深淵の迷宮 合流
合流地点に行くと、ガーネットが仁王立ちで待っていた。
「遅い。」
静かだが、かなりイライラしているようだ。
「すみません、合流が遅れました。」
「では、行くぞ。」
「え・・・どこに行くんですか?」
「クリスタニア様・・・いやクリスタニアさんの所だ。」
「場所を知っているんですか?」
「それをこれから探すんだ。これだけいれば、オートマタ―にも勝てるだろう。」
彼女の言っている事はムチャクチャである。
完全に冷静な判断力を失っている。
「だから言っただろ・・・バカ女だと。」
ボソッとまた余計な事を言うライマン。
ただ・・・言い過ぎとはいえ、今の彼女が正しいとは思えない。
「闇雲に探しても時間がかかるだけです。」
「ならどうする?」
「とりあえず、ここにいては徘徊している敵に見つかる可能性があります。一度近くの部屋に入ってパーティ全員で救出作戦を考えましょう。」
「部屋に入る方が危険だろう。敵が待ち構えている可能性が高い。」
「大丈夫ですよ。俺の人形が調べます。」
「・・・わかった。」
不満げな顔をしていたが、自分一人では進めない事を知っているのだろう。
そこまで愚かではないようで、一応は納得してくれたようだ。
『イフリート、俺の言う部屋を調べてくれ。』
『中にいる敵を始末しろという事だな?』
『いや、敵はいない。』
『また調べたフリをするのか・・・つまらん。』
◇◇◇
とりあえず退避してきた部屋で3人(イフリートも入れると4人?)は俺を中心に囲んで座った。
「これを見てください。」
俺は自作の地図を広げてみんなに見せる。
《空間把握》をしながら地道に地図を作成していたのだ。
ただ、時間がなかったのでかなり雑だが、何もなく説明するよりはいいだろう。
「これは、このフロアの地図?どうやって描いた?」
「俺の能力を使って作成しました。実はフロアの構造や敵や味方の位置などを把握できるんです。」
「そんな事が・・・それならクリスタニアさんの位置も?」
「・・・残念ながら、クリスタニアさんの反応は感じられませんでした。」
「どういう意味だ?」
「つまり・・・もうすでに亡くなっていると・・・」
「バカな!貴様のうさんくさい能力など信じられん!」
ガーネットは激高して声を荒らげる。
俺はその迫力に押されて押し黙ってしまった。
そこでライマンのフォローが入る。
「僕もこいつの能力には半信半疑だ。ただ、罠や敵の位置を把握していたことは事実だ。」
「では、クリスタニア様が死んだのを信じろというのか?!」
「・・・。」
俺は何も言えなかった。
静寂がその場を包んだ。
「・・・君の能力が本当だとして、何か見落としなどはないか?」
見落とし・・・反応がない=死亡としか考えられなかったので、他の可能性は模索していなかった。
俺は今までの事と、地図を見て思考をめぐらせてみる。
ただ、一度囚われた考えを覆す事はなかなかできない。
そこで声を上げたのはライマンだった。
「この地図おかしくないか?」
「おかしい?」
彼は今までのフロアの地図を全て広げ、俺の地図と比較した。
「深淵の迷宮のフロアは実は全て同じ大きさに統一されている。これは冒険者ギルドでわかっている常識のようなものだ。なぜそうなっているかは古代人に聞かないとわからないだろうが。」
たしかに、どのフロアの地図も全て縦横とも同じ距離の正方形で構築されていた。
フロアを作る時に古代人なりのルールがあったのかも知れない。
「それらとお前の描いた地図を比較すると、左上の部分だけ、不自然にへこんでいる一帯がある。」
俺はそんなルールなど知らず、地図は雑に作成した物である。
そのため、正方形とはなってはいない上に歪んでいるが、たしかに不自然にへこんでいる一帯があった。
(なんで、ここはこんな形に・・・あっ!)
その時、魔力で調べられない一帯があった事を思い出した。
「この場所一帯は魔力が通らず、構造が不明でした。だから適当に線を引いて繋げただけで・・・。」
「なら、そこら一帯を調べれば・・・」
「クリスタニア様がいる可能性があるという事だな?」




