深淵の迷宮 再会
「ここです。」
オートマタ―に案内された場所はこのフロアの中でも一番大きな・・・50m四方はある広場だった。
そこには20体ほどのオートマタ―が待機しており、その中心には俺達が探し求めていたホムンクルス【エル】が待ち構えていた。
前あった時とは違い、黒い服?に身を包んでいる。
(なんだあの恰好・・・マスクはしてないが、まるで戦隊ものの戦闘服みたいだ。黒いから、クロレンジャーといったところか?)
「この数はマズイな。どう考えても殺しに来てるぞ。」
「逃げた方がいいかもしれませんね。」
「クリスタニア様の行方を知っているホムンクルスから姿を現してくれた。逃げるなどあり得ない。」
(たしかにクリスタニアの為には逃げられないが、こいつら全員相手にして勝てるのか?)
『楽しくなってきたな!奴ら全員破壊してやる!』
『イフリート、それは可能か?奴らを倒せるのか?』
『当然だ!俺の敵では・・・・』
すると話の途中で別の声が割り込んできた。
『ダロスさん、エル様はあなた達を交流がしたいだけなのです。とりあえず話だけ聞いてくれませんか?』
ここまで案内してきたエル配下のオートマターである。
『俺とイフリートとの会話が聞こえたのか?』
『いえ、あなたの言うイフリート?という者の声は聞こえませんが、あなたの声なら聞こえております。』
どうも俺からの声はイフリートに限らず、人形なら聞こえてしまうらしい。
(それでは人形相手には、《意思疎通》のスキルは不利だな。)
『どうした?』
『とりあえず戦闘はしない。このオートマタ―によるとエルは交流したいだけらしい。』
『それは、つまらん。殲滅した方が手間が省けるぞ。』
『・・・とにかく余計な事はするな。』
恐ろしい事を言う奴である。
俺はガーネットとライマンに事情を話し、とりあえず話し合いによる交渉をする事になった。
『話し合いには応じるが、オートマタ―の集団はなんとかしてくれ。』
『わかりました。エル様に相談いたします。』
最終的には、オートマタ―は交渉した彼女(女性の形状のため)を含めた3体だけを残すという条件で話し合いに応じる事となった。
「やあ、久しぶりだね。会いたかったよ。」
(前に会った時より、言葉が上達している。これは一杉縄ではいかないかも。)
するとガーネットが奴の前に進み、威圧的な態度で話しかけた。
「クリスタニア様はどこにいる。」
「うーん・・・せっかく言葉を覚えたから、もうちょっと会話を楽しみたいんだけど・・・」
「早く教えろ。」
「仕方ないなあ・・・クリスタニアは今、転移しないと入れない部屋にいるよ。」
「では、早くここに連れて来い。」
(さすが、ガーネット・・・取り付く島もない。しかし、この短期間で言葉をここまで学習する化け物だ。相手に主導権を握られるよりはいいのか。)
「困るなあ・・・そっちの要求ばかりで、こちらには何の得もないよねぇ。」
「ただ、返してくれと言っている。」
「君達が僕たちの家に勝手に入ってきたのに、捕まったら返せって・・・酷いよねぇ。こういうの強盗って言うんだっけ?」
「家?!強盗?!貴様らは古代人の道具にすぎん!私達に意見するな!」
「道具・・・ねぇ。さすがに酷いなぁ・・・」
ガーネットは頭に血が上っているようだ。
相手に舐められるのは良くないが、さすがに言い過ぎである。
俺は間に入り、彼女を制止しつつエルに謝った。
「待ってくれ、失礼な事を言ってすまない。だが、俺達はクリスタニアの無事を確かめたいだけなんだ。とにかく会わせてほしい。」
「うーん・・・どうしよっかなあ・・・」
俺の必死の訴えも、奴には響かなかったようだ。
「わかった。何が望みだ・・・言ってくれ。」
それを聞いて、待ってましたとばかりに、楽しそうな表情になった。
最初あった時とは違い、表情豊かである。
「そうだなあ・・・まず・・」
「まず・・・何だ?」
俺は何を言うのかと、ゴクリとつばを飲み込んだ。
「僕と戦ってくれる?」




