ホワイトギルド
ポン、ポン、ポン
ギルドのカウンターで、ノエルは書類のハンコを押していた
失踪、討伐、追跡
「よし!今日も順調!全部【申請済み】完璧~♪」
喜びながら一息ついてお茶を飲む
「平和だなぁ~」
ふと昔のホワイトギルドを思い出す
――
「おはようございます!本日もよろしくお願いします!」
清潔感あふれる広いオフィス
観葉植物が置かれ、空調は常に快適
明るい照明、笑顔で挨拶を交わす社員
「ノエルさん、ちょっとこれお願い~あと応接室の資料作って?」
「ノエルさんって黙ってやってくれるし助かる~」
「ブヒっ!ノエルたん今日もかわいい!1時間じっくり話して依頼を決めたいブヒ」
完璧に仕事をするほど、雑務が増えていった
――
「今日から受付嬢に新人入るから、ノエルさんは資料作っておいて」
そうギルドマスターが言った
目の前に立つのは子供のような若い女の子
「わたし、ずっと受付嬢憧れでした~! ノエルさんって地味な仕事も完璧でさすが先輩!」
そんなある日事件が起こる
ブヒっ!ブヒブヒ!
倉庫で依頼書を整理していると騒ぎが聞こえる
「ノエルたんはどこブヒー!俺はノエルたんにしか受付しないブヒー!」
腐っても騒いでいるブタはBランク冒険者だ
現場に居るギルド職員では抑えられない
周りから懇願の目で見られ、久しぶりにカウンターに立つ
「あっノエルたん♡依頼受けに来たよ」
その日のうちにギルドマスターに呼ばれ「辞めろ」と言われた
お前が辞めれば、あいつも諦めて騒ぎを起こさないだろうと
こうして受付カウンターに立つなと言われ問題を起こし
カウンターに立てと言われたらクビになった
――
「ガチャ」
ギルドの扉が開く音で現実に戻る
入ってきたのは全身血まみれの常連さん
マスターが「あいつ最近頑張ってるな」と不思議がっていた
最初は無口だったが最近は口元が緩んでいる
「はーいおつかれさまでした 光ある所に闇が~?」
「……ある」
照れながら合言葉を答える
いつも合言葉をなかなか言わない
もう、こちらから言う事にした
ガコッ
「はーい奥へ行ってらっしゃーい」
まだ来てばかりだけど思う
「転職して良かった~」
――
ガコッ
「依頼完了しましたマスター うっっ」
マスターの強烈な殺気を浴びてうろたえる
「急に仕事熱心なようだ まさか何か特別な理由がある訳では無いだろうな?」
「はいっ!これからも任務だけを遂行します」
暗殺者らしからぬ真面目さで答える
「ふぅんよろしい下がりなさい」
ホワイトギルドと違い
ノエルにたかる虫は早めに駆除される準備がある
闇ギルドは福利厚生が整っている




