深淵の迷宮 戦闘
(好き勝手動いて・・・こうなったら時間稼ぎをするしかない!)
とにかく今の状況を把握する。
敵の編成はオートマタ―3体とホムンクルス1体。
「うおおおおおおおお!」
その内2体は敵に突進したガーネットが盾を上手く使って押し込んでいるが、倒す事は出来てない。
(ここはライマンの魔術に期待するしかないな。)
「×・・・〇△・・・」
ホムンクルスが何か言葉を発すると、残った一体のオートマタ―がこちらに向かって歩き出した。
(当然、こっちを狙ってくるよな・・・止めるしかない。大丈夫なはず・・・俺には女神から与えらた力がある。)
俺は深呼吸をして、ナイフ握り相手に突進した。
オートマタ―はこちらの事など気にする様子もなく、ノタノタと歩いてくる。
相変わらずの鈍さである。
(やはり、ホムンクルスの指示があったとしても、こちらを認識するまでは戦闘態勢には入らないようだな・・・)
相手はかなり近づいてから、俺の存在を認識したが、もう遅い!
「ほわあああああああ!」
我ながら情けない雄たけびだが・・・不思議な高揚感が生まれ力が湧き出てきた。
そして、そのままの勢いでナイフを相手の喉元に突き立てる!
ガキィイイイイイン!
俺のナイフは首部分の弱い関節部を貫いた。
奴のクビがグラグラとしたと思ったら、ポッキリと折れて地面に転る。
(やったか!)
しかし、何事もなかったようにすぐさま動き出し、俺を捕まえようとする。
(駄目か!)
危険を感じて大きく後ろへと避ける。
ガチャン!
「・・・・・。」
ガチャン!
「・・・・・ここまでだな。」
奴は何もない空間を掴む動作を繰り返している。
こちらが見えていないのだろう。
(首を落としても死なないが・・・五感は失っているようだ。体の機能は人間と同じだな。)
とにかく無力化には成功した。
(次はガーネットの援護に向かうべきか?)
ガーネットの方を見ると、体制を立て直したオートマタ―2体の連続攻撃を受けていた。
盾でうまく防いでいるが、防戦一方である。
(なんだ?体が光っている?)
彼女の体がうっすらと青く光っており、何か不思議な力を感じる。
・・・何かをするつもりなのだろうか?
(とにかく援護を・・・)
「全てを貫き破砕しろ!【雷撃】」
その声が聞こえた途端に、俺の横を轟音と共に激しい光が通りすぎた。
《バリバリバリバリ!》
そのままガーネットとオートマター達に命中する。
一瞬の出来事だった。
突然の事に俺はただ立ち尽くし、倒れ伏した1人の姿と2体の残骸をボンヤリ見ていた。
(一体何を・・・味方ごと攻撃したのか!?)
「やったか!」
「やったか・・・ってライマン!味方ごと攻撃するなんて、何を考えている!」
俺はそう言ってライマンを睨んだが、彼は悪びれる様子はない。
「おいおい、よく見ろよ。」
(よく見ろ?何を見ろというんだ?)
視線を戻すと、倒れていたガーネットがむくっと立ち上がった。
「なかなか痛いな。【魔鎧】を発動していてもなかなかの威力だ。」
(【魔鎧】・・・スキルか?)
「うまくいったな。僕の最強の魔術の威力は大したものだろう?」
「たしかに、凄い威力だ。」
焼け焦げて動かないオートマタ―2体を見ると、気合で耐えれるのものではない。
彼女のダメージが軽微なところを見ると、魔法防御力を上げるスキルなのだろう。
(青く光っているように見えていたのは、【魔鎧】を使っていたのか。それを知っていて彼女ごと攻撃した・・・。)
仲が悪いように見えたが、戦いにおいては中々連携は取れているようだ。
『こちらも片付いた。』
イフリートの方を見ると、4体のオートマタ―が倒れていた。
『もう倒したのか?』
『ああ、前戦った時にだいたい倒し方を覚えたからな。』
(イフリートは無傷・・・さらに倒したオートマタ―も破損がない。どうやって倒したんだ?)
『次はホムンクルスか?』
『ん・・・ああ、そうだな。』
俺達は、何をするわけでもなくこちらを見ているホムンクルスに近づく。
オートマタ―がいない今、戦闘力はないはずだが・・・。




