新たな同僚
翌日
「おはようございます!」
「今日もよろしくお願いしますね」
マスターはいつもどおりだ
ただ、今日は少しだけ様子が違った
カウンターの奥に昨日助けた少年がぽつんと立っている
しかも――制服を着ている
「えっ、この子……?」
ノエルが目を丸くすると、マスターが穏やかに言った
「彼は今日から、うちのギルドの一員です」
「ええっ!」
ノエルは素っ頓狂な声をあげた
「子ども……!」
「年齢は関係ないですね実力主義だから」
マスターは少年の肩に手を置く
「いろいろあって【失踪者】扱いだから、行く宛もないのでうちで預かります」
少年はちらりとノエルを見上げ小さな声で
「よろしくお願いします」
(かわいい……)
ノエルは胸を押さえた
ズキュンと心を撃ち抜かれた
「よろしく!わたしはノエル【特別】受付嬢だよ!」
胸元のバッジを誇らしげに指差しながら自己紹介する
「名前はまだ決まっていないです よろしくお願いします」
少年が礼儀正しく挨拶を返す
っと少年の制服の胸元に目が行く
ギルド章が付いてる
「あの……えっと……あれ?」
ノエルが指差して言葉に詰まると、マスターがさらりと付け加えた
「彼は見習いも要らんだろう、今日から【特別】構成員」
「えぇ~!」
ノエルは崩れ落ちた
子どもだから部下ポジションかと思いきや──ほぼ同期扱いじゃないか!
ギルドにノエルの断末魔が響く
――
「今日は特に仕事もないので2人でカウンターについて下さい」
マスターの命令で、今日はカウンターで暇しそうだ
「名前無いのか~かわいい名前つけてあげたいな~」
ノエルが少年の銀髪をナデナデしながらペットのように愛でる
酒棚のグラスを磨いているマスターがぽつりと呟いた
「魔力値もかなり高かったから、逸材だよ……【何かの縁】かもしれないな」
ノエルはそれを聞きながら、ただ笑顔で少年の頭をなででいた
「はい(よく分かんないけど……)」
「そう言えば、何でこのギルドは酒屋のバーみたいなんですか?」
マスターと一緒に暇な事も珍しいので、普段の疑問を聞いてみる
マスターは「そんなこと聞くか?」という顔で一瞬固まり、答えた
「だってカッコイイだろ?ギルドマスターでバーのマスター」
「ぷっ」
思わず吹き出した
少年も釣られるように笑う
マスターは笑われると思わなかったのか、グラスを置いて奥の部屋に逃げてしまう
イケオジでお茶目とか
今日もうちのギルドはサイコーです




