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神ゲーのヒロインになりました  作者: 若狭巴


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12/18

一回目の護衛


一カ月たった後もヴァイオレットと太陽と嵐を司る神の関係は変わることはなかった。


運命の女神の護衛は一か月後ごとに交代する予定なので、今日からは別のものにかわる。


太陽と嵐を司る神はいったい自分の何が気に入らなくて、仲良くしてくれないのかと不満に思う。


運命の女神以外の他の女神たちは基本太陽と嵐を司る神が話しかけたら喜んでついてきた。


特別なものになりたくて皆が必死に取り入ろうとしてきたのに、運命の女神の視線はいつだって花にしか向いていない。


興味がないというより、まるでここには存在していないように扱われた。


時の神から何度も運命の女神の仕事を邪魔しないように念を押されていたせいで、話しかけられたのも、この一カ月で三回しかない。


ただ、興味本位で護衛に立候補したが楽しくない。


いつもと同じようなことばかりのつまらない生活に変化をつけたかっただけだが、期待しすぎたのかと後悔していた。


次の護衛者は海と風を司る神だ。


あいつは自分と違って面白さなどを求めない神だ。


いったい何のために立候補したのか気になったが、既に天花園に到着している頃だろう。


天花園から自分の神殿に戻ってきたのに、太陽と嵐を司る神は何故か冷たく感じた。


ずっと何千万年以上ものあいだ住んでいるというのに、そう感じた。


太陽と嵐を司る神は溜まっている仕事に手を付けることもせず、ただぼうっと窓の外から見える名前も知らない青い花を見つめた。


ただの雑草としか思えないのに目を離すことができなかった。


「リベス様」


突然、自分の名前が呼ばれたと思ったのと同時に寝室に許可もなく女神が入ってきた。


こんなことをするのは一人しかいないため、太陽と嵐を司る神は振り返ることもせず女神の名前を呼んだ。


「ダリアか。何しにここに来た」


いつもの優しく柔らかい声とは違い、冷たい声に愛と美を司る女神は一瞬驚いて目を見開くが、すぐに怪しく笑い、太陽と嵐を司る神の体に抱き着いた。


「ひどい方ですね。私がここに来た理由などおわかりのくせに」


愛と美を司る女神は自身の手をどんどん下に下げていく。


耳元で囁く。


なかなか自分を見ようとしない太陽と嵐を司る神にしびれを切らし愛と美を司る女神は自分から口づけをする。


それを合図に、太陽と嵐を司る神は愛と美を司る女神を押し倒し、目障りな青い花から視線を外した。





※※※





「今日から一カ月間、私があなたの護衛を務める。よろしく頼む」


昨日までは勝手に中に入ってきたのに、今日はなかなか天花園に入ってこないのでおかしいと思いながら迎えに行くと、自分と同じ銀髪でありながら、違う美しさを放つ男がそこにいた。


「はい。よろしくお願いします」


一カ月で交代するのかと、ヴァイオレットはずっと疑問だった他の神たちの動向をようやく知れた。


海と風を司る神に天花園の入室を許可すると、男はヴァイオレットの後ろにずっといた。


太陽と嵐を司る神とは違った護衛の仕方に一瞬驚くも、すぐに自分の仕事を再開させた。


一カ月間、護衛の仕方は変わらなかった。


互いに話しかけることもなく、互いの仕事を淡々とこなす日々だった。


海と風を司る神の後に訪れたのは、天空と炎を司る神だった。


前の二神と比べ、この神はとても好奇心が旺盛だった。


天花園は天界の中でも極秘の場所で隠されているからか、初日から隅々まで観察していた。


独り言も大きく、子供のような性格だとヴァイオレットは思った。


天空と炎を司る神の後に訪れた神は月と死を司る神だった。


この神は他の三神と違った。


いや、三神だけでなく神々の中で異質な空気を纏っている。


神々の中で唯一、死を司っているからだろう。


ヴァイオレットは特に気にすることなく、他の三神と同じように接した。


男が傍にいようがいまいが関係なく自分の役割を果たした。


月と死を司る神は最後の日に質問をしてきた。


初めて聞く声に、こんな声をしていたのかとヴァイオレットは思った。


「君は私が怖いか?」


ヴァイオレットは質問の意図がよくわからなかったが、怖かったら普通は傍にいないのではと思い、そのまま伝えた。


「怖いのなら普通は傍にいないのではありませんか」


「本当に怖くないのか?」


今は夜で空は暗く、月も雲に隠れているので、月と死を司る神が今どんな表情で問いかけてきているのかヴァイオレットにはわからなかった。


「はい」


自分の護衛をしてくれる神を怖がる神がいるのか、と、不思議でヴァイオレットは首を傾げた。


「そうか」


月と死を司る神はそう言うと、それ以上は何も言うことなかった。


ヴァイオレットはそんな月と死を司る神の言動を特に気にすることなく、自分の力を与えた人間が任務をきちんと遂行してくれていることが嬉しかった。


人間に力を与えてから二カ月が過ぎたことから、花が燃える現象が日に日に少なくなっていった。


三カ月が過ぎた頃には、毎日燃えていたのが、一週間に一度の割合にまで減った。


このまま、あの人間が苦しむことなく下界の者たちを倒すことを願った。


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