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底辺フィギュア作家の俺が不遇職の人形遣いになって異世界無双  作者: 国米


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深淵の迷宮 絵本

(エルは帰ってこないわね。何か他に脱出の手はないかしら・・・)


エルが転移魔術で消えてから、かなりの時間が経っていた。

私はその間脱出の手段がないか部屋の中を調べたが、意味不明な装置ばかりで下手に触るのは危険すぎる。

本棚の本に何か記載されていないかと確認するが、古代語は全く理解出来ない。


「字では理解出来ないわね・・・何か絵で説明しているものはないかしら?」


探してみると、ほとんどが絵で構成されている物が見つかった。

パラパラとめくってみると、何かの物語の絵本であるらしく役に立ちそうになかった。


(しかし、古代人も絵本とか作るのね。)


何となく興味が湧いて詳しく見てみると、どうも二人の女神の物語である事はわかった。

空から飛来した禍々しい女神と蛮族の軍勢に対抗して、大地に住む人々を守る神々しい女神の戦いが描かれているようだ。

最終的には大地の女神は敗れて、人々は地下に逃れて楽園を作る・・・という感じのようだ。


(創作だろうけど、私達の信奉する聖神教の女神ヤウダ様と関係あるのかしら?)


それとも彼らが信奉する宗教を模した絵本なのだろうか?


(と・・・そんな事に時間を使っている場合じゃないわ。)


他に何かないかを調べると、特殊な何かをつるしてあるのを見つけた。

それは頭だけがない人の形をした黒ずくめの何かだった。


「えっ!なにこれ!」


その姿を見て、驚きの声が出て背筋に寒気がはしったが・・・。


「なによこれ・・・よく見ると服じゃない!」


近づいてよく見てみると、首から下の部分すべてを覆うような、全て一体型の服であった。

色は基本黒く、各部に灰色のラインが入っている。

足、腕、胸あたりは鎧のような形となっており、戦闘用の雰囲気がある。


(でもこれはどうやって着るのかしら。何も継ぎ目がないようだけど。」


触ってみると柔らかく、軽く手で引っ張ると伸び縮みする。

不思議な事に鎧部分も伸縮可能で、見た目だけ堅そうな事がわかった。


(なるほど、恰好だけ強く見せる衣服なのね。サイズも色々あるから、ホムンクルスのための衣服なのかしら・・・でもエルは何も着てなかったわよね。)


いま唯一あった事のあるホムンクルスのエルが裸なのを思い出した。

着心地が悪いのかも知れない。


どちらにせよ脱出には役に立ちそうにはない。

もうやる事は一つしかない。


(壁を全部、確認していくしかないわね。)


もう壁は軽く調べたが、何か見落としがあるのかも知れない・・隠し扉などの可能性も考えられる。

部屋を囲んでいるすべての壁を触って違和感を確かめたり、時には叩いたりしてみるが・・・何もわからない。


(はぁ・・・見よう見まねで調べてみたけど、私には迷宮の仕掛けに対しての専門家ではないわ。わかるはずもない・・・。)


「何をしている?」


声に驚いて振り向くと、エルがいた。


「え・・・あっ!帰って来たの?」

「ガーネット、ライマン、ダロス・・・そしてイフって知ってる?」


(なぜ、パーティメンバーの名前を?いや、それよりもなんて流暢な言葉使い・・・)


「え・・ええ、それは私の仲間ね、間違いないわ。」

「そうか、なるほど・・・わかった。」


エルはそう言うと、先ほど私が見ていた服を着始めた。

着にくそうな服に見えたが、両手両足を突っ込むと伸縮する事によって簡単に着替えが完了した。


「服なんか着て・・・どうするつもりなの?」

「別に・・・迎えに行くだけ。」

「迎え?それなら私も連れて行って。」

「駄目だよ。クリスタニアはここから出さない。ひさしぶりの遊び仲間だから。」

「遊び仲間?」

「これから君の仲間達と遊ぶんだ。」


そういって笑みを浮かべるエルは可愛さより、不気味さの方が際立った。


(よくわからないけど、嫌な感じがする。こうなったら力づくで言う事を聞かせるしかない。)


私は彼女に組み付いて体の自由を奪った。


「エル、私をここから出して!そうでないと、あなたを・・・」


しかし、全てを言う前に凄まじい力で簡単に拘束が解かれた。

私はその勢いで吹き飛ばされ、一体何が起こったか理解が出来なかった。


「じゃあ、行ってくる。大人しくしていて・・・〇×・・・△・・〇」


また理解出来ない言葉を発して、エルの姿はかき消えた。

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