住居
ターレス城塞都市は大きく4つの地区に分かれている。
・商業区:商業を中心とした活動を行う区域。食料品から武器防具など幅広い店が並ぶ。
・管理区:都市の住民や施設を管理運営する区域。冒険者ギルドもここにある。
・工業区:工場などが集合した区域。都市の生産物は基本的にここで生産されている。
・住宅区:人が住むための区域。
そして、俺のこれからの住居も住宅地にある。
それなりの金を出しただけあって、一軒家を借りる事が出来た。
古い外見だが、中は手入れされており綺麗である。
なにより、倉庫と工房がついてあるのが素晴らしい。
工房内にはライトが何個もついており、閉鎖されている空間であるが非常に明るい。
(外見は中世ヨーロッパ風のファンタジーなのに、部分部分ではハイテクだな。動力は電気と違って魔力なのだろうか?)
色々と不思議なところはあるが、今から作業する俺には非常にありがたい。
さっそく工房に必要な部材を運び込む。
『これから何をするんだ?』
『この本に書いてある通りに、君の体を作るのさ。』
俺は遺跡から持ち帰って来た本を見せる。
表紙には文字らしきものが記載されているが、やはり何を書かれているかわからない。
(この世界の共通語はダロスの記憶から理解出来る。おそらく読み書きも出来るだろう。ただ、この文字は読めない・・・古代人の遺産だから言語が違うのだろう。)
『何を書いてるかわからん。選んで持ってきたという事は、お前はわかるのか?』
『ああ、この腕輪を使えばなんとかなる。』
俺は女神からもらった腕輪の文字を確認する。
1つは前使用した【ステータス】の文字、そしてもう1つは・・・【鑑定】の文字である。
俺は本を見ながら【鑑定】の文字を触ると、空中にウィンドウが現れて翻訳された文字が表示される。
【人形の作成方法】
後は本をめくっていくだけで、自動で翻訳、そして表示されていく。
この機能を使って、遺跡から本を厳選して持ち帰って来たのだ。
『よくはわからんが、とにかく読めるんだな?』
『ああ、そう言う事だ。』
俺は遺跡から持ってきた鉱石を持ってくる。
『本で確認したが、これで体を作る。』
『そんな物でどうやって作るんだ?』
『これは、特殊な物質で出来ていて、魔力を流し込むと形態が変化する。』
鉱石に魔力を流し込むと、あれほど硬かったものがまるで粘土のような柔らかさに変化する。
そして魔力をまた流し込むと、また鉱石のように硬くなる。
『これを俺の体の上に盛って体を作るのか?しかし、柔らかすぎると崩れるし、硬すぎると動けなくなるぞ?』
『この本によると、この魔法金属は制御する事が出来れば人間の皮膚のように自由自在になると書いてある。』
『それを俺にやれと?』
『頼めるか?』
『面白そうだ。とにかく、俺に似合う体を作ってくれ。』
イフリートは快く了承して、みずから工房台へと寝そべった。
(これからが俺の望んでいた人形遣いの世界だ。)
◇◇◇
俺は人形に魔法金属を盛り付け、時にはヘラで削って形を作っていく。
まさに粘土細工をしている時と同じ手ごたえだ。
はじめは俺のような下手糞に、等身大の人形作成が出来るのだろうか?と不安だった。
しかし、人形遣いは人体の構造を理解していないと操る事が出来ない。
ダロスの記憶による知識と経験が、俺になかった基礎の部分を補填してくれた。
(これなら、後はイフリートの人間形態のイメージを思い浮かべて作るだけだ。)
制作は何度も作ってはやり直すの繰り返しだった。
納得するまで作り続けて、なんとか自分なりにはマシな物が完成した時には、外は明るくなっていた。
(たしか、ここに来たのは夕暮れだったはず・・・まさか徹夜してしまったのか?)
今まで夢中で疲れを感じなかったが、徹夜をしたと意識した途端に体の疲れと眠気が襲ってくる。
急激に体が限界を感じてその場に崩れ落ちた。
(これはマズイ・・・部屋に戻って眠らない・・・と・・・)
俺はそのまま意識を失った。




