた。
『して、随分と狐を気に入っているのだな?』
「……わざとですか?」
『何をだ』
「白々しいですね、その彼について聞きにきたと言うのに」
「何故彼の前になぜ姿を現したのですか」
「なぜ、彼はあなた方を見ることができるんですか」
小馬鹿にしたような言い方もそうだ、ここにいると感情が制御しづらくなる。
彼に何かあってからではという不安から
ユーストマは怒りの感情を露わにした。
『はっはっは
これは余程気に入ってるのだな!』
『教えてやろう』
『防人、其方だ』
『さっきも伝えたであろう?』
それも一つの答えよ、と楽しそうに話す。
「何を言って…」
もしかして、と思い当たることがあった。
その事実に恐怖や恐れ不安で目の前がだんだんと掠れていき、呼吸が乱れていく。
(そんなこと…そんな話聞いたことなんて、
それが本当だとしたら、私が、私の所為で…)
異質な空間にはユーストマの息だけが聞こえる。
その様子を見て禁忌魔法書は
『ここの奴らはただお前が笑ってくれると思ったんだ』
悪気はないと続く言葉。
ユーストマの体調に気づき他の蝶たちも寄ってきた。
蝶は本の意思の具現化。
———これが答えだった
気に入られているユーストマ。
ユーストマが気に入った彼、
本たちはユーストマも自分を好きで居てくれていると思っており
みんなで仲良く出来たらもっとユーストマも笑うのではと考えた。
それがユーストマを苦しめるとは知らずに。
(あんな自由な彼を巻き込みたくない
禁忌魔法書を求める人たちに利用される…)
(誰かに知られてしまうと危険だ…)
(あんな自由な彼を巻き込みたくない)
——あの無邪気に笑う顔が、ふと浮かんだ。
どうしよう…と
ユーストマは前髪をくしゃっとしながらしゃがみ込んだ。
『お前もそんな顔をするのだな
そんなに大事なのか』
「大事、大事じゃないの話ではないのですよ…
危険に晒してしまったんです…」
ユーストマは泣きそうな声で続けた。
「どうして…どうして姿を見せたんですか、
あなた方は歴代の司書の中でも見える人が少なかった、
魔力の波長があう司書ですら姿を見せなかったのにどうした彼だったんですか…」
「ここに魔力を縛りつけてない、ただの絵描きにどうして…」
ユーストマは感情や思ってることをぶつけた。
わけがわからなくなり何が言いたいのかも
ただ聞いた。
聞いたところで何も変わらないのわかっているハズなのに。
『防人の気持ちを知っての行動で、あの狐は我らと波長も会うのだ。もうどうすることもできぬ』
『それにあの狐は我らと繋がらずとも
もとより厄介な奴らに好かれておる』
もう遅い、と。
「新たな危険に巻き込んだのに変わりはない…」
『人とは苦楽を共にすると聞いた
よかったではないか』
なんともなさそうに目の前の蝶は話す。
悪意はなく善意。
ユーストマには悪意にしか感じられずとも
異なるものに人の価値観なんてわからないのだ。
「……そうですね…」
(あなた方にぶつけたところで何も変わらない…)
(ケットにはもう関わらないようにしないと…
それに自由な彼のことだ、ここには顔を出さないかも知れない…)
ゆっくりと立ち上がり、決意した顔をした。
(私にできることは…)
「この空間の作り手である禁忌魔法書、真名———」
蝶が一斉に静止し、色が奪われた
(この名前を呼ぶのは継続の儀で最初で最後であって欲しいと思っていましたが、まさかここで使うとは…)
「この先、私が死のうとも——
彼、ケットについて、いかなる存在にも語ることを禁じます」
ユーストマと蝶の間に、一冊の本が“音もなく”現れた。
ページが開かれ、そこにユーストマが手をかざすと本は消え
この空間に時間と色が戻った。
(きっと彼は長生きする、
その時にこの場所が枷とならぬ様に)
——だからこそ、これは“知らなくていいこと”だ
「今日はこれで帰りますね」
何もなかったかの様にユーストマはこの場をさろうとする。
小さな蝶たちは寂しそうにユーストマの周りをぐるぐるしてお別れをしていた。
ユーストマと話していた、大きな蝶。
空間の主は何も言わずに見送っていた。
明るかった、外の景色を模した空間とは打って変わり
暗闇をランタン1つで歩く。
出会って1日。
たまたま道に倒れてた彼を助けて、家に連れ帰り、ご飯を一緒に食べた。
短い時間でどれほどの自分の気持ちを知れたのか
彼という人物を知ってゆき、楽しい時間をもらった。
それを捨てなければならない辛さ、
誰とも関わらないことで守れる安心。
ユーストマは上へ上がるまでに沢山考えた。
結論など出るわけでもなく、気持ちの整理もままならない。
そして、上に戻ってきたユーストマは時計を見た。
あの空間の気まぐれで時は早かったり遅かったりするが、
あそこに向かった時間から10分も経っていなかった。
時計の音だけが、規則正しく響いていた。
「……気に入っている……か……」
お読み頂きありがとうございます!
更新も頑張っていきますので、よければ次も読んでいただけると嬉しいです




